■ 神奈川新英研7月例会
2020年7月
●中学実践報告:生徒たちの豊かな自己表現vsスピーキングテストの功罪
吉岡 潤子さん(品川区立荏原第一中学校)
レポーターから:
- コロナの影響で大変な学校現場でも生徒たちの豊かな自己表現は健在です。その時間や意欲を奪うスピーキングテストの実態も明らかにしたいと思います。
★大切にしてきたこと
- ①失敗の許される安心感・教室の風土をつくる
- ②日々の授業の中で表現する場面をつくる
- ③多様性を大切にする
- ④教師もたくさん自己表現をする
- ①生徒の活動する時間を多くする
- ②読む・話す・書く・聞く・考える活動のバランスをとる
- ③できるだけ生徒が実感のもてる英文を言ったり書いたりする等。
"Help each other."を常に生徒に言うそうです。
後半は都で実施されたspeaking test実施の問題点と課題を話されました。
<参加者の感想>
- 吉岡さんの、生徒に対する愛情ある指導をしている姿が、お話の中から浮かんでくるようでした。特に、りんご飴のエピソードが印象的で、そうした表現を引き出す指導が素敵だなと感じました。とても勉強になりました。
- 生徒の生活実感を常に意識した自己表現活動を取り入れていることが自然にされているところが素晴らしいです。また、ベネッセが推し進めているGTECの問題(GTECのスピーキングが授業時間を奪う、教員の負担が大きい)が共有できて有意義でした。
●高校実践報告:英語の授業で生徒の心を育てる―「書く」自己表現活動を通じた人間形成的英語教育の試み ―
石井 博之さんん(神奈川県立横須賀大津高等学校)
レポーターから:
- 言語運用能力ばかりが注目されていますが、大切なのはそれを操る話者の人間性ではないでしょうか。英語の授業を通じて、生徒の人間形成の助けになりたい。そんな思いから続けてきた実践とその背景にある考え方をご紹介します。
- なぜ「書く」自己表現活動なのかといえば、
- 即興性が低く、落ち着いて思考を深めやすい
- 直接他者に伝えないので自分を出しやすい
- その方法として、
- イマジネーションギャップを利用し「もしもあなたが動物だったとしたら?」とか、
- 親の視点に立ち、その気持ちを思いやる「親になったらわが子に言ってあげたいこと」など
- 生徒作品より:You should be kind to people. I'm sure happy things will return to you if you do that. / I will never forget the day when I sneaked into my sister's first errand.
- 「スクールカーストという言葉が出たが?」の問いに、自己表現の芽をつぶさないよう、「上位の子が何か言う前に先手を打ってほめるようにする。先生にケンカを売ってひっくり返す子はいない」という答え。
- 「学校はどんな状態か?」の問いに、「2月末から5月末まで休校になり、本校は全校生徒にGoogleアカウントがあるので、Googleクラスルームを利用した(現在も)」「休校状態でなくてもリモートで出来る面が進んでいく」という言葉が印象的でした。
■参加者の感想
- 高校でもここまで丁寧で温かい自己表現の指導をされていることに敬服です。ひとり一人の生徒を大切にした授業づくりをしていきたいと改めて思いました。
- 文法項目から自己表現につなげる授業を最近やってなかったので、これを機にやってみたくなりました。心を動かす、答えてみたくなるような問いが重要ですね。
(文責:棚谷孝子)
●日時: | 2020年7月11日(土) 午後3時~5時 3:00 ~ 入室開始 3:10 ~ 3:40 中学レポート 3:40 ~ 4:00 意見交換 4:00 ~ 4:30 高校レポート 4:30 ~ 5:00 意見交換・アンケート記入 |
●参加条件: | 神奈川支部会員、事務局が参加を認めた方 |
●参加申し込み: | 会報担当・和田(.......@.......)にメールを下さい。 URL、IDとパスワードを送ります。 |
●内容: |
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★次回以降の例会予定(最新情報):神奈川新英研HP
(2020年7月3日掲載/9月1日更新)
5月例会に続き2回目のZoomのテレビ会議を利用したオンライン例会を開催いたします。
1970年7月11日の第1回例会からちょうど50年になります。