日本外国語教育改善協議会(改善協)のアピール(2023年)
Ⅹ.働き方改革をめぐって
小学校や中学校の教職員が過労死ラインに迫る働き方を行っていることについて多くの批判が出されている。そして文部科学省は「働き方改革」の名のもとに、学校において残業を行うことを制限している。しかし仕事が減るわけではなく、授業の準備などは持ち帰り仕事として除外されている。本来は授業とその準備だけでも勤務時間はぎりぎりであり、その他の仕事は極力減らさなければならない。様々な文書を書くことが強制され、そのことによって授業に支障が出ているという本末転倒の事態が生じている。即座に改められるべきである。
ある高校現場からの提起によれば、業務が多様化し、各種調査やアンケートなどの文書事務、スピーチコンテスト審査員、中学校出張(出前)授業、特別支援学校との交流授業、英語検定受験者への指導、生徒の海外研修の指導等が求められている。持ち時間を減らさない限りこうした仕事は勤務時間内では終わらない。
更に昨今の再任用教員、非常勤講師の増加は、専任教員の負担増につながり、教職から離れる教員の増加につながっている。このことが教員不足を引き起こしており、早急に改善されなければならない。学力調査の前に教育環境、教員の労働条件の調査、改善を行うべきである。
改革にあたっては「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」を根本的に見直す必要がある。現在の勤務実態は半世紀以上前(1966〜1971年)とは大きくかけ離れている。これを廃止して残業手当を支給すれば膨大な予算が必要となり、その結果残業自体が減少していくはずである。