■ 神奈川新英研9月例会
2004年9月
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4月5月6月7月9月10月11月12月
 9月17日、大倉山記念館にて 参加者:10名。

●研修報告

夏休みに参加した研修に関しての交流です。

(1)中村康雄さん
・ 松永明美(岸根高校)さんの「team teachingを成功させるには?」:
2004.8.18 「神奈川県英語教員のための夏期ワークショップ」資料。
(2)萩原一郎さん
・ 手島良(武蔵中高)さんの「つづりと発音」:
2004.8.29財団法人語学教育研究所の半日セミナーでの資料。
(3)棚谷孝子さん
・ 棚橋昌代(都立三田高校)さんの「ベトナムのダーちゃんを高校の教科書に載せる:
ベトナム戦争は終わっていない」:
2004.8.2-4新英研全国大会のレポート。『Surfing Reading』(文英堂)にダーちゃんのことを載せた経緯。
(4)城由美子さん
・ 城さんの参加した5つの研修:
埼玉県英語教員集中研修(7/26〜28, 8/2〜4, 8/10〜11)、英語授業研究学会(英語授業実践サマーセミナー/全国大会)、ELEC同友会英語教育学会サマーワークショップ、埼玉県中学校英語教員研究発表会、東京学芸大学附属世田谷中学校 現職教員セミナー
■例会参加者[育休中]の感想
・私も時間と体力の許す限り、勉強したいです(今は…100語でスタート英会話、英検、新聞を読む、洋楽を聴く&歌う…ぐらい。でも育休中の方がよほど時間が取れる!) 
・レポート報告では、テスト問題と評価方法もセットだといいなあといつも思っていました。大量のレポートに消化不良になったとき、テストを見ると 落ち着くので。

●実践報告(高校)

「英語学習をクラスみんなで楽しめるか?―音声リズムを含めて表現の使用例をよく観て、習う事、→自己参加型の表現活動へ―」

大豆生田[おおまみゅうだ]千恵さん(田奈高校)

 これまでの授業の取り組みをダイジェストで紹介していただきました。

(1)大豆生田先生
・ 英語教師として:この3月に定年退職され、田奈高校へ。
・ 例会当日:貴重な昭和50年代の『新英語教育』や当時の生徒作品などをたくさん持ってきてくださいました。
(2)4技能
・ 聞くことへ向かう:英語の歌「I Come and Stand」(邦題「死んだ女の子」広島の原爆で亡くなった少女がテーマの歌) <以下略>
■参加者の感想
□ 大豆生田さんの30年史(学校新聞から教科通信・学級通信作り、劇の指導、英語の教材集め、自己表現etc.)の量と質の多さに圧倒されて言葉を失って読み入りました。その時々に関心のあることを集中し、生徒と対面してきた様子がうかがわれました。

●実践報告(中学)

「君自身の未来に向けて新たな一歩を踏み出そう:ストレッサーへの愛を」

菊島 靖彦さん(山梨県甲府市立城南中学校)

 ストレス要因を抱えている生徒たちのことを菊島先生は「ストレッサー」(stressor)と呼んでいます。社会経験のなかで培った説得力ある言葉を生かし、「ストレッサー」の生徒たちに学習を通じて登校を促してきたようすを報告していただきました。

(1)菊島先生
・ 昔、今、そしてこれから:新聞社を早期退職。「実社会で得た知識を知恵に換えて生徒に返したい」と思い、城南中学で英語教員として不登校児への学習補助をしてきた。この9月には中学を辞め、来年1〜3月ニューヨーク留学をされる準備中。
(2)不登校の実態
 生徒A男は中2の時、クラスでケンカになり、非は相手にあったのだが、自分が悪者にされ周囲から変な目でみられるようになり、引きこもりに。A男の母親には「追えば逃げる、退けば来る。恋愛と同じ原理です!」と話し、無理に学校に行けと言わないように伝えた。
 中1の時に体調不良で休みがちになり、不登校になったが、2年より特別指導室で時間割を作ったら早めに来るようになったB男。休むときは自分でtelしてくる。「今日は体が動きません」「えらいなー、他の人は父母が電話してくるんだ。明日は来るんだよ。楽しみだなー」と声がけ。
(3)対処方法
・ 不登校の生徒への具体的な対応:「泳がしておく」(現状のままにしておく)→ぎりぎりまで待って、時期を見て「高校入試は?」「行きたい」「勉強しようよ」→「数学も教えてください」「時間割はどうするんだ? 好きな科目があるなら、その時はクラスへ行けよ」と促す。学校へ来たら自然に教室に連れて行くのが大切!
・対処方法:「自分がその子の居場所になる」+「母親との連携プレイ」+「他の先生とスクラムを組む」
  1. 愛すること、即ち先ず子どもたちの悩める気持ちを全面的に受け入れ子どもたちの心の居所は私の心の中にあるのだと思うようにし向ける。それには子どもたちから絶対的な信頼を得なければならない。またそれは取りも直さず学校に自分の居所が有るということになる。
  2. 信頼を得るには「きちっとした授業」(この先生の授業を聞いていれば間違いない)、「偏見はもたず、他の生徒と同じように対応」、「無条件にその子の悩みを聞いてやる+秘密保持」(この先生に話しても外には漏れない)
  3. 「いやになったらいつでも帰っていいよ」という言葉は禁句。学校へ来たということは学習する意欲があるということ。登校したら少しでも長時間授業を受けたくなるように工夫する。
  4. 母親と連携プレイを図る。母親は日々子どもの状態を見守り、登校させるタイミングを常にうかがい、登校させる。いったん校門をくぐったら、今度は教員の対応の工夫が重要になる。それには子どものその時の精神状況を見抜く力量が問われる。
■参加者の感想
□ 小学5、6年からストレスを感じる現代の子ども。中学3年をピークにストレスと自我の芽生えが重なり迷う子ども。彼らの中から不登校になる生徒と対面してきた菊島さん。家庭を孤立させないで学校は何ができるのか、考えさせられるテーマでした。


(連絡先:中村康雄 )
(2005年1月14日)