■ 東北ブロック研究集会

2007年11月

2007年 第39回東北新英研秋季研修会


 11月23日(金)〜24日(土)岩手県花巻市の花巻温泉・紅葉館において第39回東北新英研秋季研修会が開催されました。参加者は21名。中身の濃い研修会になりました。

1日目


「日英翻訳作業で行う読誦の効用について」

 1日目は高橋悌子先生の「日英翻訳作業で行う読誦の効用について」-宮沢賢治作「耕耘部の時計」の日英翻訳作業を通して-と題して、オノマトペ(擬音語・擬態語)の多い賢治作品を翻訳する際に音読がどれほど有効であったかというお話でした。これでもかというほどオノマトペが次々に出てくる。それを全て違う英語に翻訳していくことの苦労について丁寧に語った講演でした。賢治への思い入れの深さを感じさせながら、エネルギーの塊のような高橋先生に圧倒された90分でした。

ワークショップ

 続いては富山の海木幸登先生のワークショップです。「授業を楽しみ、生徒に力をつける-学び続ける先生に!-」と題して、教科書のコピーを利用して、単語の導入・発音指導から始まりました。ユーモアたっぷりに海木ワールドへ引き込んでくれました。丁寧にペア活動の進め方を紹介・体験させてくれ、気がついた時には教科書の読解が終わっていました。

その後

 その後、教科書の題材を深く理解するための手立てを、アンネの日記を例にとって紹介してくれました。アンネのエピソードを一つ聞くごとに、教科書の英文への思い入れが深くなっていきました。
 さらに生徒の頭をフル回転させる指示などを例示してくれました。あるテレビ番組を例にとり、全然絵に興味のない人に対して、「1枚絵を買って帰るつもりで絵を選びなさい」という指示で熱心に絵を見始めた人の例を挙げ、教室でどのように応用できるかを話してくれました。海木流ノート作りについても語られました。どのような英語通信で生徒に「自分流のノート」を作らせたかの過程が紹介されました。海木先生の授業論についても語られました。授業作りのシステムの作り方、教材・教育内容・教授行為・学習活動などの4つの要素についてなど、理論的なことについても語られました。そして、その上で「音読ご意見番」などの活動も体験し、相手がいてこその音読の大切さを再確認しました。密度の濃い2時間半でした。

2日目


ワークショップ

 2日目は小野エイミー先生(山形)のワークショップから始まりました。レポート内容は右脳を使い、無意識的なプロセスを使用する学習法についてでした。実際にはエイミー先生がスペイン語の授業をしながらその過程で体を動かすことで記憶に焼き付けるという方法でした。楽しみながらスペイン語が身につくという不思議な感じを味わいました。

「ウォームアップとしての帯活動」

 成田茂樹先生(青森)の「ウォームアップとしての帯活動」は毎時間授業の初めに行っている、ビンゴ・ディクテーション・会話活動・単語インプットの4つの活動について紹介されました。テンポよくすすめることで上位も下位も飽きずに活動を続けられるという良さが報告されました。

「レイチェルカーソンの読み取り-訳先渡し授業の取り組み-」

 佐藤誠剛先生(岩手)の「レイチェルカーソンの読み取り-訳先渡し授業の取り組み-」は、授業先渡しの授業についてですが、生徒が好意的に受け取り、実力の伸びも実感できるとレポートしてくれました。そして、その弱点として英文の表面的な理解にとどまる可能性があることも合わせて述べられました。長所と短所の両方に触れる深みのあるレポートでした。

「ALTと作り上げた英語Writingの指導」

 松浦泰二先生(宮城)の「ALTと作り上げた英語Writingの指導」は、松浦先生の人柄が感じられる温かいレポートでした。選択授業でのなかで題材をマッピングするなどして広げ、10行の英文を書くことに慣れて、個性的な作品が生まれていく過程がレポートされました。

 時間不足を感じた2日間でした。最後に高橋先生に「雨ニモマケズ」にオリジナルのメロディをつけた歌を日英両方で披露してもらい、研修会を閉じました。宮沢賢治に始まり、宮沢賢治に終わった学習会となりました。

(連絡先:成田茂樹)
(2008年1月27日)