■ 東京新英研9月例会

2006年9月
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2月3月5月9月
 9月30日(土)市ヶ谷のエデュカスで9月例会を開きました。ワイワイがやがや、後からも日常生活の中でふと思い出すことがある、内容のある例会となりました。

◎雑誌学習など

 雑誌学習では、細沢さんが10月号の30~31ページ「体験者から学ぶ黒人差別」に注目して、インターネットで豊富に写真教材が出てくるサイト( Jim Crow Law)を体験してみたお話や、豊富な資料と実際に黒人女性に登場してもらったり、子どもたちをアメリカンスクールの生徒と交流させるまで導いく実践の深さを語ってくださいました。
 今月の歌ではイギリスで放送禁止になったくらい、よくかかった歌"You're Beautiful"をMDつきで福島さんが紹介してくださいました。荒木さんの同じ歌を扱ったプリントも出され、聞く目的の荒木プリントと歌わせる目的の福島プリントの違いもよくわかりました。早速、2年生の不定詞形容詞的用法の1時間目で使ったところ大ヒット。生徒が「こういう授業をまたしてください」と言いに来たほどでした。

◎実践報告


『響き合う授業を・・・~総合で・教科で、日本語で英語で
 ―やりたいことをみんなでゆっくりしっかりと―』

安部直子さん(西東京市立保谷中学校)
 参加型ワークショップで、参加者の意見が中心となって進められました。安部先生の学校では、学年の総合の時間に、この異文化理解の学習を全体で行ったそうです。
★学びの手順
  1. 全員参加が今日の目標
  2. レヌカさんの自己紹介カードを読んで、レヌカさんがどんな人かを理解する。
  3. 18枚のカードを読んで、意見をいいながらネパールで考えたことと日本で考えたこと、9枚ずつに分ける。
  4. 一つのパズル(裏をひっくり返すと、ネパールを表す絵、日本を表す絵になっている)なので、すぐ答え合わせができる。
  5. ひっくり返して、予想と違ったものに、質問しながらその理由を知る。
  6. ワークシートで考えをまとめる。
★共感できたカードは、なんだったでしょうか。
  • 必ず朝ご飯を食べることに共感できた。
  • 風邪は軽いうちに休む。(医者や薬が簡単に利用できないので)、等々。
★やってみて、どのように感じましたか。
  • 当たり前と思っていたことが不親切だった
  • 文化が違うと正反対にとらえてしまうことがある、等々。
★異文化理解が今日のテーマなのですが、異文化について思うことはなんでしょうか。
  • 箸を使うのが当たり前の世界にいると、手で食べるというのが野蛮に思ってしまうことがある。そういう違いを理解していかないとお互いに分かり合うと言うことがないのではないか。
  • 個人の単位でも、異文化理解の必要性はあるのではないか。隣の人の生活習慣の違いを不快に思ったりすることはよくある、等々。
★班の中で異なる意見が出たときにどうやって結論を出しましたか。
  • 自分から見て説得力のある意見が出たときに、なるほどと思って、変えた。
  • 大きな声で強く言っている人には、抵抗しない、あきらめちゃう、面倒くさいと思ってしまう、等々。
★事実と違うカードを選んでしまったが、それはなぜだと思うか。
  • 思いこみ、相手の国のことをよく知らないから。
  • 自分の価値観とか生活環境から出られないでいる自分に気がついた、等々。
★どうしたら全部答えられたか。
  • 交流するとか、相手の国のことをよく知るとよかった。
  • 家庭での具体的な生活への想像力に欠けていた、等々。
★そうすると異文化理解というのはどういうことなのだろう。
  • ここにいる一人一人の人にも異文化はあると思う。外国人の子どもでなくてもそういうことはあると思う。
  • 他人の考え方に気づくこと自体に意味があると気づいた、等々。
★今回のキーワードは何でしょうか。
  • 判断する基準はどこに置くか、一人の人間を理解するところから始まる。一般化しない(レヌカはネパールの代表ではないのにネールを背負わせてはいなかったか)。
★実践報告者から
  総合で響き会える子どもたちは、手だてを作れば授業でも響きあえるようになるのではないか。

(連絡先:平野寿美)
(2007年1月7日)