神奈川支部3月例会<オンライン>(2025年)
2024年夏の新英研全国大会(宮城)のレポーターのお二人によるレポート。Zoomで自宅にいながらこんなに充実した内容の実践報告を聞けるのは嬉しいのですが、20~30代の先生方が参加者にいないことがなんとも残念でした。
中学の山根さんの「段階的な発問の工夫」(=そのままQ、予想Q、自分Q)、高校の川村さんの「生徒のモチベーションにつながる仕掛け」(=発表の練習につきあってくれた生徒・先生・ALTにサインをもらう)は、授業に取り入れやすく、有効な方策だと思いました。
(文責:和田さつき)
中学校実践報告:
「生徒が主体的に読み、考え、表現する授業をめざして~場面設定と発問の工夫~」
山根 侑子さん(鳥取県 弓ヶ浜中学校)
レポーターから | |
「話すこと」「読むこと」において、どのような場面設定や発問があると、生徒が自身の経験や立場と紐づけ、「生」の思いを表現できるのだろうか…と試行錯誤しています。その中で、生徒のいきいきと活動する姿や表情が見られた実践を共有させていただき、私も一緒に学びたいと思います。 | |
学校の様子 | |
1学年4クラス。1人で担当。初任から20年。ALT週1回程度。 進路意識は高くないが元気! 生徒たちはアウトプット活動は積極的だが、インプット活動は丁寧に取り組むことが出来ない。 →相手から発信された思いや意見を聞き、読み、受け止めるように指導したい。 | |
1)読むこと | |
「段階的な発問」の工夫:段階的な発問で自分とテーマを近づけていく。 literal question 事実発問 = そのままQdeductive question 推論発問 = 予想Qevaluative question 評価発問 = 自分Q 宮城大会では4つの発問を紹介したが「3つが標準的」というアドバイスを得て、3つにした。生徒が「そのままQ、予想Q、自分Q」言い換えてくれた。 ●教科書のLessonに合わせた発問の例 ① フィンランドで有名なもの3つ。 ② サルミアッキという飴を食べた後のケンの顔を予想する。顔を空白にしておいて生徒に描いてもらった後に回答とシェア。苦い飴なので缶は顔をしかめたり、泣いたりしている。 ③ Do you want to eat Salmiakki? What Japanese 'okashi’ do you want to introduce? ※初見の文に触れる機会を作るようにしている。 例)ガリバーフェスティバルについての「タイムテーブル」「ブログ記事」のようなさまざまな形式で読み取る。 例)東日本大震災についての捉え方のトルコと日本の違いについての文章。 生徒の感想・変化としては「読み方がわかった気がする」。 | |
2)話すこと | |
場面設定: 生徒は日常的なトピックになると楽しんでやりとりができるが社会的なトピックとなるとできない。最初から生徒にパーフェクトを求めない。 パタンプラクティスの意図を伝えてから実施。インプットを帯活動&スパイラルで。これは英語でどう表現できるかとALTにあえて質問して生徒とシェア。 2年生で日本文化を伝える場面で地元のthe Gaina Festival(がいな祭り=大きな祭りの意味)にAbi先生を連れていくという設定で発表活動。 3年生で社会的なトピックで What can we do to save our beach and sea? 校長先生(理科)がドローンで地元・弓ヶ浜のゴミの現状を撮影してくれた! 環境問題に関するワードリストをウォームアップで単語練習。 10 Things You Can Do to Help the Ocean(イラスト付き)のリストを見て「今自分にできることランキング」を作る。なぜそれを選んだのかを伝える。生徒発表のビデオ:リンゴ飴、かき氷をALTに薦める。 | |
3)生徒の姿から学んだこと | |
情緒学級から来た男子生徒がいつも机に伏せてしまうのに、ワークシートに「でこまん」「Sweet」「God」と、うっすらした字で書いていた。「でこまん」がALTに神様の形になっているお菓子だと伝えたかったようだった。 |
■質疑応答&意見交換
- Wさん:授業で心に残る物語は?
山根さん: 「ごんぎつね」が2年で出てきて生徒は懐かしがっていた。ごんが撃たれたシーンでは、生徒は「英語だとこんななのか」という感想。「かわいそうなぞう」は、英語だからこそストレートに伝わってくる。知っているお話で、戦争と平和や動物への思いが生徒からあった。
Iさん:生徒から「ごんぎつねって英語になるんだ」という反応があり、そのあと関心を持って勉強するようになったことがあった。 - Sさん:高校にいる生徒たちは単語の意味がわからないという生徒が多い。
- Iさん:パタンプラクティスで使っている教材はあるか?
山根さん:リスニング教材を買ってしていたこともあった。 - Iさん:中間期末テストで単語を書く問題は出している?
山根さん:出していない。 - Sさん:生徒は自分のこととしてゴミ問題を捉えられると思う。
■参加者の感想① 要約(生成AI Copilotを試行的に使っています)
●山根先生への感謝と教育哲学への問い
- 山根先生の丁寧で綿密な授業進行に感服し、直接対話の機会を持ちたいと感じた。
- 英文を読ませることの本質や外国語教育の目的について考えさせられた。
●指導の丁寧さと活動の工夫
- 読むことや話すことの指導が非常に丁寧であると感じたが、語彙指導には十分な時間が取れない様子。
- 生徒に「自分にできること」を考えさせ、その答えをランキングする工夫が興味深い。
●生徒主体の活動と学びの選択肢
- 生徒が自身のレベルに応じて活動を選択できる配慮が共感を呼ぶ。
- 中高一貫校での指導経験を踏まえた実践の中学校への適用についても考えたいと感じた。
●発問の工夫と生活に根差した学び
- 読み取り授業で、自分の言葉で答えさせる発問の重要性を再確認。
- 地元の弓ヶ浜海岸のゴミ問題を題材に、作文や交流を通じて生活に根差した学びの授業が良いと感じた。
●山根先生の報告への満足
- 全国大会で聞けなかった発表を補完でき、多くの学びを得た。
- 発問の工夫や会話の引き出しの作り方が参考になった。
- 山根先生へ,貴重なご発表ありがとうございました。対面して先生のご見解をじっくりとお聞きしたいほどでした。授業の感想は,私も他の方と同様に先生の丁寧で綿密な進行に感服しました。ご準備に相当なお時間をかけておられるのかなと想像します。いまひとつ拝聴しながら考えていたのは「英文を読ませるとは究極的にはどういうことなのだろうか」,換言すると外国語教育の目的は何だろうか,とやや哲学的な問いでした。明解な自分の答えはまだですが,引き続き考えて参ります。
- 読むことの指導も話すことの指導も実に丁寧。語彙指導(書けるようにする)をする余裕はないんでしょうね。
- とてもていねいな実践だと思います。ありがとうございました。自分に何ができるかという問いは大切だけれど、通り一遍な回答になる可能性があると予想して、ランキングをさせてみたのですね、なるほどと思いました。山根さんは生徒の皆さんがこれに取り組んでいた様子を見ていて「しめしめ」という感じはあったのでしょうか?直接お聞きすれば良かったですね、すみませんでした。
- 自分の言いたいことを表現できるように、生徒がレベル等に応じて活動を選択できるように、など先生の想いに共感できる部分が多かったです。中高一貫校で勤務しているので、自分が高校でやってきたことを中学校でどのように実践できるのか、ということについても考えていきたいと思っており、このタイミングで山根先生のお話を聴くことができて本当に良かったです。また機会があればお話しを伺いたいです。ありがとうございました。
- 読み取りの時の3つの発問の工夫、特に自分の言葉で答えさせる質問が大事ですよね。地元の弓ヶ浜海岸のごみの状況をドローンで撮影した(校長さんが)ものを見て、自分に今できることは何かを作文し、交流する授業が生活に根差したもので良かったです。
- 全国大会で聞き逃した山根先生のレポートを伺えてよかったです。発問の工夫や話すための引き出しの作り方が参考になりました。