日本外国語教育改善協議会(改善協)のアピール(2023年)

2024年11月6日

Ⅲ.教科書問題をめぐって

 教科書の広域採択制度を廃止し、各学校や教員が子どもの状況に合わせて採用できるのが本来の姿であり、検定教科書の使用義務を緩和すべきである。
 改訂された小学校英語教科書は、現行教科書に比べて教材などが多様になってきているが、英語活動が中心であり、国際理解教育やことばへの気付きなどの教育内容が不十分と言わざるを得ない。
 中学校英語教科書は学習指導要領の変更に合わせて全体的に語彙が大幅に増加したことに加え、2021年度にも指摘したが、特に第1学年が小学校の英語教育と連携していない。多くの学校で困難を余儀なくされ、英語についていけない子どもたちが増えている。
 高校の科目「英語コミュニケーション」「論理表現」でも格差が拡大している傾向がある。
 更にデジタル教科書の問題がある。文科省は2024年度から小学校英語のデジタル教科書を導入しようとしている。デジタル教科書は特別支援学級をはじめ効果的な面はあるが、一般の学習者にとって有効であるかどうかの検証が必要である。また開発には資金が必要なため発行会社の淘汰を促進することが危惧される。
 小学校英語が教科化された時、「先生はボタンを押すだけで良い。授業はデジタル教科書がやってくれる」と発言した文科省担当者がいたと聞く(「教育」No.423, p.46)。これでは子どもと教員の人間的な営みである授業は形骸化され、機械がやっても同じとの結論になってしまう。教員が自由に教科書を扱い、創意工夫して授業づくりが行えるようにすべきである。

2024年11月6日知2023

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