日本外国語教育改善協議会(改善協)のアピール(2023年)
資料
言語教育・外国語教育に関する私たちの見解
私たちは、2001年度の大会において、学校教育、なかでも初等中等教育において行われるべき言語教育の目的について話し合った。その結果、次の内容について共通の認識をもっていることを確認し、公表した。現在に至るまで、大会を開催するたびに、これが共通の認識であることを確認したうえで議論をしている。
- (1) 言語は人類に共通の能力であり手段であるとともに、民族、集落、地域など各集団ごとに異なるものであることを知り、また言語を使用することを通してそれを体験すること。
- (2) 言語は人間の成長発達や生活に深く関わるものであることを知り、また言語を使用することを通してそれを体験すること。
- (3) それぞれの言語には特有のルールがあることを知り、また言語を使用することを通してそれを体験すること。
- (4) 言語は、他言語との関わりによって、それぞれに独自の変化をするものであることを知ること、および体験すること。
- (5) 言語は、自他を問わず人を生かすことも、傷つけることも、癒すことも、さらには殺すことさえもできるものであることを知ること。
また、私たちは、外国語教育の改善のために、以前から次のように主張してきた。 また、私たちは、外国語教育の改善のために、以前から次のように主張してきた。
- (1) 外国語教育が言語教育の一環を担わなければならない。
- (2) 外国語教育が人間相互の理解の教育、ひいては国際理解の教育において、重要な役割を果たさなければならない。
- (3) 上記(1)および(2)は、当該外国語を、実際に体験することによって初めて実現できるものである。
- (4) 多様な外国語の学習を保障すべきである。
- (5) 指導方法については、様々な指導方法による経験の蓄積があるのであり、『学習指導要領』等が格別なことを言及すべきではない。
以下に根拠を述べる。
世界には様々な人々が様々な文化の中で生活しており、それぞれ固有の言語を持っている。この事実は重い。固有の言語に加え、様々な原因・理由によって英語を第二言語あるいは外国語として用いる場面が多いとしても、英語教育のみを無批判に優先させることは誤りである。むしろ、母語を含めて諸言語を相対的に捉えることができるようにすべきである。使用人口の多寡、政治的・経済的要因によって言語の優劣を考えるという誤りに気づかせることこそ、必要なのである。学校教育における「外国語」も、それが英語一辺倒にならないようにすることによって、国の内外を問わず、様々な民族・文化が存在することを学ばせることが必要である。
また、外国語の指導方法については、各学習段階において、個々の指導者には様々な指導方法による理論的・実践的経験の蓄積や教材等がある。言及する必要はない。
日本外国語教育改善協議会第49回大会参加者
淡路 佳昌(語研) | 池田 真澄(新英研) | 植野 由希恵(新英研) |
大内 由香里(語研) | 大津 由紀雄(特別) | 佐々木 力(高独研) |
瀧口 優(新英研) | 手島 良(語研) | 中山 滋樹(GDM) |
山崎 勝(語研) | 吉岡 潤子(新英研) |
語研=一般財団法人語学教育研究所
新英研=新英語教育研究会
GDM=GDM英語教授法研究会
高独研=高等学校ドイツ語教育研究会
日本外国語改善協議会2023年度世話人会
池田 真澄 大内 由香里 佐々木 力 瀧口 優 中山 滋樹
日本外国語教育改善協議会
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里6-36-13
サザンパレス102 号室
一般財団法人 語学教育研究所内