日本外国語教育改善協議会(改善協)のアピール(2023年)

2024年11月6日

Ⅷ.多様な外国語学習の保障について

 公教育は、必修教科「外国語」において「英語一辺倒」の外国語教育から脱却し、多様な外国語の学習を保障すべきである。
 初等中等教育段階で「外国語」を学ぶことの意義は大きい。母語以外の言語の存在を知り、その言語を用いて日常生活を営んでいる人々の文化をその言語を通じて理解し、またその言語を実際に使用することによってさらに理解を深める、ということにより学習者の視野は広がり、感性が豊かになる。これは他の教科には期待できない教育効果である。そして重要なのは、このような教育効果がどの外国語によっても等しく達成可能なことである。つまり英語でなければ達成できないものではなく、現在の日本における外国語教育が英語一辺倒であることに正当な理由はない。
 多様な外国語教育の保障のためには、英語以外の外国語でも専任教員を採用すべきである。現在、英語以外の外国語の授業担当者の大半は非常勤講師などの非正規雇用者である。そもそも専任教員募集がなく、授業だけで生活を成り立たせることは到底できるものではない。この困難は新型コロナ禍でよりひどくなった。英語以外の外国語の普通教員免許状の取得者はただでさえ減少傾向にあり、普通教員免許状が取得可能な大学・学部もまた減少傾向にある。
 この悪循環に歯止めをかけるためには、専任教員の採用に踏み出すしかない。教職員定数の改善を図る中で独語、仏語、中国語、韓国・朝鮮語、西語など幅広い言語においても専任教員を募集し採用すれば、教員の身分は安定する。将来的に免許状取得者が増え、言語もより多様になることが期待される。さらに、教育実習の受け入れも可能となる。より充実した児童・生徒への指導が可能となり、全体として教育の継続性が担保される。英語以外の外国語においても専任教員の採用選考を行うべきである。

2024年11月6日知2023

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