神奈川新英研3月例会(2021年)

2024年5月6日

2021年3月21日(日) Zoom 12名参加
3月21日(日)にオンライン例会を行いました。午後3時から2時間。12名参加。
レポーターはお二人とも関西から参加してくださいました。

【中学実践報告】

「自己・他者の肯定感を育む表現活動~小中を接続した表現活動を通して」
松本志津子さん
(京都教育大学附属桃山中学校)

 松本さんは小中学校の児童生徒たちが、交流授業により自分や他者への肯定感が生まれるだろうと仮説を立てた。1学期、中学生(1年)が小学生(3年)に楽しい英語ゲームのやり方をビデオレターで紹介した。2学期にはマッチングゲームによって、ペアになるグループを作り相手のことを知り合う(1回目)。中学生がその時のインタビューを基に小学生ペアパートナーに送る絵本を作って送る(2回目)というもの。絵本は音で聞き分けられ、相手の名前を入れて親しみが湧くものにした。中学生は小学生を励ますことで自分をも励ましていく実感が得られたとのこと。「他者と関わって一緒に何か作る時、自己肯定感が生まれる。今ますます必要になってきている」「教員間でもコーヒーを一緒に淹れて飲むようなことが足りないのではないか」等の意見が述べられた。

参加者の感想より

  • 来年度は中学生も担当するので、興味を持って参加しました。改めて自己表現の大切さを学ばせていただきました。今年は高校で英検対策の英作文の授業を担当しました。自分の思いとは関係なく「点が取れる英作文」をそつなく書く生徒がいる一方で、何とか自分の考えを表現しようする生徒もいて、普段の授業では見られない生徒の一面を垣間見ることができました。残念だったことは、授業で生徒のいろんな意見を交流、分かち合うことができなかったことです。時間の制約もありますが、工夫の余地があったと思い、次年度はそのような機会があればやってみたいと思いました。
  • 「自己肯定感」についてよく分からなかった。理論に走り過ぎていないか?
  • 小学校3年生と中学1年生の交流をその特性を生かして自己肯定感を育む様子がよく分かりました。絵本にしてもらった小学生は自分のことで本にしてもらい嬉しかったことでしょう。できれば、小中、中高、高大でもこういう形の自己表現活動が広がるといいですね。自分の職場も中高一貫校なので試してみたいです。
  • 理論に基づいた実践で、小3も中1も一連の流れの取り組みで変容したことが実感できますね。相手意識、必然性がしっかり設定されていて、関与、受容で一回り大きく成長できていると思いました。
  • ご発表ありがとうございました。理論と実践の両立を体現されている点に大変、学ぶことが多かったです。やはり校種を超えた交流や授業は良いものだと改めて思いました。

【高校実践報告】

「より有機的な授業を求めて~映像と言葉の意味に向き合う」
吉浦潤次さん
(元大阪府立高校教員)

 三年生のリスニング演習での授業の報告をされた。若林俊輔氏の言葉、 “Tell me and I forget. Teach me and I remember. Involve me and I learn."の最後に、松本さんの実践とも通ずるものがあると。吉浦さんは教育としての英語の授業には「好きにさせる以上に大切なものがある」と言う。それは深い授業であり、「学期に1回は深い授業を」と提案された。また、静かに自分のクリエイティブな想像力・思考力と向き合う「言葉と格闘する楽しさ」を味わう授業であると。一つは『アナ雪』のLet It Go の場面から歌える日本語の訳詩を集団で作らせ、発表し合った実践。原詩の音節数に合わせた日本語を考えさせる。(シートがひらがな一つずつ入れるマス目になっているのが秀逸)時間をかけ、満足のいくものができたが、他のグループを聞くとさらに上手なグループがいると刺激の与えあいがあったようだ。もう一つは映画『インビクタス』の1シーンに簡潔でそぎ落とした字幕(1秒に8文字といわれる)をつける作業。
★参加者とのQ&A
「生徒が食いつくかどうかは事前に読めるもの?」「分かる。感動を掻き立てられる。魂をゆすぶられるそういうものでなければ教材にしない。ハワイ王国の滅亡の英文教材を作り、やった。生徒は知らなかった。意識を持つようになった。私自身がこれは伝えたいと思うものを生徒に作って授業する」
(文責:棚谷孝子)

参加者の感想より

  • 実践が魅力的でぜひやってみたいと思いました。
  • 大変勉強になりました。字幕づくりは授業でやってみたいと思いました。萩原先生が言われたように、最近勤務した学校は年間のシラバスがガッチリ決まっていて、それをこなすのがやっとといった感じでした。でもぜひチャレンジしたいと思います。
  • 「自己肯定感」についてよく分かった。
  • 吉浦さんらしい歌と映画を利用した日本語訳や字幕作りの実践は生徒のやる気を出させる好例だと思います。若い彼らこそ今の時代の流行にも敏感ですし、古典的日本語表現と比較しても面白いのではないかと思います。
  • 色々な取り組みを紹介下さって、興味深く伺いました。(余談ですが)以前、神田外語グループ主催の字幕翻訳コンクールがありましたね。ある年「ナイト・ミュージアム2」が課題で、3つのシーンがあって、何文字以内に翻訳すればいいかも提示されていました。選択英語のクラス全員で応募したら、一人が努力賞に、そして全員に映画のチケットが送られてきて大喜びしたことを思い出しました。今はなくなっちゃったんでしょうか?
  • ご発表ありがとうございました。長年、様々な実践をなされてきたことがよくわかりました。映像も生徒の興味をひくもので、楽しそうな授業がイメージできました。

日時:2021年3月21日(日) 午後3時~5時

 3:00 ~ 入室開始
 3:10 ~ 3:40 中学レポート
 3:40 ~ 4:00 意見交換
 4:00 ~ 4:30 高校レポート
 4:30 ~ 5:00 意見交換・アンケート記入

●参加条件神奈川支部会員、事務局が参加を認めた方

●参加申し込み:会報担当・和田(sasuke@mbd.ocn.ne.jp)にメールを下さい。
URL、IDとパスワードを送ります。

 中学実践報告
「肯定感を育む表現活動~小中を接続した表現活動を通して~」
松本志津子さん(京都教育大学附属桃山中学校)

レポーターから:今回は、昨年度、「自己肯定感を育む授業」を小中で連携して行いたいと考え、実践しました。実践を経て得た成果や課題、また自己肯定感を育む授業とはどんなものかを実践と理論を重ね合わせて考えました。みなさまと学び合える時間となりますことを楽しみにしております。

 高校実践報告
「より有機的な授業を求めて〜映像と言葉の意味に向き合う」
吉浦潤次さん(元大阪府立高校教員)

レポーターから:大阪府立高校を退職した後、非常勤で高校三年生対象に行ったリスニング演習での授業をご報告します。言葉の意味や音に向き合い、英語の力をつけていく一つの方法としてみなさんとシェアできれば幸いです。

2024年5月6日神奈川

Posted by admin_wp