日本外国語教育改善協議会(改善協)の意見書(2025年)

Ⅶ.高校入試や学力調査へのスピーキングテスト導入をめぐって

 東京都が2022年度から高校入試に導入したスピーキングテスト(ESAT-J)について、多くの問題点が指摘されてきたにも関わらず、2023・2024年度にはこれを到達度テストとして中1・中2にまで拡充し実施したことに強く反対する。改めて問題点を挙げておく。

  • ①民間業者への委託(公教育の市場化)   
  • ②手続きにかかる手間(現場の多忙化) 
  • ③テストの中身と実施方法の問題(非現実的な場面設定、タブレットに向かって話す不自然な形式)
  • ④採点方法と入試への活用(現場の授業への影響)

 スピーキング力を高める指導は、日々の授業で様々な取り組みが行われ、指導した教師が生徒一人一人を見て評価をしており、取り立てて入試でテストを課す必要はない。文科省としても、東京都の例が全国や大学入試にまで広がることを黙視せず、これに費やすお金はクラスサイズの縮小や教員の研修などに使うことを推進すべきである。大学入試共通テストでは民間のスピーキングテスト導入を見送ったが、どうしてもスピーキングテストが必要であれば、各大学が自校に適した方法で実施すればよい。一律に同じテストを課すべきではない。
 2023年度全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)におけるスピーキングテストの結果は、6割の生徒が0点、平均正答率がわずか12.4%という驚くべきものだった。出題内容や中学校英語教育を問題にする以前に、我が国の「外国語としての英語教育」の状況を踏まえる必要がある。英語が日常的に使われることがない環境の中で、初学者に即興で話すことを要求するのには無理がある。中学校では外国語の基礎を身につけ、高校・大学・社会経験の中で時間をかけて実用に供する英語力を身につけるべきであろう。また、実態を把握する目的であれば、全国学力テスト自体、全数調査でなく抽出調査にすべきである。中学校現場ではテストが多すぎるために中学生が落ち着いて学習に向かえない実態もある。

知2025

Posted by shin-eiken