■ 神奈川新英研10月例会
2004年10月
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 10月16日、大倉山記念館にて、参加者:10名。

●実践報告(高校)

■実践報告(高校):「拝島高校での実践―学力とは何かを考える」

池田真澄さん(都立南平高校)
●はじめに(レポーターから)
今春6年間勤務した拝島高校から南平高校に異動となった。「学力とは何か」についても触れたい。
●学校の生徒の実態
多くの生徒が生活や行動に問題を抱えているが、同時にとても人懐っこく、率直でまっすぐである。友だちや弱い者への共感力が高い者が多い。感動的なことがらには全身で感動することができる。理解できればすぐに行動することができる。
●授業
「困難校」での授業には受験による制約が少ない。持ち上がるとすれば、教員が3年間を見据えて自由に授業内容を組み立てることができるという利点がある。 ◎アンケート:・英語が苦手というのは中学での成績をそのまま答えたように思われる。確かにbe動詞と一般動詞の区別がついていない生徒も多く、He loves soccer.の疑問文はIs he loves soccer?となってしまう。Does he loves soccer?と書く生徒も多い。アンケートの4番に、自由に「私と英語」という文を書かせたら、「大嫌い」「覚えられない」「文法をやっても力はつかない」などの答があったので、これに応える英語通信から始めた。また、時には「単語の覚えかた」など勉強 のしかたにも触れた。
●学年
01年2月に学年担任団が決定した。学年として指導目標作り、新入生召集日の準備、修学旅行先の決定、4月遠足の準備など、慌ただしい毎日だった。
●学年運営
  1. 学年目標作り
     生徒観や教育観の違いがある教員が6人で「生徒が自信を持てるようにする」「肯定的な面を本気でほめる」「6人で6クラスをみる」と学年目標を一致させた。
  2. 学年通信「だるま・たいむず」
     生徒に作文を多く書かせ「考える」機会を持たせた。また生徒の様々な意見を反映し交流させ、自信を持たせ、優れた意見を評価した。
    ●例会参加者の声:
    「学年通信をNo.90まで出したのが素晴らしい」「学年通信は家庭での話題のきっかけになる」「3年間見続けてくれる教師が生徒にとっては良い」という感想が聞かれた。
  3. 学年指導・行事・教科のつながり
    • 行事への取り組み:文化祭ではクラスごとの出し物では縁日・お化け屋敷・食堂などが多かったが、映画や踊りに挑戦するクラスも出てきて、完成度は学年が進むごとに高くなった。
    • 修学旅行:平和学習ができる沖縄に決め、夏休みの事前学習で国語科が『白旗の少女』を課題にした。
    • 私の平和宣言:軽微ながらいじめや暴力的な遊びがあったので、日常生活の中での「平和」を考えさせようと「私の平和宣言」作り、学年通信に掲載。ここから生徒が決めた学年目標「私は友だちを大切にします」が生まれた。
    • 卒業式:「よさこいソーラン」に取り組んだ。「日の丸・君が代」が主人公ではなく、生徒が主人公の卒業式にしたかった学年団の期待に、何とか生徒たちは応えてくれた。本番でいっしょに盛り上げた男子たち、踊り終えた時の大きな拍手は忘れられない。
●学力とは?
・学力とは何か、どんな実践を進めるべきか
 新英研でよく論議されるキーワードを考えると、以下の学力を目指しているように思われる。「子どもが世界に広がっていく」イメージで私なりにまとめてみた。(1)子ども (2)班・クラス・学習集団 (3)家庭 (4)地域社会 (5)日本 (6)世界
●まとめ
こうした「学力」を目標にするなら、それは授業だけでも、行事・生活指導だけでも、達成することは難しい。両者が統一されて指導されたときにはじめて、生徒たちは力をつけるのではないだろうか。
■参加者の感想
□ 学年通信が全担任6人の手が毎回入っていて、すばらしい。生徒も心が暖まるし、教師たちも団結が深まる。自分も学級通信を出していますが、情報宣伝の力はすごいと思います。感動した。
□ 問題を抱える生徒が大田舎で、教科書を進めながらも「NYテロとアフガニスタン」や「世界がもし100人の村だったら」「Two Caves」「Charlotte's Speech」など広く話題を提供できる点、高校英語は中学英語よりも自由があっていいと思いました。


(連絡先:中村康雄 )
(2005年3月5日)