春季セミナー2013
2.現場からの報告
現場からの報告(2)萩原一郎先生 (神奈川・高校)15:25~15:55タイトル:「つまずく生徒たちと創る高校英語の授業」
はじめに
現在は神奈川のS高校(中堅の学校)に勤務。連休中は家庭訪問をしている。これまで進学校に勤務せず、いわば「車のCrownにも乗れず, 教科書もCrownを使えない学校勤務」のキャリアーである。
1.単語が読めない
- 「奇数・偶数読み」…いきなり"Repeat after me."をさせず、自力で読ませる
- フォニックス的な指導方法
①Ireland 例(fire→ire→Ireland)、 ②glare, ③artificial, ④patient - アクセント
- 日本語にない子音
2.単語が覚えられない
- 単語指導の4段階
①単語が読める ②英語→日本語で言える ③日本語→英語で言える ④日本語→英語で書ける
*すべての単語をいきなり10回ずつ書かせるという課題は過大な負担! - 「自学ノート」の活用
一度で書けなかった語について発音しながら3回丁寧に書いてみる。
3.英語の語順が分からない
(1)文の構造プリント
主語(S) (誰が) | 動詞(V) (どうする) | 目的語(O) (何を、誰を) | 場所など (どこで) | (誰と) | 時 (いつ) | |
① ② ③ ④ |
(2)「中間日本語」の利用
健が昨日遅れた理由を知っています。 ⇒ (私は)/ 知っています / 理由を / 健が / 遅れた / 昨日 子どもたちはすべての絵本を箱の中に戻しました ⇒ 子どもたちは / 戻しました / すべての絵本を / 箱の中に |
(3)日本語への記号付け
4.文法が分からない
(1)自然な文脈の中で (2)シンプルに説明し (3)何回も出会う中でつかませる
(4)カードの利用
5.教科書が音読できない
6.「英語の授業は英語で行うことを基本とする」ことについて
「つまずく生徒たち」に英語で授業を進めることは不可能なのか?
番号 | 具体的な方法 | 主たる英語の使用者 |
1 | まずはclassroom Englishの導入から | 教 師 |
2 | ペアワークを取り入れる | 生 徒 |
3 | 導入にOral Introductionを取り入れる | 教 師 |
4 | 授業にもっと音読活動を | 生 徒 |
5 | 日本語訳で終わりではなく、その後を考える(出口を英語に) | 生 徒 |
●萩原報告への質疑応答 (15:55~16:05 10分間)
- (埼玉・中学)子どもはどこでつまずいているのか
→ 主に「文法・語順」ではないか、と考える。 - (埼玉・大学)「スポーツ推薦」で入学してくる大学生を教えている。スラッシュ・リーディングをやっていこうかと思っている。スラッシュ・リーディングをどう教えているか
→私の高校生徒用の文法書を作っているが、スラッシュ・リーディングについては、簡略化して、
① カンマのあと、②接続詞・関係詞の前、③長い主語の後、の3つに絞って指導している - (S高校)自宅での学習をどう指導しているか?
→「自学帳」作成の田尻悟郎さん(関西大学)の実践がある。私は、「練習帳」に単語、英文を書かせる宿題を課して、提出させる。 - (東京・中学)教科書はNew Crownを使っている。かなり長い文章が出てきている。導入と説明をどのようにしているか?
→文章の説明は日本語で行い、発問を工夫している(代名詞が何を指すか、など)。最後に、retelling(与えられた語句を使って本文の内容を英語で話す)を行う。