日本外国語教育改善協議会(改善協)の意見書(2025年)
Ⅳ.ICT及びDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応をめぐって
GIGAスクール構想によって教育のICTやDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進められている。ICTは授業の目的を考え、適切に使えば教育を効率化し子どもたちの学習効果を高めてくれる側面があることが明らかになっている。
しかしながら、教育委員会などが現場の実態を無視して「必ず使う」「毎日使う」ことなどを強制するような事態は本末転倒である。ユネスコの2023年報告書「教育におけるテクノロジー」は「一部の種類の学習には効果がある」ことは認めつつ「過剰なICT機器の使用が学習に悪影響を与える」ことを指摘している。また、世界的な調査(マッキンゼー2020)は、「多くの国でコンピューターを使った授業がPISA調査(読解)の結果に効果的でなかった、また学校外でコンピューターを長時間使うほど生徒の成績は低下する」と報告している。諸外国、例えばスウェーデンではデジタル機器の使用を制限・廃止する動きも出てきている。ICT機器の使用は「活用」を強要すべきではなく、子どもたちとのやりとりを通して学習に効果的かどうかを基本に考え、現場の自主的な判断に委ねるべきである。
中央教育審議会では「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」が設けられている。「協働的な学び」を加えたことは評価するが、ICT活用では「個別最適化」により生徒間の学力格差が進行する恐れがある。いずれにせよ、教育実践に大きく関わる内容であることを考慮し、結論は参考意見にとどめ現場に強制しないことを要望しておく。
また日進月歩のICT技術を身につけ、子どもたちの学習のために効果的に使うには、教員の研修が欠かせない。現場には多くの種類のプラットフォームが持ち込まれ、対応に追われている現状があり、取捨選択が必要である。教育行政は「働き方改革」を行なって勤務を軽減した上で、新たなシステムを採用する場合には十分な研修を保障すべきである。
タブレット端末を調達するにあたって保護者の負担を要求する地域が生まれている。経済格差の大きい現在の状況を考慮して、修理修繕費用も含めて公的援助を行うべきである。