神奈川新英研9月例会(2021年)
神奈川、東京と、遠く青森や京都・広島からの参加もありました。
中学校実践報告
「中3 オンライン授業の実践報告」
ラジャ紫津子さん(法政大学中学高等学校)
昨年オンデマンド授業が中心で、3年担当二人が順番に撮影して共通に使用した。生徒は二人の先生から学べ、教師も負担が少ない利点があった。Speaking test(1分間speech)を10回行った。楽しそうで、表情が見えていい。トピックを見せてから教師が1分間でモデルを見せ、後に各自作って提出。一方、オンデマンドだと、すぐ見る生徒と溜めてしまう生徒の二極化が起こることもラジャさんは感じた。 「Malala’s Story」は対面で導入+ 動画授業4時間。パキスタン人学生フィバさんとの交流に備え、質問と順序を打ち合わせ、各クラスzoomで40分授業をした。ほぼ全員発言できた。丁寧に答えてくれ、いい授業になった。質疑、討議の中でMalalaの評価、タリバン、中村哲さんについてなど多くの意見が交わされた。
感想より:
- オンライン授業では、どうしても文字情報が中心となりがちですが、普段の授業内容をほぼ再現して生徒が練習できるようにしているところが素晴らしい。同僚の先生と協力しながら、あれだけの教材を作成されていることは驚異的です。
- パキスタンの方とzoomで直接会話をする実践はウルドゥー語を初めて耳にするなど貴重な異文化体験になったことと思います。ご自身や伴侶の方の経験が、この実践をより確かなものにしているのだなと思いました。マララさん、タリバン、中村哲さん、どう考えればいいのか悩んでいます。それぞれの良心がなぜうまく実を結ばないのか探り続けたいと思います。
高校実践報告
「コロナ禍におけるスローラーナーへの授業支援」
松尾真太郎さん(県立新栄高校)
「勉強は大事、英語は必要、がんばりたい」と、苦手と複雑な気持ちを抱えて入学してくる生徒たち。まず、「臨時休業中」と「時差分散中」の学習支援の在り方から学年と教科で協力しようという確認から始めた。2学年共通課題を作成。レターパックをパンパンにして郵送「これまで通りの内容、提出方法」と意識して。担任として家庭に電話連絡。「学年末の成績が不安、進級できるのか…」本当に危ない生徒に対して学校に呼び、特講をした。
振り返ると、こまめな連絡、電話で声を聞いたことがよかった。課題は「登校日に持ってきてね」と繰り返しながら登校日さえだめになる事態。紙媒体が×。Wi-Fiがない家庭にはモバイルルーターを貸し出し、生徒に届くまですごく時間がかかった。Hangouts meetの利用で、画面越しに質問を受けることが可能になる。簡単なホームルームができるように。徐々にICT化。教科を越えて工夫を共有。生徒との関係構築に向けての工夫。
4月に学級開きができない中で、運動部顧問として生徒にはかわいそうな思いをさせた。メンタルヘルスの重要性を感じ、すべての枠を取っ払って担任、副担、学年団、教科担当、進路指導部、男性・女性スクールカウンセラー、スクールメンターで取り組んだ。特に進路指導の面で変更点が多く、正確な情報を伝えられるよう努力した。
昨年の経験を生かして、現在は1,2年生週1回、3年生週2回 の自宅学習日を学校と同じリズムで行っている。グーグルミートで双方向型。この時間内だけ配信型にし、17時の課題提出時間設定型にするが、生徒の好みは分かれる。自宅学習日は教室SHRとオンラインSHRのハイブリッドにし、ミートで質問に答える時間設定。ブレーキのかけ方が大切で、やり過ぎないこと。
反省として、紙を大量に出した(オンラインでも)→量と時期を適切に設定すべき。兄弟がいると同時に使う時の弊害が出てきた。「教室でできること、すべきこと」「オンラインでできること、すべきこと」を峻別すべき。
ハイブリッドの音読練習はボイスメモや声だけ画面に録音して出させるとしっかり声が確認できよかった。「対面でペアワークはできるか」の質問に同時に行っている2教室でクラスを跨いだペアワークができたと答えられた。
感想より:
- 公立高校での典型的な取り組みだと思い共感する場面が多かったです。オンラインの正味20分+生徒の活動20分が限度になると思います。デジタル格差が教員にも生徒にも生じていると思います。いきなり機器やソフトを使った授業をせよと言われても、どの部分を画面にもってくるのか、情報の多い教科・科目は絞る必要がある。100%近くの生徒を理解してもらい、実行させるには数種類の手段を駆使していく必要があることは同感でした。紙、丁寧な指示のことば、一緒にやる、など。
- このコロナ禍で振り回された現場の状況を記録しておくことは大切だと感じました。生徒への思いが伝わってくる報告でした。心理的に追い込まれるのは生徒も教員も同じだと思います。教員も学力保障を考えると「プリント攻撃」してしまうので気をつけないといけないですね。
開催のお知らせ
●日時:2021年9月19日(日) 午後3:00~5:30
3:00 ~ 入室開始
3:10 ~ 3:55 中学校レポート
3:55 ~ 4:10 質疑応答
4:20 ~ 5:05 高校レポート
5:05 ~ 5:20 質疑応答
5:20 ~ 5:30 事務連絡・アンケート記入
●参加条件:神奈川支部会員、事務局が参加を認めた方
●参加申し込み:会報担当・和田(削除しました)にメールを下さい。
URL、IDとパスワードを送ります。
● 中学校実践報告
「中3 オンライン授業の実践報告」
ラジャ紫津子さん(法政大学中学高等学校)
レポーターから:
2020年度コロナ禍で行った、中3のオンライン授業について報告します。 教科書Sunshine3「Malala’s Story」の授業で、パキスタン出身の大学生とZoomによるやりとりに挑戦しました!現在各校でタブレット導入が進められていますが、オンライン授業実践をもとに、オンラインの良さを活かした授業について、みなさんと考えていきたいと思います 。
● 高校実践報告
「コロナ禍におけるスローラーナーへの授業支援」
松尾真太郎さん (県立新栄高校)
レポーターから:
臨時休業など新型コロナウィルスの影響の受けながらの教育活動も1年半を迎えます。高校英語の授業において、スローラーナーを対象に、この1年半でどのように授業が変容してきたのか、日常の一コマを、成功例と失敗例を交えながら振り返り、今後の学習サポート全般の在り方を検討できればと思います
★次回以降の例会予定:
- 10月東京・埼玉・神奈川合同例会 10月9日(土)午後
- 12月例会 12月19日(日)尾張至伸さん(弘前市立北辰中学校)
- 1月関東ブロック集会 1月9日(日)午後
- 3月例会:3月20日(日)
- 5月例会:5月8日(日)半日研修会
- 7月例会:7月10日(日)