日本外国語教育改善協議会(改善協)のアピール(2023年)
Ⅳ.ICT及びDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応をめぐって
GIGAスクール構想によって教育のICTやDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進められている。ICTは授業の目的を考え、適切に使えば子どもたちの学習効果を高めてくれることは明らかでありその実践も進んでいる。
しかしながら、教育委員会などが現場の実態を無視して「必ず使う」「毎日使う」ことなどを強制するような事態は本末転倒である。世界的な調査(マッキンゼー2020)は、多くの国でコンピューターを使った授業がPISA調査(読解)の結果に効果的でなかった、また学校外でコンピューターを長時間使うほど生徒の成績は低下すると報告している。ICT機器の使用は子どもたちの学習に効果的かどうかを基本に考え、「活用」を強要すべきではなく、現場の自主的な判断に委ねるべきである。
中教審では「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」が設けられている。ICT活用では「個別最適化」により生徒間の学力格差が進行する可能性も考えられるが、「協働的な学び」を加えたことは評価する。しかしながら、教育実践に大きく関わる内容であることを考慮し、結論は参考意見にとどめ現場に強制しないことを要望しておく。
また日進月歩のICT技術を身につけ、子どもたちの学習のために効果的に使うには、教員の研修が欠かせない。教育行政は「働き方改革」を行なって勤務を軽減した上で、教員が自由に十分研修できる時間を保障すべきである。
タブレット端末を調達するにあたって保護者の負担を要求する地域が生まれている。経済格差の大きい現在の状況を考慮して、公的援助を行うべきである。