■ 神奈川12月例会

2021年12月
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神奈川支部12月例会(オンライン)報告


 2021年12月19日(日)今年最後のオンライン例会を行う。18名。

◆【中学実践報告】
「新しい教科書を使っての今年度の取り組み~試行錯誤の現場から~」

尾張至伸さん (青森・弘前市立北辰中学校)

●レポーターから

 教科書改訂に伴う私のささやかな取り組みをお伝えすると共に、新しい教科書を使っての実践・試行錯誤・苦労話を先生方と共有したい。人物紹介スピーチ・推論発問による本文の深い内容理解などを紹介したい。

●実践報告

 『部屋とワイシャツと私』の替え歌で、「小学校英語が始まり、新学(習指導要領)も始まり、中学校の現場は大変♪語彙数や文法が増え、毎日追われる私♪つらくて、どうしよう」と、現在の状況を端的に述べた。中学1年生はリスニングや受け答え、ペアワークには慣れているが、文字に慣れていない。動詞が抜けたセンテンスを話したりもする。
 小学校での「書くこと」は書き写すがメインになっていて、中学校で困るのは、圧倒的な語彙の増加と文法事項の高度化、スピード化があること。1ページに4つもの新出文法事項が盛られている。そんな中、尾張さんの工夫は言語活動を重視して、声に出して言う、25問単語テストをして表現や文法の確認をすること。教科書本文の内容理解のために、教師の発問プリントを見て、グループで解いていく。いずれは生徒たちも作れるように推論発問を考える。 教科書内容をリテリングさせる活動を紹介された。

●参加者の質問・意見

 「授業を進めるのに一部の反応の声の大きい子と教師で進んでいく場合がある。グループで、生徒同士でさせるのもいい」に対し、「生徒同士でも結構できることが分かった。少しずつレベルを上げていきたい」との答え。
 「リテリングの方法として、絵を最初から提示など、本当のリテリングか?」に対して、「本文のインプットがかなり必要であり、インプットがないと発話するのは非常に敷居が高い。今の段階では練習して発表でいいと思う」と。
 「新しい学習指導要領の評価基準の『思考・判断・表現』が『目的・状況・場面』にあったものになっているかという時、実用だけに限定しているきらいがないか。思考とは易しい表現でも、もっと深いものもある」との意見が出された。

●感想より

  • 尾張さんのパワフルな話し方に元気づけられ、生徒を授業に参加させる細かい手立てにうなりました。動画を埋め込んだパワポなど、ICTの使い方も上手で、単語の書き取り練習なども高校でも必要だなあと、取り入れたいことがたくさんありました。
  • 小学校から引き継ぐ中学1年生の担当は本当に大変なのがよく伝わりました。短文を写すだけは出来ても、その音声化が伴っていないと難しいですね。事実発問と推論発問に分けて生徒に内容を尋ねるのは面白いと思います。生徒の考え方がよく出てくるので。リテリングもペアやグループなら少しは可能かも知れませんが、中1では日本語から入ってもよいのでは。

◆【高校実践報告】「生徒は自分で学ぶ~自己表現と振り返りレポート~」

間賀田一江さん(都立小平西高校)

●レポーターから:

 英語を通して人とつながる喜びを感じて欲しい。また、自分から学ぶ姿勢を育てて欲しい。そんな思いで定期考査に自己表現を取り入れ、考査後に振り返りレポートを取り入れてみました。

●実践報告:

 勤務校は苦手意識を持つ生徒多い。こもれび塾に参加し、テストづくりの視点を教わった。それまで授業でやったことを確認するだけ、記憶力を試すだけで、目標を提示していなかった。複数の教員で教えていたので、自己表現をあえて出さないようにしていた。
 変えたところはテスト範囲を英語通信で示し、テストに初めて見る英文を出題したこと。今回はテストでの「自己表現」とテスト後の「振りかえり自由レポート」の実践を紹介した。テスト前に提出させた自己表現作文の添削を返すと、ほぼ全員が提出するようになった。都立入試で英作文があったがほとんど無回答で入学してくる子どもたちである。
 海外につなげる活動として、サダコプロジェクトの折り鶴とともに平和に関するメッセージを書いて送り、ひろみさんから 返事をもらった。それへの生徒の反応は「自分たちのしたことを喜んでくれる人がいる」「視野が世界に広がった」と喜ぶものだった。
 テスト後に、「振りかえりレポートシート」を提出させたが、生徒は自由を感じるといろいろ書く気が起きる。「リスニングが全然何言っているかわからないアーアと思った」「読めたり、書けたりできないのに聞き取れるはずがない」との分析や「英語の映画やユーチューブを見るようにして体に覚えさせたい」対策や「次は平均に勝つ」の決意など。 英語通信 IMAGINE に各自の勉強方法なども抜粋して紹介した。自主的な勉強会が生まれ 、授業だけでは気づけない生徒の一面が見られた。教師にとっては生徒とつながるヒントになった。
 「先生は自分のことに対していろいろ思うところがあるし、見放せるのにしょっちゅう気にかけてくれてて [←生徒が書いた表現のママ]、認めたくない自分がいる 。…前より間違いの内容がよくなった」
 自由度の高いレポートはまさに自分の授業を見直す反省になった。
 ①きっかけを作れば生徒は自分で学んでいく。
 ②人は人と出会うことで学ぶと確信を持った。

●感想より:

  • 結構勉強になった。卒論で、動機付けについて書こうと思ったので、とても参考になった。
  • 心優しい間賀田先生の語り口だからこそ、生徒の心の奥の叫びをテストの振り返りに表現できたのだと思います。これによって、生徒と心の交流ができて、とても良かった。生徒の気持ちに寄り添うことが大事ですね。
  • こんなに心を込めて生徒を育てていることに、感動しました。海外とじかに繋がる活動を通して、深い問いを投げかけ、平和を深く考えさせていることにもうなりました。生徒のやる気を引き出し、学ぶ動機を高めて、英語力も着実につけていることもよくわかりました。多くを学び、自分でもできるだけ真似したいです。

(文責:棚谷孝子)


日 時: 2021年12月19日(日) 午後3:00~5:30
内 容: 写真 3:00 ~    入室開始
3:10 ~ 3:55 中学校レポート
3:55 ~ 4:10 質疑応答
4:20 ~ 5:05 高校レポート
5:05 ~ 5:20 質疑応答
5:20 ~ 5:30 事務連絡・アンケート記入

●中学校実践報告:
「新しい教科書を使っての今年度の取り組み~試行錯誤の現場から~」
  尾張至伸さん
(弘前市立北辰中学校)

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●高校実践報告:
「生徒は自分から学ぶ~自己表現と振り返りレポートから~
  間賀田 一江[まがた・ひとえ]さん
(都立小平西高校)

【レポーターから】を表示 ▼


参加条件: 神奈川支部会員、事務局が参加を認めた方
参加   
申し込み:
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(2021年11月24日掲載/2022年3月11日更新)