■ 東京新英研春の特別研究集会報告

2010年3月
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3月4月6月10月
 3月27日に東京新英研春の特別研究集会を、文京区立茗台中学校(会場校:阿久津さん)にて行いました。参加は53名。
 毎年のことながら、埼玉、神奈川など関東一円から、そして!なんと!広島から、妹尾恵理子さんが参加してくださいました!大学生も数名、NPT会議のカンパを求めて、東京高校生平和ゼミの高校生の参加も。

楽しく、深い外国語の授業づくり~小学校から高校までを見通して~

さて、今年のテーマは「楽しく、深い外国語の授業づくり~小学校から高校までを見通して~」。困難な時代を、どう乗り越え、どんな授業をつくっていくか、「楽しく、深い授業とは?」をキーワードにレポートを4本聞き、語り合いました。春に聞くにはふさわしい!刺激的で感動的なひととき。

(1)中学実践:「すべての子どもが生き生きと参加できる授業の工夫
    ~毎日の授業づくりの視点から~」

吉岡潤子さん(江東区立大島中学校)
 中学2年生と生活や四季を楽しみながら、子ども同士の関わり合いをつくり、表現を生み出していく実践。
 「お月見」のグループでの読みとり、「ハロウィーン」のオリジナルかぼちゃ制作、環境NPO「ナマケモノ倶楽部」の・アンニャ・ライトさんを招いた環境ライブと事前学習など、ひとつひとつの教材を吉岡さんのオリジナリティで作り変え、子どもたちに提案していき、協同と表現を生む授業。学びの質が上がると同時に、子どもたちの関わりあいや意欲が高まっていく姿が印象的。子どもたちと生きる、ってことはこういうことなんだよな、といつも変わらぬ吉岡さんの姿勢にうたれます。

(2)高校実践:「高校3年間を見通した授業づくり」

萩原一郎さん(神奈川県立城郷高校)
 待ってました!萩原さんのクールな語り口で、「高校英語は一番変わらないと!」という実はかなり熱い、と評判のワークショップ。30分の中にペアの話し合いを数回入れて、参加者の実践や交流も引き出しつつ、新学期を迎える準備の数々を提案してくれました。萩原さんは11個の準備項目をあげています。「英語1、2の教科書に出てくる不規則動詞一覧表をつくる」「英語1のフォニクス一覧表」「英語発音のしおりの改訂」などなど。
 音読を1時間に数回取り入れること、中学校の教科書からリーディング教材を準備すること、そして、「生徒の頭の中にどれだけ英語が残っているか」という問題意識がとても印象に残りました。1回1回の授業ではなく、1年、3年といった持続的なシステマティックな取り組みで、「わかる」「楽しい」をつくりだしていくんですね。全国どこへでもワークショップに飛ぶそうです。続きを聞きたい!

(3)小学校実践:「中学校英語に繋がる小学校英語学習を目指して」

見本環さん(足立区立興本扇学園)
 区立の小中一貫校の小学校で英語講師を務める見本(みもと)さん。1・2年生は身の回りのこと、行事などを、3,4年生は「ジュニア・コロンブス21」を使って文字なしで、5・6年は「英語ノート」や自作教材を使って授業をしている。5,6年では、アルファベットも導入し、書けるようになって卒業することを目標にしている。チャンツ、「大きなかぶ」の劇などを使って、異文化を楽しむ、という視点で授業を行っている。「毎日のあいさつをB4の色紙に書き、ラミネート加工し、日直がでてきて、みんなに聞く」など、カラフルな教材づくりが印象的でした。しかし、区の施策が変わり、英語講師はきられてしまうとのこと、次年度は中学所属の教員が授業をすることになるという厳しい現状も語られた。

(4)小学校英語の実際:
    「提言・主人公としての英語の学び~能動楽習のすすめ~」

阿原成光さん(新英研副会長)
 「英語が苦手だという子どもは、なぜ英語がわからないのか」、それは「音がからだに入っていないからだ」という阿原さん。苦手な子がつまずくポイントを、発音、文構成、発声などを通じて、「ことばと人間の教育」という視点から迫っていく。
 文科省の拠点校だった小学校高学年の生徒がアルファベット・カードゲームで、文字と音をつかもうとしている様子がVTRで紹介された。また、声がなかなか出ない中学2年生の授業にボランティアで入り、勇気を出して声を出すこと, 生徒ひとりひとりにMy History、夢を語らせる授業をした。「いつもながら阿原先生のお話にモティベーションを上げることができました」とは大学生の参加者のことば。センテンス・ビルディングカードゲーム、などにも質問が集中した。

(2010年10月4日/10月17日更新)