■ 神奈川新英研12月例会
2008年12月
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12月例会報告

  12月13日、大倉山記念館にて。参加者17名。

●授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど

・生徒との人間関係。あまりおこってばかりだと雰囲気が悪くなってしまうし、注意しないとやりたい放題。困り果ててしまう。
・共通テストの点数がとれない。
・人前での話し方などを日頃より考えている。すでに講義も受けはじめている。
・塾での授業で学力不振の生徒(学校の授業がほとんど分からない生徒)に対して、どのような指導をしたらよいか。

●研修報告:

「韓国KETG大会参加記」和田さつきさん(橘学苑高校)

和田さつきさん(橘学苑高校)
 韓国KETG(Korean English Teachers Group)の大会に参加した会報担当・和田の報告です。
  • 大会に参加した経緯:新英研のメーリングリストで参加者を募っていたのを見て、応募した。
  • 新英研からの参加者:池田、奈良、長田、和田の4名。池田さんは7年前のKETG大会に新英研が初めて参加して以来、連続参加。韓国語が出来る池田さんと長田さんのおかげで助かりました。
  • KETG大会は08年7月26日(土)〜28日(月)、大田(テジョン Daejong)にある木原大学(Mokwon University)で開催。大会のテーマである「Maximizing Students’ Output(生徒のアウトプットを最大にする)」は新英研との交流を通じて「自己表現」が大切だということをKETGが知り、取り上げたテーマだそうです。この由来を池田さんは教えてもらい、感慨深いご様子でした。
  • 韓国の参加者と会場:若い女性が多く、80名程度。会場はスクリーンと30センチほどの高さの演台のあるホール。14のグループに5名程度になるように座席指定をしており、講義形式が中心だが、グループに分かれて行う活動もあった。定員150人を予定していたが勤務校での補講などで不参加者が多く、最終日に参加できない教員もいた。・デジタルなITとアナログな「手遊び」:さすがIT先進国。単語も歌もCDではなく、コンピュータで映像を使用。一方、歌に合わせて手をたたいたりするのもリズミカル。池田さんの解説によると「手遊び」の伝統があるそうです。
  • 大会日程と講座の紹介
    26日(土)
    1時 開会
    ・ 2時 講座1 Maximizing Students’ Output
    ・ 3時 講座2 Productive Listening
    ・ 5時 講座3 日本の英語教育(新英研)
    ・ 7時 講座4 Pop Song
    ・ 8時 講座5 協同学習と語彙指導
    9時 地域別交流
    27日(日)
    ・ 8時 朝食
    ・ 9時 講座6 Creative Writing
    ・ 10時30分 講座7 Maximizing Students’ Speaking
    ・ 1時 講座8 Critical Reading
    ・ 2時30分 グループ活動
    ・ 7時グループ活動の発表
    ・ 8時30分英語教師の夕べ
    28日(月)
    ・ 9時 講座9 文法指導
    ・ 10時 講座10新教科書
    ・ 11時 研修評価
    ・ 12時 終わりの会
  • 安重根紀念館:ソウル市内で観光しました。高校の世界史の授業で名前しか知らなかった人物であった「安重根」を実際に韓国の地で知ることによって韓国の歴史が身近に感じられるようになりました。達筆な書で「一日不読書 口中生荊棘」(本を一日でも読まないと舌にイバラの棘が生えるよ!)を見て、歴史的事件の重要人物なので深刻にとらえがちですが、ユーモアのある人だったのだなということがわかりました。獄中で書かれた書に、薬指が短くなっている手形の印が添えられていましたが、右手の薬指の先を切って決意を固めていたということでした。歴史の重さを感じました。また、獄中で著したという未完の著書では中国・韓国・日本で会議を常設したり、共通の軍隊を持ったりして3カ国が協力していく構想など、アジアの平和を実現する具体的方策を描いていたこと知り、もっと知りたくなりました。

●実践報告(中学)

「生徒と共に創る授業(3年間の作品を中心に)」

松下里美さん(西東京市立明保[めいほう]中学校)
 08年8月の新英研全国大会第7分科会のレポートを神奈川支部で12月に報告していただきました。松下先生が温かな眼差しで生徒をはぐく育んでこられた3年間の取り組みの集大成です。新英研の活動を通じて培われた手法を着実に積み重ねていく松下先生の実践には、生徒たちの成長の様子が自己表現作品の数々にあらわれていました。
  また、英語通信『Hello, English』『English for Tomorrow』のなかでフィードバックしながら生徒を励ますこと、課題を出すときに目安(「1日6個練習しよう」など)を具体的に示すこと、「5文型の考え方」など文法解説をまとめて提示することなど、学ぶことがたくさんありました。

【普段の授業の流れ】

・ ①Happy Time:「友だちとコミュニケーションタイム(松香フォニックスで出している「QA―100」を使用)」「新出単語5つとキーセンテンス1文をディクテーションテスト」「音読練習(特に定期テストの1週間前など)」「英語通信を読む、歌を歌う、など」
・ ② 復習:読んで、ポイントの確認
・ ③ 今日の分:「新出単語をカードで発音練習」「本文読み」「1人1文読み=読みの確認。丸と下線でSVの意識をもたせる(セン・マル・センの記号付け)。日本文にする。ポイント文を意識させる」」「本文の内容についてのTrue or False」「板書やワークを使い、説明」「宿題として次のところのノート作り」

【3年間の取り組み】

<中1の課題>
・アルファベットカード:4月に使用。大文字小文字のブロック体と筆記体+数字を書いた一覧表も配布。表に大文字と小文字のカード(52枚)があり、裏にa〜zの頭文字で始まる英単語と絵がある。(52語)課題1=5月いっぱい授業開始の5分間「アルファベットを言う」「絵を見て52語をすらすら言えるようになる(連休明けにチェックすると予告)」「アルファベットカード並べ=1分以内→30秒以内を目指すといいですね」課題2=5月の連休で「小文字のカードの裏の英単語(26語)を1週間書く(13段ノートに3枚半)」+提出
・ ノート作り:夏休み前に辞書指導をしてノート作りを始める。
・リーディングマラソン:教科書の裏表紙に記入用紙(B5版)を貼りつける。レッスンのパートごとに1点で、1年間で47点分になると明示。「友だちと十分に練習した後、先生にチェックを受けよう」と促す。今年は多忙のため出来ていないので、授業中に「1分間読み」をしている。
・ 自己表現:「This is my 〜.」で始まる英文で自分の大切にしている人や物を取り上げる+廊下に掲示。自己紹介や友だちなどの紹介文作り。
・ 5行詩:夏休みに自由題で課題を出し10月の総合作品展で掲示。冬休みにFour Seasonsの歌(多摩サークルで小美濃さんが紹介)を聴かせて、好きな季節を選んで作らせ、新学期に掲示。
例) 
1行目(名詞1つ)  Sea(海よ) 
2行目(形容詞2つ) Wide, energetic(広大な、活気に満ちた) 
3行目(動詞3つ) Rolling, washing, singing(うねって、洗って、歌って…) 
4行目(文1つ) You are always traveling.(おまえはいつも旅をしている) 
5行目(名詞1つ) Ocean(大洋よ)
★夏休み明けの学級通信での松下さんのコメント=「5行詩についてほとんどの人がOK。水色の紙に『清書どうぞ』と書かれた人は清書にとりかかること。9/22(木)清書〆切です。どうしても出来ない人は早めに相談してください。この作品は総合作品展に展示しますので、そのことをよく考えてください。字の大きさやデザイン、絵をつけることを必ず頭に入れること」

<中2の課題>
・レポート提出:地雷のことや地球温暖化や絶滅危惧種について。
・ My History (私の履歴書):12文書く。夏休みに下書きをしたら、2学期にケント紙にペンで清書し、絵や写真を添える。
1) I was born in (場所)in (年). いつどこで?
2) I was born on(誕生月)(日). 〜月〜日生まれ
3) I was(形容詞). pretty, small, bigなど様子を表す言葉で
4) I was the first (何番目の子どもか?)daughter(またはson) in my family.
5) My(名付けた人:father, mother, grandmother, grandfatherなど)named me (自分の名.「私の〜が私を〜と名付けた」
6) My family thought that I was(形容詞)家族は自分が生まれたとき自分のことをどう思ったか
7) When I was little, I was(どんな子ども).小さいときはどんな子どもだったか
8) I was a (何のファンだったか)fan.ここで絵を描いてもOK.例えばドラえもんファンか、ピカチューファンか、など。
9) I liked/didn’t like (好きだったもの、嫌いだったもの).食べ物でも何でも
10) Now I am(今どんな性格か).
11) Ten years from now, I will be a( ).10年後の私
12)Thirty years from now, I will be( ).30年後の私
★生徒の作品(抜粋)+感想:I was born in Ochanomizu in 1992. I was a Pokemon fan. I liked cards. I didn’t like mushrooms. Ten years from now, I will be a sportsman. Thirty years from now, I will be a cook. 「自分にも幼い頃があったんだなと思った。昔は背が高かったのにいつのまにかちっちゃくなってしまった(笑・泣)」
・ ALTの授業でスピーチ:My Dreamと題してスピーチ。

<中3の課題>
・ 単語テスト:授業の始めに10個ずつ。『授業づくりアイデアブック3』(三友社出版)の「これだけは覚えよう!」を利用。
・ ノート作り:世の中の出来事にも関心を持たせたいと考えて、自分で調べたことやわかったことをどんどん入れていくようにさせた。
・ ワークブック:『3年間のまとめのワーク』を用いて、定期的に提出させ、定期試験でも出題した。
・ ALTの授業でスピーチ:My Favorite Placeと題してスピーチ。

【3年間で心がけたこと】

・ノートづくり:和英・英和辞典をひき、「辞書の例文写し」をする。遅れがちな生徒も長期の休みのあいだに追いつける。
・作品としての5行詩作り:3年間続けることによって、自分の気持ちを手軽に表現する手法が身についた。辞書で品詞を確かめるのは遅れがちな子どもでも出来る。
・ 授業中に全員が1人1文を読み、発言させる。そのとき「読めません」のセリフはOKだけれど、「どこですか?」はダメだということによって、読めない遅れがちな生徒も参加できるように心がけた。
・ 英語通信を出し、授業で伝えきれないことを知らせた。

(2009年8月21日)


日時:
12月13日(土) 午後3:30〜7:00
3:30〜4:45 高校実践報告 [担当:萩原]
4:45〜5:00 休憩
5:00〜6:30 中学実践報告 [担当:棚谷]
6:30〜6:45 アンケート記入・事務連絡
7:00〜 忘年会(★事前に予約してください)
場所:
大倉山記念館 第1集会室(Tel. 045-544-1881)
(東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る)
会場費:
500円(支部会員200円)[当日会員登録(年会費2000円)で割引適用]
お問合せ:
萩原一郎 クリックすると電子メールを送信できます。
(県立横浜緑園総合高校 Tel.045-812-3371)
★ご注意
 例会終了後、忘年会を行います(会費5000円程度)。今回の店は新しい店で事前に人数を連絡することが必要になっています。そこで申し訳ないのですが今回のみ完全予約制にしたいと思います。
  参加希望の方は12月10日までに萩原までメールクリックすると電子メールを送信できます。で申し込んで下さい。
  また、参加申し込みをして急に取り消す場合も前日12日までに必ずメールで連絡をお願いします。
  このような事情で、当日の申し込みは受け付けられませんのでご了承下さい。
研修報告:
「韓国KETG大会参加記」
和田 さつきさん(橘学苑高校)
   韓国KETG(Korean English Teachers Group)の大会に参加された和田さんに貴重なお話しをうかがいます。
実践報告
(中学):
「生徒と共に創る授業(3年間の作品を中心に)」
松下 里美さん(西東京市立明保中学校)
 今年の全国大会第7分科会のレポートで、まさに松下先生の取り組みの集大成をうかがいます。生徒の自己表現作品の見方に注目!


(連絡先:萩原一郎)
(2008年12月8日)