■ 埼玉北部サークル7月例会

2009年7月
'03年'04年'05年'06年'07年'08年'09年'10年'16年
1月3月5月7月10月
 第23回例会を7月21日、パテイオにて。8名参加。

①レポート 『協同学習(「学びの共同体」づくり)による授業と学校改革の試み』
~英語科における共同学習の意義と可能性~

レポーター  (報告者) 根岸 恒雄 先生(熊谷・大幡中学)
 根岸先生は「学びの共同体」の提唱者である東京大学の佐藤学氏のワークショップに参加するなど、協同学習についての実践を続けている方です。

(1)協同学習の意義と要点とは

 その意義と要点について、
  1. 他者との交わりの中から、認識や感覚を広げていく「活動的で協同的で表現的な学び」を構築する必要
  2. グループ学習の良さは、友達と意見交流できるだけでなく、基礎学力を引上げることが可能である。高学力層の子どもには自分の知識をより確かにすることとなり、低学力層の子どもには学ぶことをあきらめなくなるという相乗効果が期待できる 
  3. グループ学習には「個人学習の共同化」と「背伸びとジャンプのための協同的な学び」の2つの機会がある 
  4. グループ学習は学びが成立している限りにおいて進めるべきであり、学びが成立しなくなる直前で終えるべきである 
  5. 教師の役割は、グループの学び合いに参加できない生徒へのケア、話し合いや学び合いが起こりにくいグループへの援助である 
とまとめています。

(2)一斉授業と協同学習の使い分け

 そして「教えること」「全体での活動」を中心とした一斉授業と、「課題解決」「協力読み」「書く」などのグループ学習を区別し、組合せることが大切であるとしています。
 根岸先生の授業では教室の座席を基本に4人グループに編成し班長を互選させて、ペアの場合は横に座っているどうしでAペア、前後でBペア、自由な組合せでCペアとしてグループ学習をさせているそうです。その結果、生徒のアンケートによると、86%の生徒が「グループ学習は効果ある」と答えており、78%の生徒が「グループ学習は楽しい」と答えています。実際に毎月の実力テストの点数も熊谷全市平均を2~3点上回る結果となっているそうです。

(3)効果が実証され、生徒からの強い支持もある協同学習

 2009年度から根岸先生が中心となって大幡中は、「学びの共同体づくり」に全校で取り組んでいくことになったそうです。外部講師を年5回程度招聘し、年4回の学年研究授業を行い、研究協議は「子どもの参加の仕方」から授業を読み解く形で行っているそうです。
 発表後の意見交換では、「質の高い学びとは何なのだろうか」「人格形成を目指す学びと質の高い学びとの関係は」「ジャンプのためには質の高い課題が必要なのではないだろうか」などが話合われ、グループ学習を行っている参加者からも自分の経験が話されました。「学びの共同体づくり」と「学校づくり」が一体となった、全てを紹介できないのが惜しい晴らしいレポートでした。

② レポート 『ALTとつくる授業』
~チャット、スキット、グループ活動..これまでの実践、そして今後やりたいこと~

レポーター城 由美子 先生(戸田・戸田中学)

(1)ALTとのT.T.=「ラクできる授業」でよいのだろうか

 ALTは生徒の異文化理解や英語力向上のためにいるはずなのに、ゲームやその場限りの活動だけやっていればいいのか・・。T.T.=楽な授業でよいのだろうか?それが出発点だったそうです。その中で年間の計画を緻密に立てて、見通しを持った本当に工夫されたコミュニケーション能力を育てるための多彩な教材を用意します。その発想力と確かな見通しには圧倒されました。これも城先生がさまざまな研究会に参加し、理論と実践を自分のものとしているからでしょう。さらに若さという特権は生徒の感性に近い教材づくりに大きなちからを発揮しています。すべてご紹介できないのが残念です。

(2)ステップを踏みながら自己表現会話に

 たとえば、W-upとして「チャット・トピック会話」では1・2回目は決ったスキッとを読みます。3・4回目は1部分を自分のことに置き換えて、5・6回目は自由に会話をペアで行います。1つのトピックについて6~7回練習して、学期末にはALT相手に会話テストを行うそうです。ステップを踏みながら会話表現を覚え、自己表現会話につながっていくシステムになっています。
 またグループ活動として、"How do you say ~ in English?" の表現の練習活動として、疑問文を作ってALTに質問する活動を行っているそうです。さらに、「○○先生が好きな食べ物は何か?質問する」などのMissionをグループごとに課して、Missionが達成できるような疑問文を考えさせてALTに質問させ、通じる英語なら答えてくれるが、通じない英語であった場合はALTが答えてくれないとしたそうです。  

 (3)4技能をT.T.の中で

 城先生は月ごとにT.T.の授業のトピックを決めて、4技能の統合した活動を試みているそうです。「1時間もてばいいや」から、4技能活動の中にいかにALTを活用するかが課題と思い、工夫を重ねているそうです。また評価については授業に引き込むような評価を心がけ、①会話を続けようとする ②適切な表現を使う ことを加点方式で行っているそうです。
 「相手がいて伝えることがコミュニケーションの基本。感情・気持ち・意見を述べることを大切にしたい」と城先生はレポートを締めくくりました。
 小学校英語が導入され、ゲームや遊びが英語授業と考える生徒が多くなってくるTTの授業で、城先生の実践は非常に意義のあるものだと強く感じました。   

PAGE TOP

(2010年2月16日掲載)