神奈川支部9月例会(2024年)

2024年12月9日

■9月例会(オンライン)報告

2024年9月8日(日)午後3時~5時30分、オンライン(Zoom)、参加者15名。

1)中学校実践報告:「誰もが笑顔になれる授業を!」

福島悦子さん(埼玉・新座市立第三中学校)

レポーターから:英語が好きな生徒も、得意な生徒も、苦手な生徒も、嫌いな生徒も、皆が笑顔で英語を学習できる授業を目指しています。そんな思いを持ちながら、昨年度から埼玉県の学校に勤め始め、全く文化の違う環境で奮闘してきた実践を報告します。よろしくお願いします。

参加者の感想

  •   レポーターの感想  ご迷惑をおかけしました。皆さん優しく接してくださりありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです!
  • 大変、困った環境の中での授業の組み立ての苦労、身につまされる思いです。小学校での半端な英語学習、学力格差、コの字型の「まなびの共同体」形式の強制、さぞ大変だろうなと思いながら聞きました。時間が短くなって手短になったこともあってなのでしょうが、英語教育実践の蓄積のない私においては、実践された各事項に取り組む教育上の意味が今ひとつ把握できなかったのが残念でした。コの字型は形式優先で、学ばせたい目標とかみ合わないものなのでしょうか。問題状況から引き出された授業課題、授業課題に対応する実践の工夫とその最善の妥当性を生徒が気づき・身に付けて行く学習展開の筋道が立脚する仮説をあけすけに語っていただけていたら理解できたかなと惜しく思いました。なお、どこまでが1年生の実践でどこからが2年生の実践になるのか、実践の対象学級・期間など実践の環境がつかめないまま聞いていましたが、後の泉康夫先生からの率直な確認や疑問による応答が状況理解を補っていくうえでとても有益でした。
  • 現行の中学生への英語教育について知ることができました。「尊敬している人を挙げる」という課題は、生徒が自身の英語力を磨くのみならず、他への考えを巡らせる訓練にもなると思います。
  • 世界には美しいところがあるという思いはだいじですね。
  • 自己表現をふんだんに取り入れながら、生徒自身と向き合っていらっしゃる先生の姿が目に浮かびました。
  • 中一生の小学校での英語の授業がどうであったかがわかりました。ローマ字、アルファベットのつづりの不完全さ、語順、代名詞の定着の低さなど、苦労がわかります。2 人、4 人の活動はどこでも課題です。グループのチーム名を英語で作らせたり(動物や野菜名)しています。代表を立たせて発表させるなど、効率化するには難しい面がありますが、続けて楽しめる、他人のことを深く知る機会を作りたいですね。
  • 色々と細かく工夫されているのだなと参考になりました。教材も丁寧に作られていて、他の業務をしながらどれだけ時間をかけて、いつ準備されているんでしょうか??今年度転職し、初めて一年の英語科を T1 として担当しているので(T2 はいません)明日の準備で精いっぱいで、一週間、一か月先まで見通しを持ちながら計画など全然できておりません。よって、準備する教材も考えておいても生徒の様子をみてできなかったり先送りしたりと、ルーティーンがなかなか作れずにいます。参考になりました。どうもありがとうございました。
  • 浅川さんの案内で巡ったフィリピンで福島さんがぐいぐい英語で話していた姿を思い出します。流行に流されない練習活動に好感を持ちましたが、教師が与えた型に沿って英語を話させるだけでぐいぐいと発話するようになるかどうかは疑問です。9月号掲載の久保野さんのリテリングをやってみませんか。これなら生徒が本当に英語をとつとつとしゃべるということが実現するはずです。

2)報告:「教材探しの廻廊を巡る」

浅川和也さん(フリー)

レポーターから: 『新英語教育』10月号「World Issues を明日の授業に」のリンク集
https://padlet.com/kasan/2024-world-issues-ea7mg83hlix3hm71
をネタにします。ふりかえると、紛争地:スリランカほかミンダナオ(フィリピン)、ミャンマー、ベルファスト(北アイルランド)、バスク(スペイン)、プエルトリコ(米国)、コロンビア、パレスチナ、レバノン、クリミア、リビィウ(ウクライナ)、アルメニアなどでの会合での経験もあり「英語教育にマクロの視点を」(2024年8月号)の背景として併せてお読みいただき、やりとりをさせていただければと思っております。

参加者の感想

  • 社会科研究者でもある私には、海外体験の知見という「素材」を社会科に取り込む発想は容易に浮かぶのですが、英語科において英語的思考や英語習得の推進において,どこを向上させる「教材」になるのか、構図をつかむことができなかったのが苦しかったです。ちなみに、私もスリランカの漁村に行ってみたり、メコン川をタイからラオスへ遡ってみたり、アンネの隠れ家に入ってみたりしましたが、授業実践的にはエピソードとして触れる以上のことがうまくできませんでした。ただ、じっくり旅したギリシャ・ローマ・エジプトは、英仏蘭は地理的意味や歴史理解を掘り下げる教材に組み立てることができました。英語では、どう意味づけ、組み入れたらよい「教材」になるのかというところを縷々説明していただけるとありがたかったと思いました。ちなみに、英語以外の文字を、アルファベットと対比して取り上げるのは有益なように感じますが、どう意味づけして整理したら、英語学習によい効果をもたらすのでしょうか。それもそうですが、文字を持たず音声言語しか持たない言語が身近なアイヌ語を含めて世界にはいくつもありますが、英語教育では文字のない言語に対する意味理解をどう取り入れているのか知りたくなりました。これからも宜しくお願いします。
  • 各国の英語教育の事情について深く知る事ができました。
  • 独自の教材作りはなかなか難しい中で、いろいろな材料が手に入れられたように思います。今後の参考にさせていただきます。
  • 世界を飛び回りながら、学びにつなげていく浅川先生の生き方に憧れます!とても勉強になりました! またご一緒させてください。
  • 30都市を巡ってその実情をデータで知る。とても勉強になりました。趣味の違いはありますが、世界を知る、表面的にではなく、現地の声を生で聞けるサイトは必要ですね。自分でも調べてみたいと思います。日頃は日本地図と世界地図が裏表一枚になったもの(世界遺産の年を示す番号、特徴ある県の産物や文化入り)が、生徒が見てわかり、指でさし発表する時に役だっています。
  • 戦争、歴史については、私にとって全く苦手な分野です。アンネ・フランクはかろうじて知っていますが、それを教材にして授業をするような技?がありません。しかし、ガーナ出身の男の子が話していたことなど、生の声を聞くなどは使えそうな気がします。一方で、クラスで不登校気味になっている子、家庭の事情がありながら学校に来ている子、LGBT当事者かもしれないお子さん、自閉症やADHD,難聴のお子さんがインクルーシブ教育の視点から交流級(いわゆる普通級)に参加している現状などを鑑みると、「みんなで考えてみよう。」といったアプローチの仕方でどう授業に取り入れたらいいのか考えつきません。今年初めて一年生の英語科についたもので、いつか慣れてきたときにこのようなcontroversial issue に取り組める先生になれたらいいなと思いました。今の英語教育でもインタラクティブな教育を求めていると感じますが、教える自分にその準備がない状態だと感じます。色々と勉強になりました。ありがとうございました。
  • 浅川さんがこれまでに訪れた地を目にして、ただただ圧倒されました。私が浅川さんとご一緒できたのはフィリピンだけですが、たぶん10回近く訪れているのではないかと思います。ネグロスに2回、ミンダナオにも2回、ルソンには5、6回ではなかったかと。現役のときに教材化して実践できたのはスモーキーマウンテンを扱った People Living with Garbage だけだったのが残念ですが、退職してからも過酷な労働を強いられる人々を描いた Bananas を教材化(教える当てもないのに、つい)しました。また、マニラの橋の下で暮らすスラム住民を描いた Gold Under the Bridge を翻訳・出版する際には、実際にその橋の下や周辺の川縁で暮らす人たちの生活を目の当たりにする機会も手配していただきました。現在、日本軍と戦ったフィリピン・ゲリラの妻の回想録 Bride of War の出版を考えています。ありがとうございました。

近況をお知らせ下さい

  • 企業内への海事英語の教授を引き続き行っております。
  • 退職してなかなか、うまくお話しができないでいます。
  • 神奈川新英研の例会は大学時代ぶりの参加でかなり期間が空いてしまいました。改めて教員になってから参加してみると、見方や取り入れ方も変わり、どのように活用できるかをイメージできるようになったように思います。ありがとうございました。
  • 埼玉県勤務に少しだけなれてきました。
  • 一学期がなんとか終わりました。本当に毎日なんとか終わらせ、なんとか明日の準備をし、帰宅し、“なんとかする”、もうその一言の一学期でした。テスト作成では「どれだけ気を使って作問するんだ!!」と悩み、何度も作り直し、評価入力では、「思考判断」「主学態」の評価材料がなく「知技」ばかりに偏った材料ばかりで評価のつじつま合わせ(語弊があるかもしれませんが)非常に困った経験をしました。他の職種と違って、一年間は先輩について仕事を覚える、といったことはなく(私は非常勤なのでいきなり即戦力と思われているのでしょうか…。新卒と状況は同じかそれ以下なんですが…)いきなり授業、いきなりテスト作成…という現実なので、正直夏休み明けは憂鬱でした。一学期、テストの作問に非常に苦労したので、夏休みはずっと 11 月にある期末テストの作問案を練って終わってしまい、無駄に夏休みを過ごしたようでまた憂鬱です。2 学期はもう少し余裕がでることを切に願います。
  • 翻訳三昧 現在、“Terror in Minnie Vautrin’s Nanjing”を訳出しています。今までに翻訳したもの中で一番手強く、何年かかることやら?

授業などに関して困っていること

  • 特にありません。
  • 授業数がもっとほしいです。授業カットが多い…。
  • 困っていることが多すぎますが、ここ数日でかなり困ったなと思うことは、アルファベットや単語が本当に書けない子が多いことです。小学校から英語に慣れており、4 月から見ていると会話では妙にこなれた感があったのでアルファベットやフォニックスは正直馬鹿らしいのかもしれないと勝手に思い込み、最初にあまり丁寧にしなかったことを後悔しています。先週夏休み明けテストをしたところ、ビックリするほど書けない現状を目の当たりにし、今学期はどう書き取りの練習をしたらよいか計画性をもって指導しないといけないです。ただ、「Here We Go!」の内容や、最近の流れとして「自分のことを伝える、コミュニケーション、発話が大事」的な考えを尊重し過ぎる気がして(書くことがあまり優先されていないような)、私が昭和の人間すぎてジレンマを感じています。“Hello, Ellen.” “Hello, Taro.” “This is a pen.”のシンプル英語が懐かしいです。あれくらいに教科書文を絞り、あとはディスカッションや書き取り練習など膨らませた授業に時間を使いたい!と思ったりします。今はとにかく不慣れなので、あと 3 年くらいしたらこのような愚痴のような困りごとが減るでしょうか・・・。萩原先生の「英語教師のためのお悩み解決ブック」をバイブルのように通勤の行き帰りに読んでいましたが、1 ユニット、1パートごとの解説とワークシートが添付されていればいいのに…などと考えたりしています。泣き言言わずに明日からまた頑張ります。今日もまだ明日の準備ができていません。今日はありがとうございました。

今後の例会で取り上げてほしいテーマ、話を聞きたい講師・レポーターなど

  • 特にありません。
  • 欧米などの人権教育の教材があり、英語の授業でも使えるようにも思います。実際に授業でどのように扱うか、協働していただけたらうれしいです。
  • 神奈川県の中学校の先生のレポートなど聞いてみたいです!本日はありがとうございました。
  • Here We Go!を使っている方の話なら何でも聞きたいです。また、個人情報が関係するので難しい話題かとは思いますが、インクルーシブ教育で交流級に在籍する様々な特性を持つ生徒さん、バックグラウンドをもつ生徒さんが在籍されている中、どのような工夫をしながら授業をしているか、など、個人的に聞きたい内容です。
  • 語彙力の強化

2024年12月9日例会2024年,神奈川

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