日本外国語教育改善協議会(改善協)の意見書(2025年)

I. 望ましい学習指導要領・教科書について

 かつての『学習指導要領』が主に授業の内容を規定してきたのに対し、最近のものは学習方法や評価にまで言及してきている。
 現行の『学習指導要領』はますますこの傾向を強め、児童や生徒の資質・能力をも規定した。これでは現場の授業を今まで以上に拘束することになり、教員の自主的創造的な授業の障害になることが憂慮される。教育は、一人一人の子どもの現実を踏まえて教師が創意工夫して行うところに本質がある。このことは、1947年の「試案」が以下のように雄弁に述べているとおりである。
 「その地域の社会の特性や、学校の施設の実情や、さらに兒童の特性に応じて、それぞれの現場でそれらの事情にぴったりした内容を考え、その方法を工夫してこそよく行くのであって、ただあてがわれた型のとおりにやるのでは、かえって目的を達するに遠くなるのである。またそういう工夫があってこそ、生きた敎師の働きが求められるのであって、型のとおりにやるのなら敎師は機械にすぎない。」
 そもそも「学習指導要領」は教員のための一つの指針として位置づけ、その内容は概要にとどめ、教員や教科書、その他の教材などを規制することのないようにすべきである。
 学習指導要領に基づいて作られる教科書については、次の通り改善を要望する。
 小学校英語教科書は、教材などが多様になってきているが、英語活動が中心であり、国際理解教育やことばへの気付きなどの教育内容が不十分である。
 中学校英語教科書は、学習指導要領の変更に合わせて語彙が大幅に増加し、内容も難しくなった。特に第1学年最初の部分は、小学校の復習を意識した内容であるが、小学校での習得程度や理解はさまざまであり、多様な中学1年生の実態を踏まえて再スタートを切らせる配慮はなされていない。その結果、「英語は難しい」と感じる生徒が増え、学力の二極化が増大している。
 高校の科目「英語コミュニケーション」「論理表現」でも、内容の高度化が著しいため、生徒の学力格差が拡大している傾向がある。
 そもそも教材は、各学校や教員が子どもの状況に合わせて選択し作成するのが本来の姿である。検定教科書の使用義務を緩和し、小中学校における広域採択制度は廃止すべきである。
 また、教科書のデジタル化が急速に進んでいる。デジタル教科書は特別支援の必要な生徒にとって効果的な面はあるが、一般の学習者にとっても有効であるかどうかの検証が必要である。また、教員の仕事軽減に役立つとされるが、本来の仕事である創意工夫が行われず、指導技術の向上にマイナスの効果を生んでいる点も軽視できない。デジタル教材の開発には資金が必要なため、発行会社の淘汰も危惧される。

知2025

Posted by shin-eiken