『学習指導要領』及び大学入試に対する意見(2021年)

2024年6月11日

Ⅵ.「外国語」の「目標」について

 私たちは、外国語教育の目標を定めるに当たっては、外国語教育の改善のために、以前から次のように主張してきた(巻末資料参照)。

  1. (1) 外国語教育が言語教育の一環を担わなければならないこと。
  2. (2) 外国語教育が人間相互の理解の教育、ひいては国際理解の教育において、重要な役割を果たさなければならないこと。
  3. (3) 上記(1)および(2)は、当該外国語を、実際に体験することによって初めて実現できること。

 私たちは、以前から提言において「21世紀を展望するとき、人間が人間らしく生きられるよう、国際社会の普遍的目標を明確にし、世界の人々と連帯・協力して、この目標の実現に向けて考えかつ行動する人間を育成する教育の推進を強調すること」を求めてきた。
 しかし、以前の『学習指導要領』の目標には「国際理解を培う(深める)」ということが掲げられていたが、それが最近の『学習指導要領』でも示されていない。さらに、表現は変わったが、相変わらず「コミュニケーションを図る資質・能力を(中略)育成することを目指す」となっている。これでは外国語教育が「コミュニケーションの道具」としての外国語の教育に限定されることは必定である。私たちは、外国語教育の目標については上記の(1)~(3)を明確にすべきであると主張してきたが、その真実性は変わらない。『学習指導要領』の「目標」ではこうした外国語教育を実現することは難しい。再考を望む。
 さらに言えば、「答申」が「他者とコミュニケーションを行う力を育成する観点から、社会や世界との関わりの中で、外国語やその背景にある文化の多様性を尊重」と記しているが同感であり、これは『学習指導要領』の「外国語」の「目標」に反映されなければならないと考える。

2024年6月11日知2021

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