■ 授業に歌を

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第161回 Yesterday イェスタデイ ビートルズ(The Beatles)

棚谷孝子(たなや・たかこ 平塚市立神明中学校)

ビートルズの歌を取り入れることについて

 The Beatlesの歌は中学生の私を英語の世界へと導いた通路です。6年生の時に少女雑誌の芸能記事でビートルズを知り、中1で映画『ヤァ! ヤァ! ヤァ!ビートルズがやってきた』を見て、大人になってからも毎日のように聴いていた記憶があります。赤盤、青盤の数十曲、本当にすごい!
 英語の教室でも数十年間何度となく歌ってきました。教室でよく歌ったのは

And I Love Her And I Love Her の歌詞を別のウインドウで表示する (目的格),
All Together Now All Together Now の歌詞を別のウインドウで表示する (命令文),
Yellow Submarine Yellow Submarine の歌詞を別のウインドウで表示する,
From Me To You From Me To Youの歌詞を別のウインドウで表示する (関係代名詞),
Please Mr. Postman Please Mr. Postman の歌詞を別のウインドウで表示する,
All My Loving All My Loving の歌詞を別のウインドウで表示する (助動詞will),
Hey Jude Hey Jude の歌詞を別のウインドウで表示する,
Hello Goodbye Hello Goodbye の歌詞を別のウインドウで表示する (反意語),
Yesterday Yesterday の歌詞を別のウインドウで表示する (過去形),
Imagine Imagine の歌詞を別のウインドウで表示する, 
Happy Xmas (War Is Over) Happy Xmas (War Is Over) の歌詞を別のウインドウで表示する,
Ob-La-Di Ob-La-Da Ob-La-Di Ob-La-Da 歌詞を別のウインドウで表示する,
Help! Help! の歌詞を別のウインドウで表示する,
Can't Buy Me Love 歌詞を別のウインドウで表示する (SVOO),
Love Loveの歌詞を別のウインドウで表示する,
Let It Be Let It Beの歌詞を別のウインドウで表示する

などです。そう言えば、ジョン・レノンも生きていれば今年で70歳になります。生徒たちは曽孫の世代ですね。子、孫、ひ孫たちとビートルズを歌ってきたことになります。

Yesterdayについて

 ジャンルはロック音楽ですが、バックが弦楽四重奏というのが独特です。この耳になじみやすいメロディーゆえに世界一カヴァーヴァージョンが多い曲だそうです。コンサートのMVを見ると、ポールが一人ギターを持って歌っています。
 この曲は歌詞を読むと失恋の歌に見えますが、実はポールが亡くなったお母さんに書いた曲だと言われ、ビートルズマニアの間では、ポールが母親にささげた歌というのが通説になっているようです。
 授業で扱う時に私がメリットだと思うのは、「不規則動詞の過去形が鮮やかにインプットされる」ことです。1年生の4月にHello Goodbyeで授業開きをして、3月に、一般動詞の過去形が最後の課で出てくる時によくこの歌を使います。3単現のSは比較的教えやすいのですが、1年生の最後に来て、go/wentなどの不規則変化に遭遇します。世の中に「不規則」もあるということを知って、ことばの不思議を知ってほしいと思います。
 アメリカの小説などを読むと、小学校低学年の生徒が「読んだ」を「readed」と書いて、先生に正されたりしています。英語に限らず、卑近な単語ほどこうした発音やつづりの間違いをすることがネイティヴでもあるので心配する必要はないと教えます。韓国語ビギナーの頃、韓国に行った時、「読む」の原形「읽다」(ikta)を現地の人が(ilta)だと言い張るのでびっくりしました。

 この歌には came / had / said / was という不規則変化する動詞の過去形が含まれているので、声に出して歌えば印象に残るのではないかと思います。
Yesterdayの授業用配布プリント  歌の内容は単純そうでいて、日本語訳がむずかしい歌です。プリントを作る際、訳詩はどこかからの引き写しでなく、ぜひ教える先生ご自身の訳を提示されたらいいと思います。
 Suddenly I'm not half the man I used to beの行ですが、
I'm not the man I used to be. (ぼくは かつての自分ではない)
I'm half the man I used to be. (ぼくは かつての自分の半分だ→かつての自分ではない)
の両方を一斉に言った、言うなれば「2重否定」のようなものだと思われます。I didn’t say nothing.のような口語でしょうか。『レクシス英和』によると、形容詞のhalfには「不完全な、不十分な」の意味があり、I'm half the dancer I used to be. (以前ほどうまく踊れない)とあります。まさにこの例に該当すると思います。
 副詞のnot halfは、形容詞と組み合わせる用法であり、該当しないと思います。

《口語》「全然、少しも」
Not half bad for the beginner.
(初心者にしては上出来だ。)

《イギリス口語表現》「とても、非常に」
It isn't half hot today. 
(今日はひどく暑い。)
"Did you enjoy yourself?" "Not half!"
「楽しかったかい?」「とっても!」

ポールのインタビューから

 TV番組「復活! 25年目の奇跡!! ザ・ビートルズ アンソロジー」(1995.12.31放送)で、ポールが言っています。
 「ぼくは昔、最上階の小さな部屋に住んでいて、ベッドのそばにはピアノがあってね。ある朝起きたら曲のアイディアを思いついた。古いジャズのメロディーに似ているんだ。親父が聴いてたジャズのメロディーなのかもしれないし、どこかで偶然覚えたのかもしれないね。そのメロディーをピアノで弾いて、コードを探したんだ。G、Fシャープ、マイナー7、Bみたいなメロディーだった。後日、このメロディーを友だちに聴かせて回ったけど、誰も知らなかった。書こうと思って書けるメロディーじゃないよ。夢の中でできた曲なんて、ついてるとしかいいようがないね。」

生徒の感想

CD

【赤盤『The Beatles /1962-1966』東芝EMI 株式会社】

資料

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