■ 神奈川新英研7月例会

2019年7月
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3月5月7月9月10月

●小学校実践報告:「小学校における「自立学習」を目指した取り組み」

阿部志乃さん(横須賀学院小学校)

1.レポーターから

  • レポーターから:外国語を生涯学習し続ける「自立した学習者」の育成をするため、外国語の「必要性」の実感と「実際に使う体験」を伴う活動を目指しています。外国の題材を使って、子どもたちだけの力でそれを解読しようとする、先生も子どももワクワクする探求型プロジェクト学習「My Name Project」の実践を報告します。

2.報告

  1. (1) 文字や言葉を学ぶのはなぜ?Why do we learn English?
    • 様々な答えがあるが、ゲーテ他は to know our own language better と答えている。
    • アンテナを張り巡らし、他の地域の民族、文化を知るため。 
    • 英語は他の外国語学習へつながるthe master keyにもなるから。
  2. (2) 言語も興味をもたせることに力点を注ぎ、ルールを見つけようとする力を養うことが必要。
    • 意味のなさそうな数字も意味が分かれば覚えられる。
    • 例:Q:「149162536496481の数字は どうしたら覚えられるか?」
    • A:「1の2乗、2の2乗、3の2乗、4の2乗・・・9の2乗」で規則を知れば簡単!
    • 音と文字のつながりを見つける自力学習(自立学習)を目標として、教室の外での学習も。
    • テーマをもたせ、仮説や予測をさせて、調べる。調べたことをまとめ、発表する。
    • 3~5人のグループでのプロジェクト活動をしたり、それを元に国際交流も展開している。
  3. (3) 実践例・・・小学生3年生~6年生。英語と総合の時間を使う。上級生になるほど上手になった。
    • 「My Name Project」で自分の名前の意味、由来などをまとめオリジナル            カードを創る。創ったものを一人ずつLap Bookにまとめる。iEARNのフォーラムに投稿した。
    • 「約4500年前のルーマニアの遺跡に残る文字のような絵が何を表わすのか」をテーマにした。
    • 延べ8時間を費やし、絵と文字の違いは何か、意味を調べる、カードにする、発表する。図書館に関連する図書を購入してもらい、ルーン文字、フェニキア文字等の辞典類も準備した。
    • 「絵は楽しむもの、動きがあり、個性が出る、意味がはっきりしない、感じとるもの」
    • 「文字は動きがない、固定している、共通する概念を表す、互いに分かるもの、覚えるもの」
  4. (4)応用・・・小学生の他教科に出てくるカタカナ(英語だけでなく)やアルファベットなどをヒントに興味のわく内容を考え「テーマ学習+国際交流」に相応しい教材を発掘している。時間をかけて「学び方」を指導しながら、ことばを教えることを主眼に、実際に使う体験をし(外国語を使う必要性をつくり)、テーマ学習(プロジェクト学習)を通じて、海外の学校との協働を目指したい。英語を学ぶことで自他の文化や他の言語が見えるという視点を大切にしたい。英語だけでなく、言葉について考えるきっかけになる授業を創造して行きたい。将来、中学、高校、大学、社会人になっても自ら外国(語)に接していく、自分の力で外国語学習を進めることができるような、自律した学習者を育てたい。

<参加者の感想>

  • 授業の方法が目からウロコでした。評価はどうなっているのでしょうか。自尊感情も自分の名前について学ぶことで育ち、すごくすばらしい教材だと思いました。ありがとうございました。
  • 7月に町田市の教育委員会が開いていた来年度使用の小学校の教科書展を見に行きました。中学校の教科書をつくっている7つの出版社発行のものを全て目を通しましたが、どれも文部科学省の作った「Let's Try 」や「We Can」そっくりの構成になっていました。阿部さんのご指摘どおり、「口語英語の基礎がわかり、話せればよい」という氷山理論のてっぺんだけを目標にしているようで、生活や文化を認識する言語教育とは程遠いように感じました。これを使って教科書どおりに進める授業を想像するとき、児童はどう思うだろうかと心配になりました。救われたのは2冊が作成上の制約を乗り越えて世界の人々の文化や生活への広がり、教室だけにとどまらない言語活動の内容をもっていたことです。
    小学校から大学までの外国語教育があるとすれば、子どもに外の世界への興味を失わせないこと、自分の言葉の大切さと同じように外国のことばや文化を大切にする感情をもたせることを目標にしたいと思いました。阿部さんのレポートは私学でも公立の学校でも同じように、子どもがその年齢に応じて興味をもつ内容から出発することが大事だと感じました。

●高校実践報告:
「高校生に達成感を与えることをねらったスピーキング指導報告」

窪田健一さん(都立第一商業高校)

1.レポーターから

  • レポーターから:英会話や口頭パフォーマンステストは、勤務先の高校生にとってはハードルが高いようです。入学当初は「話せるようになりたい」と思う生徒が多かったのですが、「スピーキング活動には意味がある」と生徒が実感するまで、試行錯誤してきました。2年半の実践と現状を報告します。。

2.報告

  1. (1) 自己紹介・・・工業高校、進学校、私立商業高校などを経て現職に就く。
  2. (2) 学校の様子・・・生徒数約600人。商業科関連の検定試験で合格することが第一で、英語の成績は必ずしも進学に関係ないと思っているが、どこかで「話せるようになりたい」要求がある。
  3. (3) 目指している授業・・・自分が高校時代に受けた訳読式授業への疑問から「自然な感覚での言語習得をめざした授業」を展開するために、TOSS型英会話活動を取り入れている。これは、文字を介さない英会話指導で「読まない、書かない、訳さない」で、音声とイラストによる情報提示により、英語が読めなくて話せないという生徒を生み出さないことを主眼にしてい る。ダイアローグ活動を通して自然に言語習得させることを目的としている。小学校実践を高校用にアレンジしている。
  4. (4) 具体的内容・・・「コミュニケーション英語Ⅰ,Ⅱ」(Power On)では教科書の内容に関連した写真やイラストで構成するスライドを作成し、オーラル・イントロダクションから内容把握、re-tellingまでを繰り返し生徒とやり取りしながら進めた。また、ALTとの廊下での1対1の1分間会話テストを年に2回実施した。挨拶、名前、ALTからの質問に答えるだけでなく、自分からも質問する。話題を変えられ会話が持続すれば加点する。3年生では個人の取り組みの他にグループによるパフォーマンス・テストを学期に1回ずつ行った。「英語表現」ではSVOO,SVOCの構文をイラストを見ながら聴きとり、繰り返し、自ら創っていく練習をした。現在完了形では詳しい解説ではなく、単純な肯定文、否定文に加え、3 timesなどのヒントを提示し、今までの体験回数を様々な動詞を使って表現する練習を中心にした。
  5. (5) 例:以下の内容をイラストとkey words(下線部や数字)を組み合わせた6枚のスライドを見せながら、それぞれの英文を何度も聴かせ、ゆっくり繰り返す練習をして内容をつかみ易くした。
    Lesson 5 Japan's Secret Health Food
    People all over the world are eating more and more sea vegetables.
    They got a lot of nutrients from seawater.
    Sea vegetables have ten to twenty times as many vitamins and minerals as land vegetables.
    Vitamin A in wakame is good for your eyesight, and vitamin K in kombu heals wounds.
    Calcium is good for your muscles, teeth and bones.
    Some scientists believe that eating sea vegetables is a secret of the great health of Japanese.
  6. (6) 生徒の感想・・・文字を使わないイラストによる口頭練習は負担が少なくて良かった。楽しい活動ができた。文法授業の参考になった。本文の内容をスピーキングテストを通して覚えられたので良かった。苦手意識が多少減った。もっとイラストを増やしてほしい。授業ごとに復習みたいに発音するのがとても良かった。発表の時にパッと言えた。アイ・コンタクトが出来るようになりたい。次は全文覚えて発表に臨みたい。
  7. (7)評価と課題・・・1年生は割と楽しく取り組めた。ムリな暗記はさせない方針で、多少間違えても気軽に英語を話す取り組みができた。2年次以降は4人グループによるプレゼンテーション・テストを取り入れた。練習→復習→パフォーマンス・テストの組み立てで、多くの生徒に達成感を与えることができた。人前で発表する機会は、本校の生徒にとっては貴重な機会であった。イラストを使ったスライドを作る時間が足りない。高校2、3年の教科書では複雑な内容と簡単な会話練習に乖離が生じやすい。イラストを見ても発話しない生徒への対応をどうするか。パフォーマンス・テストの評価基準を明確にする。今後は教科担当のチーム化をめざしたい。

■参加者の感想

  • 3年間の発展の様子が授業にもプリントにもあらわれていました。考えながら徐々に進化していくことが大切ですね(自戒をこめて)。生徒が人前で話す、文を見ないで話す経験は、年に何回かさせたい表現の1つ(評価の対象として)ですね。
  • 多くの教員が自分の受けた英語の授業に疑問をもたないことが多かった私の時代とちがって、窪田さんはその疑問から様々な研究、研修を重ねて今のやり方を試行している。特に抽象的な概念の理解が苦手な生徒に対して画像やイラストを示して視覚から入り、長文の説明文も複雑な構文の英文も理解してもらおうと様々な工夫をしている。数枚のイラストを用いて、それを見ながら耳で聞かせ、復誦させて、自ら英文を作ってみる。その入りやすさが生徒にも好評なのだと思う。文節からどのようなイラストを使用するか(借用するか)、数字や初出単語も交えた1コマ1コマの構成が丁寧で生徒の理解を易しいものにしていた。時間がかかるのが難点だが、いっそアニメや漫画の好きな生徒たちの協力を得て教材作りに参加してもらってはどうだろうか。発想という点では同僚の協力も欠かせない。英語教員ばかりでなく、同じ学年の他教科の教員からもヒントが貰えるかもしれない。

文責:関口昭男




●日時: 2019年7月13日(土) 午後3:30~7:00
2:00 ~ 総会・事務局会議
3:20 ~ 受付開始
3:30 ~ 5:00 小学校レポート [担当:日比]
5:00 ~ 5:15 休憩
5:15 ~ 6:45 高校レポート [担当:萩原]
6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡
●会場:
大倉山記念館 ストリートビューの表示 第1集会室 (Tel. 045-544-1881)
  東急東横線大倉山駅 下車 徒歩5分
改札口を右に出て右折、急坂上る

●小学校 
実践報告:
小学校における「自立学習」を目指した取り組み
阿部志乃さん(横須賀学院小学校)
レポーターから:
外国語を生涯学習し続ける「自立した学習者」の育成をするため、 外国語の「必要性」の実感と「実際に使う体験」を伴う活動を目指しています。外国 の題材を使って、子どもたちだけの力でそれを解読しようとする、先生も子どももワ クワクする探求型プロジェクト学習「My Name Project」の実践を報告します。
●高校 
実践報告:
高校生に達成感を与えることをねらったスピーキング指導報告
窪田健一さん(都立第一商業高校)
レポーターから:
英会話や口頭パフォーマンステストは、勤務先の高校生にとっては ハードルが高いようです。入学当初は「話せるようになりたい」と思う生徒が多かっ たのですが、「スピーキング活動には意味がある」と生徒が実感するまで、試行錯誤 してきました。2年半の実践と現状を報告します。
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(2019年7月11日掲載/9月16日更新)