■ 神奈川新英研2月例会
2007年2月
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2月4月5月6月7月10月11月12月
 2月16日、大倉山記念館にて。参加者10名。

●実践報告(中学)

「中学生も多読にチャレンジ!〜『火垂るの墓』を読ませて」

多邊田(たべた)敦子さん(町田市立薬師中学校)
 多邊田さんは「サダコさん」「スティービー・ワンダーさん」のようにほんわかとした口調で語られます。そのやさしい話し方を通じて、日常生活から距離感のある「歴史上の人物」「偉人」に初めて出会っても、生徒たちは身近な存在として感じることができるのではないでしょうか。
(1)多邊田先生
  • 現在:東京都の教員4年目。持ち上がりの中3。反応が薄く、元気が足りないが「前向きに取り組んでいる」「きちんと聞ける」というのが良いところと思えるようになった。
  • 初任の年:問題行動が多いが元気な中3の副担。朝7時半から3人に補習。信頼関係もでき、合格が決まってからも卒業式の前日までやった。「あたって砕けろ」の毎日だった。
(2)多読
  • きっかけ:東京支部の4月例会で西野孝子先生の「多読入門」の実践を聞いたこと。
  • 西野先生から学んだこと:楽しんで読めて難しく感じさせないために…
    1. 知らない英単語の上に日本語を書き込んでおく
    2. 自分の好きな本を選ぶ(内容に興味が持てる)
(3)『火垂るの墓』
  • 『火垂るの墓』を取り上げた理由:昨年8月15日のテレビドラマで松嶋菜々子がいじわるなおばさん役をやっていたし、アニメは有名なので生徒たちも親しんでいた。
  • プリント:『火垂るの墓』(三友社出版)は8章あり、1章ごとにB4版両面1枚で8枚。未学習の単語の上に意味を書き、内容や登場人物の気持ちを読み取るための発問を5つずつ(日本語で「最後のドロップがなくなったとき、清太はどうしましたか。」など)
  • 授業の流れ:歌とスタンプ押し(5分)、ミニテスト(5分)、教科書または文法[その文法で自己表現](30分)、多読(10分)
  • 多読の流れ(10分):
    1. プリント配布
    2. 「問題が5つあるから問題を読んでから始めるといいよ」と声をかけ、机間巡視しながら単語の意味を質問してきた生徒にアドバイス。
    3. 最後の1〜2分で生徒を指名し、答え合わせ。苦手な生徒も「あ〜読めた」と安堵の表情。
(4)その後の取り組み(抜粋)
  • 三友社「はばたけ! 千羽鶴」の一部を2学期中間テストで出題。
  • Lesson 6キング牧師のところで少年時代に感じた差別に関する英文。(三友社のアイディアブック)
  • Lesson 6キング牧師のところでローザ・パークスさんについての英文を2学期期末テストで出題。(東京の福島先生の実践)
  • Lesson 8 手話とコミュニケーションがテーマなので、困難を乗り越えてがんばっている人(川田龍平さん、星野富弘さん)の英文で紹介し感想を書いてもらった。(三友社「じょいふる中3」など)

●実践報告(高校)

「日頃の授業の中から」

Aさん(私立高)
 勤務されている私立高校で日頃授業で行っているウォームアップ的な活動をいくつか紹介してくださいました。ペアで協力して単語を覚える方法などをワークショップ形式で体験しました。
(1)学校
  • ・ 中学生は学費の安い公立高校への進学が多い地域。「単語を覚えるようになってからは、少し英文の意味がわかるようになってきたよ」という生徒が数名出てくるので、単語に焦点を当てている。
(2)授業
  • Brain Storming:チェコレートというとどんな単語が英文で使われると思いますか?(sweet /bitter /milk /melt /taste /cacao /sugar など。)
  • 弾丸インプット表を作成:左に英文、右に和訳があるB4用紙で、英文に重要語句の16箇所に下線を引いてある。別紙のB5用紙にその単語を書き写して右側に和訳を参考に下線部の和訳を書いていって、「弾丸インプット表」を作成。作成後は「リズムに合わせて先生の後について言う」「ペアで英語→日本語」などの活動。ペアワークでは目標秒数を決めておいて実際の時間を記録させる。
  • 単語テスト:B5用紙に7問×4回分が印刷されている。
  • 虫食い読み:B5用紙に1パート分の英文の前置詞や単語の一部分を17カ所程度、黒く塗りつぶしておく。ペアで読み合わせて、出来た数を記録する。
(3)参加者の感想
*カードで文を覚え、ビンゴに利用する(生徒がくいつきそう)。虫食いで英文を読ませるのもいろいろ応用できそうで、早速使えそうでうれしい。まとめに、画用紙を4分割して絵を描かせ、4つの英文で説明させてはどうか。自分が読んで発見したことを日英両文で発表(英語通信にして交流)するのもよい。


(連絡先:萩原一郎)
(2007年7月22日)