■ 神奈川新英研2月例会
2008年2月
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2月3月4月5月6月7月9月10月11月12月
 2月16日、大倉山記念館にて 参加者16名。

●実践報告(中学)

「孤立した生徒たちにともに学ぶ喜びをわずかでも味わわせた実践」

矢作富男さん(横浜市立平戸中)
 授業中に教室を2〜3周して、ノートにスタンプを押したり、生徒と話したり…。人とのかかわりが苦手な生徒たちとのふれあいを心がけていらっしゃる矢作先生の報告でした。

(1)矢作先生
 実践では以下のことを大切にしている。
  1. 日常的に(毎時間):教科書の読みのペアワーク、書き取りのスタンプ(教師が全員を評価して回る)
  2. 投げ入れ的に:沖縄教材(3年)、サダコ(3年)、日本国憲法英文の抜粋(2年)、水俣病をテーマにしたWe Can Stand(1年)。
(2)授業の前半
  1. 歌:Backstreet BoysのI Want It That WayやIncomplete、Shape of My heartが生徒に好評(アバは不評…)。1ヶ月に1曲のペース。Zero landmineは2年のLesson 8に関する歌。
  2. ペアによるリーディングマラソン(5分);教科書で既習の1ページを教師が範読→じゃんけん→負けた人が読む→勝った人が読む→スタンプ。習慣づいている。
  3. ライティング・マラソン スタンプ(5分):「ライティング・マラソン」ノートに1ページ書いてくればスタンプ1コ(現在形と過去形、月の名前などでよい)。量が多かったり内容が優れていればスタンプ2コ。このときに個人的な会話を心がけ、大切にしている。
(3)授業の後半
  1. 文法事項の導入:ゲーム、絵、プリント。好評だったものは「自己紹介ゲーム」「いっせーのぉせゲーム」=黒板に日本語で英文の訳を書いておき、生徒はそろえる英文を1つ選ぶ。SVOO文型の英文でバラバラなカードを組み合わせて英文を完成させた人が勝ち。
  2. 教科書による学習:すべてでプリント化してある(本文は活字だが、それ以外は矢作先生の手書きで新出単語と発音、日本語訳の穴埋め、文法事項)。単語→読み→訳→Intake Reading(相手の言ったことを繰り返す)→背景学習を適宜(温暖化、アイヌなどをビデオやプリントで)
  3. 自主教材:水俣病をテーマにしたWe Can Standの歌、キング牧師のI Have a Dreamの演説(中3で一部を暗記させる)、『スタンプ4倍 特別読み物 OKINAWA』。

★参加者の感想
  • ワークシートやゲームなど、明日から使えるお土産をたくさん頂けてとても嬉しいです! スタンプはやっぱり心がうごくなぁ〜と思いました。男の先生がこんなカワイイスタンプをポンと押してくれるだけで、何だか授業が楽しくなっちゃいます。マイスタンプ、インクなくなり、赤ペンになり、赤ペンも忘れていった時には黒ボールペン…、という味気ない私の触れあい…。スタンプを持って廻ってきてくれるの、きっと生徒たちは楽しみにしているんだろうなぁ、と思いながらレポートを聞いていました。私ももっと愛を持ってサービス精神もたっぷりに授業をしていきたいです! 

●実践報告(高校)

「主体的に“読む”生徒を育てるために〜国際コースReading授業の試み〜」

小泉香織さん(橘学苑高校)
 4年前に国際コースを立ち上げ、実績を形として残され、今年1年休職されてオーストラリアに留学される小泉さん。職場が多忙になる中でも時間を見つけては校内での教科研修会や「Have a Break」という茶話会形式の若手交流会を企画され、神奈川支部例会では節目節目でレポートし、振り返りを怠らない。小泉さんは常に前進していきます!

<Readingの授業 >
  • ねらい:効率よく英文を読めるようにする、自分の英語のレベルを把握する、たくさん読むことで楽しさを味わう、実際に英語を使う練習をする。
  • 心がけたこと:テンポよく進め、「緩み」と「集中」の時間を作る、個人・ペア・グループ学習の目的と手段を明確にする
  • 小泉さんが授業を通して学んだこと:「教師自身が洋書を読むことを楽しみ、感動すること」
  • 教室でのスキルトレーニング(1時間):Reading Power (Longman) Basicを用いて、多読への橋渡しにする。
★生徒の感想=
「グループでこの教材をやるなかで、自分ができないことが恥ずかしいという思いが払拭できた。毎回自分の発見だけでなく、友だちのすごさも発見」「グループワークでアドバイザー役(ミニティーチャー)をやった。教える立場になると自分の弱点も分かる。何よりもグループのみんなと共に理解し合えたときはすごくうれしかった」
<図書館での多読活動(1時間)>
各自が洋書(Graded readers)を自由に読む。教員も洋書を読みながら、生徒の様子をうかがい、レベルの選び方をアドバイス。
「読書記録手帳」に「タイトル」「語数」を記入、1冊読んだら「読後感想」。一昨年は100万語読んだ生徒や、NZに留学後も継続して記録していた生徒もいた。
(a) 選び方=「興味のある本」「未知語が1ページに3つ以下」
(b) 読むときの3原則=「辞書は引かない」「わからないところは飛ばす」「つまらなければやめる」
(c) 発展=お気に入りの洋書を紹介するための「帯づくり」で図書館に展示すると他学年にも刺激になる。ストーリーの続きを考えて、グループ発表。
(d) 評価=教材から出題する試験と多読活動(日本語または英語での簡単なレポートをさせて内容と量を評価する)を元に評定を出す。

★参加者の感想
  • ロングマンのリーディングの本を紹介していただいてとても良かったです。リーディングに関してもっと早く知っていれば…!! 洋書はさっそく予算を組んでもらえるように言ってみます!! 本当、国語の先生のお蔭もあるのですが、本好きなんです、うちの生徒。ブックノートとか帯づくりとか国語とタイアップしてやりたい!とわくわくしてしまいました。朝読書の時に洋書を開く子が出てくるのを夢見て…、まずは図書室においてもらおうと思います(今はゼロ)。
  • 多読をするための本をたくさん買えるのは公立中学とは違っていいなあ!と思いました。(多読学会の会員になると一度に何百冊もかりられると聞いていますが、紛失すると弁償しなければいけなくなるということがあるので、足踏みしています。)実際の本など面白い教材をたくさん見せてくださり、ありがとうございました。(荷物が重かったことでしょう!)。和田さんのHow Romantic Are You? も楽しかったです。


(連絡先:萩原一郎)
(2008年7月25日)