『学習指導要領』及び大学入試に対する意見(2020年)

2024年6月6日

Ⅲ.入学者選抜試験(入試)における外国語について

 私たちは、小中高校生の「英語力」測定に外部検定試験等を使うことに反対してきた。大学入試共通テストへの導入は2019年11月1日に延期が発表されたが、これは中止すべきであると改善協は提言する。
 私たちは、1980年度の大会で、「大学入学試験に音声テストを導入すること」を提言し、その後、「入試で外国語を課する場合、リスニングおよびスピーキングの要素を大幅に増やすべきである」と主張してきた。そして、2006年度の大学入試センター試験から「リスニングテスト」(英語)が実施されたことを、改善と考えている。しかし、外部試験の利用によってスピーキング導入を果たそうという考えには、同意できない。
 近年の性急な外国語教育改革政策の大部分は、CEFRを参考にしている。ところが、その背景や理念は切り離して表面的な形式のみを部分的にコピーしようとしているため、そのまま日本で実施すれば矛盾が生じる。大学入試の外国語の問題もまたそのひとつである。
 新たな大学入試共通テストへの外部試験導入が誤りである理由について、昨年度に引き続き今年度も別紙にまとめるので参照されたい。その中で、導入案が受験者のためではなかったことに触れている。青少年の役に立たないものは、教育的ではない。

 大学以外の入試に関する問題点も、以下に指摘しておく。

  1. CEFRを参考にするならその複言語主義を共有するはずだが、英語以外の外国語を入試科目とする高等学校はほとんどない。その増加を支援する必要がある。
  2. 小学校での外国語活動必修化以降、中学校入試で英語が選抜材料になってきている。しかし、「五つの提言」でも「中学校における入学者選抜における英語の扱いについて、引き続き慎重な検討が必要であるとの指摘」と言及している。「教科化」が実施され、入試用の英語学習を小学生に強いる状況はよくない。
  3. 東京都は高等学校入試への外部試験導入を予定しているが、大学入試同様、導入すべきではない。

2024年6月6日知2020

Posted by admin_wp