■ 西三河サークル例会
2000年10月
 10月27日にサークル例会を開きました。参加は4人。

1 杉浦先生

 以前に、"Childcraft"に載っていた英文をところどころ書き直して、"How I Was Born"という教材を作りました。その教材を再び引っぱり出して、3年の商業科の授業で行っています。この教材は、人間が誕生する過程を、美しい表現で説明している英文です。
 When was I before I was born? I was warm and safe inside my mother's body in a special place beneath her stomach. I was there because my mother and my father loved each other and wanted me.
 と、最初の段落は始まります。
 この教材は、"I"が生まれてくる子どもを表しているので、その子が書いているような訳し方(私はこれを「子どもの言葉訳」と呼んでいます)で「詩のように」訳すように指示しています。内容を理解しながら、「ひとくち知識」「応用作文」を加えて進めています。  また、その英文を使って、読み練習、およびreading testを行います。reading testは、(1)テープに吹き込む(2)皆の前で読む(3)教員の前で読む の3つのパターンを提示し、どれかを選ぶ、という方法を取っています。今までは(3)で行っていましたが、今回はより手間のかかる、緊張する(1)と(2)を高い評価とする、と話してあります。

2 外山先生(高)

(1)"Imagine"を利用して
 John Lennonの歌"Imagine"を歌詞を利用して、1学期に詩を書かせました。
Imagine there's no ................
It's easy if you try.
No ..........................
And no .......................,too.
の形式の詩です。今回はこの詩を利用して、次のように進めました。
 まず、となりのクラスの生徒が書いた詩を各人に配り、それぞれが日本語訳を書きます。クラス全員が同じ詩を訳すのではなく、ひとつひとつバラバラです。次に、英文と訳をとなりの席の人と交換します。受け取った人はそれを読み、詩の内容について、逆の視点から感想を書きます。例えば、"Imagine there's no school uniform......"と書いてある作品に、「制服があったら方が良い、なかったら困る」という観点で感想を書きます。最後に、その訳詞・感想(反論)を詩の作者に返します。単なる感想より別の視点からの感想を読む方が理解が深まると思いました。

(2)定期テストで英文日記
 定期考査で、英文日記を10点分出題しています。採点はAETに頼んでいます。これまで2度行い、生徒も書き方のコツをつかんできたようです。テスト後によい作品を紹介しています。ただ、その作品を焼き直したような英文も目に付くようになったので、今度はその課でやった文法事項をひとつ入れるように条件をつけようか、と考えています。

(3)TTで折り鶴
 英語Iの教科書に、原爆症で亡くなった佐々木サダコさんについての教材がありました。その課を終えた後、折り鶴の作り方をAETに教える、というTTを行いました。まず、折り鶴の説明の英文穴埋めプリントを作り、生徒が解きます。AETはそのプリントを見ないようにします。そのあと、指名された生徒が折り鶴の手順の英文を交代で読み上げます。AETは生徒の説明を聞きながら、わら半紙大の正方形の紙を黒板の前で折っていきます。AETが折り方の手順に詰まったら、その生徒が教えます。

3 柴田先生(大)

 私の研究テーマ「異文化コミュニケーション」に関し、日本語教育学会シンポジウム「日本語教師養成のあり方と課題」とその懇親会に参加してきました。懇親会の席で「外国人とのコミュニケーション」(岩波新書)の著者のJ.V.ネウストプニー氏が現今の語学教育が合理主義に流れている風潮に警告を発し、人文主義的なアプローチの重要性を指摘していました。彼は著書の中でも、「外国人の典型的な問題は、言いたいことが誤解されるよりも、自分のパーソナリティや意図について適切にコミュニケートできないことである。これらのことは文法能力だけの問題ではない。」と述べています。外国語教育がaudio-lingualからpost audio-lingualへの移行が重要だと感じました。

4 安井先生(高)

(1)If We Hold On Togetherを使って
 オーラルの授業で、ダイアナ・ロスの"If We Hold On Together"を使い、いろんなアクティビティを作り、繰り返し変化のある練習をして、結果的にこの歌を覚えるように工夫しました。
 「穴埋めディクテーション」では、押韻されているところを穴埋めします。「歌詞の間違い探し」では、似たような単語に歌詞の一部を変えてプリントを作り、テープを聴きながら間違いを探します。「ワードサーチ」では、語彙を書き取らせてその意味を調べ、その語を使って作りました。「ビンゴゲーム」も行いました。

(2)Bob Marley, the King Of Raggae(安井)
 英語Iの教科書に、レゲエミュージシャンのボブ・マーレーについての課がありました。AETにその課のサマリーとインタビューのプリントを作ってもらいました。サマリーはシートAとシートBで空所になっている箇所が異なっていて、ペアで音読しながらプリントをお互いに見せないで埋めていきます。インタビューは、インタビューアーがボブマーレーにインタビューする形式です。これは、シートAにインタビューアーのみの英文、Bにはボブマーレーの英文だけが載せてあります。AETがシートAの英文を順不同で質問し、その答えを生徒が探して英語で答えます。
 また、レゲエについての内容や、ボブ・マーレーについてをインターネットで調べました。彼の歌"One Love"は好評でした。

5 村瀬(高)

(1)鯨について
 英語Iで、鯨を取り扱った課がありました。そこで、鯨に関する日本語の資料を用意し、その資料を読んで、英語の質問に答える、というプリントを作りました。いつも、その課に関する日本語の資料をプリントしますが、生徒たちがきちんと読んでいるかをどうやって確認しようか、と考え、この方法を思いつきました。英文を読んで日本語の質問に答える、というのは普通なので、その逆にしたわけです。
 日本語資料なしですが、一部紹介します。みなさん、答えられますか?
  1. 1.Whales appeared on the earth about ( one / five / ten ) million yearsago.
  2. 2. It is saidwhales used to have their ( arms / feet / wings ).
  3. 3. More than four-meter-long ( dolphins / sharks ) are called whales.
  4. 4. The ( skin / oil / teeth ) of wahles can be used as soap, candles, cosmetics and so on.
  5. 5. Whales breathe out ( water / milk / steam ).
  (答え 1.five 2.feet 3.dolphins 4.oil 5.steam)

(2)Tobias
 英語Iで、ダウン症の男の子Tobiasについての教材がありました。その課を終えた後のテストで、生徒に次の2題からひとつ選び、日本語で意見を書かせまし た。
「1.あなたの近くにいる障害者と接して、あなたはどんなことを感じましたか。具体的な出来事を述べて、その感想を書きなさい。」
「2.障害者が豊かに生きてゆける社会を実現するために、どうしたらよいと思いますか。具体的な提案を述べなさい。」
 生徒が選んだのは半々ぐらいでした。1を選んだ生徒は、ほとんど誰も「かわいそうだった」という書き方をせず、自分の心の中にある(障害者に対する)差別感に気づき、その点を反省するものが多数でした。

連絡先:MURASE Toshihiro/村瀬敏浩