■ 神奈川新英研12月例会
2018年12月
近況、最近取り組んでいること
- 小学校英語-小学校でどこまで学んでくるのかもっとくわしく知りたい
- 英語に関心のない生徒へのモチベーションをどうつけるか
- どこで英語を使い、使わせるか
- 英語表現の授業をいかにコミュニカティブにするか
最近困っていること
- ライティング指導がうまくいかない
- 進学校でどのように教えるべきか。自分なりのスタイルが見出せずにいること。
- 朝から夜まで、指導内容が多岐に亘っているので(寺子屋スタイルも含む)内容を混同しないように努力している。(受験、英検、TEAP、学力向上(基礎)、高3、高2、中2、偏差値60台~40といった具合に)
例会への要望
- レポートの後、意見が出にくい時ははじめミニグループで話し合ってから、全体でシェアすることもよいのかなぁと思いました。本日は呼んでいただいてありがとうございました。とても勉強になったし、楽しかったです!
- 小学校レベルの情報を知りたい。
●小学校実践報告:
「世界に目を向ける小学校外国語の授業」
羽田あずさ さん(横須賀市立田戸小学校)
1. 羽田さん
- レポーターから:新教材We Can!を活用し、国際教育の視点を取り入れた授業づくりや育てたいコミュニケーション能力について考えます。5年生で9月に行った、We Can!1 Unit8 What would you like? の単元での活動を紹介します。
- 羽田さんが考えるコミュニケーションの意味とは、「相手のことを知る楽しさ」「自分のことを知ってもらう喜び」であり、年間70時間の英語授業の中でそれを作り出すことを目指してきたそうです。
2. 授業
- We Can! をテキストに用い、単元構成を自分なりに入れ替え、配列してカスタマイズしました。例えば、ユニット8を前に持ってきて、家族の部分をカットし、自国他国の食文化を考える8時間の授業に構成しました。
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①目的理解→世界に目を向ける:ALTの国フィリピンの食文化を知るために、adovo, lumpia, haroharoなど独特なデザート、びっくりするような食べ物の写真を提示して素直な感想を聞いた
②③目的理解と目的達成のための見通し:ALTとのデモンストレーションをして、「聴き取れたことは?」「どんな場面?」と考えさせ、2年後の東京オリンピックで「世界の人々をおもてなししよう」と提案する。「世界の人々をおもてなししよう」を達成するために「学習することリスト」を子どもたちに考えさせる。「いらっしゃいませ」「何にしますか」「~をください」値段、味、料理名など。
④⑤音声での慣れ親しみ sweet, spicy, sour, delicious, salty, healthy
聞かせる→推測させる→言わせる 文字とつなげる活動
Let's listen 1 音声で注文の仕方を聴き取らせる
オーダーすごろく:What would you like?(winner) I'd like sushi, hamburger and coffee. ゲームをすることに夢中になってしまうのでなく、自分のことを表現したくなる
⑥書く活動 世界のいろいろな料理 おもてなしのメニューを作ろう
「えっ、日本の料理じゃないの?」食習慣について知ることも必要と説く。
3段階で書く。1なぞり書き→2空欄補充→3写し書き
⑦⑧コミュニケーション活動
「今までに習った英語を使って言えてよかった」「スマイルが大切」「笑顔が大事」「外国の人と沢山話してみたい」「つけ足しで話をして私を楽しませてくれてうれしかった」1クラス内だけでなく、2クラスで客とホスト役に分かれ、交流もした。感想は自分のことだけでなく、必ず友だちのやり方をよく見て、よいところを評価させている。
3. 3. Q&A
- Q:小文字を書いていたが習っているのか? すべての小学校で習ってくると思っていいのか?
A:チャンツ・ソング・ジングルというすぐれた付録がテキストについていて、数パターンあるので繰り返し聞きながら文字になじんでいく。 - Q:身の引き締まる思いがした。子どもたちの夢をつぶさないようにしたい。相手意識が何回か出てくるが…、説明を。
A:「~さんが笑顔でうれしかった」と子どもから引き出す。「スマイル」「アイコンタクト」「コミュニケーション」の活動を通して意識してやること。 - 意見:例えばフランクフルトソーセージはどこから? ハンバーグはハンブルグなど食べ物の名前の由来を考えさせても面白い
- 意見:英語の活動に不自然なことを持ち込むと拒否反応が出る。自分がやるとしたら、日本の料理でおもてなし。あるいは、ある国をターゲットにして調べ、メニューを作らせる。廣橋さんのゲストハウス実践いいなと思った。
- A:調べ学習の時間も英語の中でとった。子どもたちはメジャーな国ばかり選び、少し残念。教科書は家族のために食品を選ぶシチュエーションだが、それだとWhat would you like?という表現がそぐわない。レストランがふさわしいのではないかと思い、設定を変えた。
- 意見:皆さんの意見を聞いて、おもてなしの意味が深いと思った。相手の国の食習慣を調べ、食べられるものを供するとか。
- 意見:小学校のいいところは8時間の構成でたっぷりできるのがいい。中学校だったら1時間でやらなければならない。ゆったりしながら国際交流・国際理解につながるところがいい。中学校はまず書くことに相当取られ、嫌いになっていく。
- 意見:指導案があって、全先生が行っている状況だ。必要性、必然性があるのかを意識しながらやっている先生がいることを知れてよかった。
- 意見:今日の実践を聞いて、伝える相手がいることを考えないとコミュニケーションの意味がない。日本人が日本を伝えるのは当たり前だが、相手のことも知って伝えていくことが大切なので気をつけていきたい。
●参加者の感想
- 先生の発音のきれいさに聞きほれてしまいました。国際理解をしっかり授業でやられていて見習いたいと思いました。小学校の英語の授業に触れることができて、刺激になりました。
- 8時間というセッションを1単元に使える小学校の英語教育も、しっかりと授業実践が行われていることに驚きました。ここまで来たか小学校英語教育(4技能を含む)できれば授業実践の児童のようすが伺えればと思いました。
- 言わせること、書かせることの難しさが伝わってきた/テキストや機器の仕様が慣れないと難しそうに感じた/小学生の率直な意見をどう取り入れるかが大切と思った
- 羽田さんの子どもたちへの温かい気持ちが伝わってくるすてきなレポートでした。単語の導入で、語頭の文字を伏せて練習する方法、子音を意識できていいなと思いました。
- 単元構成の工夫、移行教材の用い方が大変参考になりました。年間計画の立て方、カスタマイズの仕方も上手でいらっしゃり、とても勉強になりました。
- Unit 8のWhat would you like?の表現に着目し、無理のない状況設定して作り変えたところがgood idea! We Can! の教科書を見せてもらったら、確かに「家族への思いやり」をこじつけて入れたところは不自然で、面白い活動にはならないだろうと思えました。国際理解の中でのおもてなし、思いやりとはどのようなものかも意見が出て面白かった。
(2018年12月5日掲載/2019年3月8日更新)