■ 神奈川新英研7月例会
●授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど
●神奈川新英研事務局への意見
●高校実践報告(2コマ):「高校英語:CAN-DOリストに基づく『英語表現Ⅱ』の授業実践」
◎概要
●近況,最近取り組んでいること
- 今年度は3年生の必修のみ担当していて、午前中4連続授業の日々です。受験を意識しつつ、クイズや同時通訳などのactivityを取り入れて遊んでます。
- 中学生のサポート(授業と校内業務)、中1、2年、高2、3年の受験を対象とした授業。Reading高2、3 英語表現 高2
- 「世界を読み解く英語リーディング」→Readingから生徒の世界を拓く試み
●授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど
- ライティングにおけるAccuracyが身につかない
- 英語表現Ⅰでの自己表現活動をどう仕組むか
●神奈川新英研事務局への意見
- 今日はすご~く久し振りに伺って有意義な時間を過ごさせていただき、ありがとうございました! 次回は乾杯にも参加させてください。
- 大学受験に向けての長文読解、英語購読の授業実践のレポートを聴いてみたいです。
●高校実践報告(2コマ):
「高校英語:CAN-DOリストに基づく『英語表現Ⅱ』の授業実践」
内容
- 約3時間に及ぶ内容は綿密に構成されて非常に充実したものでした。講演の部分、ワークショップ、資料説明を参加者の反応を確かめながら、ジョークも交えて分かりやすく報告していただきました。Can-do Listという言葉が様々な論議を呼びましたが、「掃除の目標と手順みたいなもの」と考えてもいいのではないでしょうか。また、英語表現という現場では苦労している科目の一つを例に、吉田さんの「目標と手順」を紹介していただき、参加者にとって納得のいく報告だったと思います。以下に内容を抜粋します。
(まとめ:関口)
<第1部>
- Ⅰ Can-do リストとは何か
:Tokyo Disney Landの清掃目標は「赤ちゃんがハイハイできる」くらい清潔に。
:水泳進級表「水の中を歩くことができる→顔をつける→目をあける→水に浮く→けのびができる →補助具を使って10m→15m泳ぐ→面かぶりクロール15m→息つぎクロール→クロール25m」
各国における指標:Canadian Language Benchmarks 2000のReadingの到達目標の紹介
日本における指標:文科省有識者会議は「アジアトップ級」?の英語力(朝日新聞2014.10.6)
英検Can-do List Readingの例、KASUMI CAN-DO GRADE Readingの例
各学校・機関における指標:小学3年からの外国語活動、中学、高校、大学では?
→教育における目標設定の重要性
:「生徒の希望はどこにあるか」をつかむ→「各教師の対応」 - 科目「英語表現」とはどんな科目か
学習指導要領より・・・4技能の内のspeaking/listening+writingを目標としたが・・・。
各学校での実施状況・・・採用されている教科書から見ると、writing中心、grammar中心、大学受験を前提としている現場が多い。(Vision Quest, Dual Scope, Main Streamなど)
現場がかかえる問題・・・「英語表現」に求める生徒と教師の要求の相違、「使える英語」か否か。
- 自己表現活動より文法シラバス中心の教科書を選んでいる(選ばざるをえない)。
- 表現の面白さや論理の展開方法を学ばせたり、表現活動を取り入れたい。
- (中井弘一「高等学校 英語表現に求めたい活動」より
- Can-do リストをどう授業に活かすか ~科目「英語表現Ⅱ」を題材として~
- 2年生「英語表現Ⅱ」の目標:「自分が興味のある事柄を説明し、その特徴や素晴らしさを話したり、書いたりして、相手に伝えることができる」speaking能力(発表とやりとり)、writing能力
- 教科書:MAINSTREAM English ExpressionⅡ(増進堂)
- 持参するもの:教科書、専用ファイル、辞書(電子辞書可、スマートフォン不可)
- 評価:筆記試験(年4回、50分、100点満点(話したり書いたりする上で基本となる語彙、文法能力、ライティング能力を問う)、実技試験(年2回、スピーチの実技試験)、提出物及び提出課題、授業中の活動(コミュニケーション活動への意欲的な取り組み)
- 年間指導計画の例:前期中間試験までの授業計画・・・小目標を重ねて最終目標に到達するように。
回数 内容 教材 扱う技能 1 自己紹介文を書くことができる 教科書pp.5-7 Writing 2, 3 意見を述べることができる 自主教材 L&R S&W 4 お薦めの場所を説明する文を書くことができる 教科書
pp.9-11Writing 5, 6, 7 意見に対する理由を無生物主語で述べることができる 教科書+
自主教材L&R S&W 8, 9 思い出の品にまつわる物語を書くことができる 教科書+
自主教材Writing 10 時制を用いて効果的に物語を書くことができる 自主教材 Writing 11 話法を用いて効果的に物語を書くことができる 教科書p.12,16 Writing 12, 13 スピーチ原稿の作成(英語で自分の意見を理由と共に述べ、さらに具体例でサポートした説得力ある文章) 自主教材 Worksheet、Giving answers
<第2部>
目標の設定: 生徒と教師が目標を共有すること
★生徒はこの授業を通して・・・A どんな技能を身につけるのか B 何を学ぶのか
指導計画:目標をスモール・ステップ(小目標)に分解して、並べ替える
★目標を達成するためには・・・A 何を学習するのか B それをいつやるのか
3.教材の選定と作成:教科書で、教えるために
A 教科書の中で、小目標を扱う課を選定する
B A以外で必要な自主教材を作成する
<第3部>
自主教材による授業
教科書を使用した授業
展開例:
(0)Warm-up・・発声練習、歌、ビンゴ、クイズなど準備(生徒の状況により無くても良い)
- Picture Description(ペアワーク:一人が写真を見て、英文で説明し、もう一人が描く)
- 有名人を一人が英文で紹介し、もう一人がその人物を当てるペアワーク。
Oral Introduction・・題材に興味をもたせる働き、新語・新文法の導入、具体から抽象への導入
精読:Explanation英語では伝えられない内容は日本語で、英文構造や指示語など。
音読:Reading Aloud 教材を理解している読み方か。
(4)まとめ:consolidation まとめの活動(話す、書く)、次回までの宿題にすることもあり。
3.生徒の作文の例・・・ ライティング活動用ワークシートより転載
(吉田さんは生徒の作文に添削はしないで、コメントを書くことにしています。)
タイトル: Expresssing Yourself
Step1 見せたいものを決め、それについてどのような思い出を話すか整理しましょう。
Description: The letters which I got from friends when I graduated from a junior high school.
Memory(when, where, who, what, how?):.I received from friends on the day of the graduation ceremony of the junior high school.
Message to audience:Though the letter is not convenient, it is not bad
Step2 メモをもとに、英文を書きましょう。
(生徒作品そのまま)
吉田さんのコメント:I think those letters encourage you to do your best.
Step1 見せたいものを決め、それについてどのような思い出を話すか整理しましょう。
Description::It is memorable for me.
Memory:I was given it in the days of a kindergarten.
I had father win it when I ran a high fever.
Message to audience:The memory comes up in various places in my life
Step2 メモをもとに、英文を書きましょう。
(生徒作品そのまま)
吉田さんのコメント:Wow! That stuffed toy reminds you of your father and the story.
<参加者の感想>
- 全てのお話が理路整然としていて、なおかつユーモアがあって、とても楽しい3時間でした。たくさんtipsいただきました! warm upの活動の Let's describe! も人物当てQuizも楽しいですね。いつも長期的な展望なしにその日の授業のことだけ考える自転車操業なので、ちゃんと最初に授業数を数えることから始めてみようかと思います。ありがとうございました。
- 前半の授業でのCan-doリストの説明を聞いて、私とは状況が違うが、現状に合わせて考え直してみる必要を痛感しました。後半、私用で抜けてしまって肝心なところを聴けなくて残念です。
※通常、英語表現を文法学習と考え違いしてしまっている傾向があります。特に大学入試を考えるとそのように思います。それと比較するのは失礼ですが、ずっと実践的ですばらしい。 - 取り組みやすいシンプルな活動でありながら、続けていけば必ず力がつくだろうと思えるコミュニケーション活動のアイディアがとても有益でした。と同時に、聞き手の指導(関心を持って聞く、良い質問をして話を膨らませるetc)をしっかりされており、コミュニケーションマナーもきちんとご指導なさっている点に感銘を受けました。生徒たちの活動時の表情も生き生きしていてとても好感を抱きました。すばらしいアイディアをシェアーさせて頂き有難うございました。
- 吉田先生の語学教育研究所でご苦労なお話を伺うことができ、とても興味深く思いました。
- しっかりとした理論に基づいた実践で、説得力がありました。自分の授業はペアワークか4人グループで、3人グループではやらせたことがなかったので、今度取り入れてみようと思いました。自分も含めて、生徒は疑問文を作るのが苦手です。でも対話をするには、相手に質問をしなければ成り立たないので、私の今後の課題です。
- 参加者は13名と少なかったが、今日の発表はレベルが高かった。参加者の発言もハイレベルだった。「このところ、英語を教えている気がしないんです」で始まった発言は久し振りにワクワクものだった。続いてこの発言者が紹介した生徒自身による英語の意見を聞いて、"To follow, follow, follow. To follow is a very weak slogan."と当時の日本の対米外交をバッサリやったPLOのヤシル・アラファトの超自前の英語がよみがえった。つまり、その生徒の英語は独自性の高い、自身に根をはった英語だったということだ。そんな英語が日本の英語の教室に生まれていることを知ってうれしくなった。
- 先生のリーディングの実践を詳しく知りたいです。またの機会に。
- 遅れて申し訳ありませんでした。興味の喚起で行う Let's describe ですが、これは単語、構文、文法など軽いしばりがあると、さらに充実感が増すような気がしました。これは必ず盛り上がる言語活動ですね!私もやってみようと思いました。とても楽しかったです。私は樹木のイメージを英語学習の動機づけ、内省ツールとして使っています。
- 期間を区切っての①~⑬の小さな目標を持って授業を組み立てるのは、生徒・教員両方にとって意識が高く持てるので良いと思いました。トピックをいくつかしぼって学期に1~2回でもできると良いと思う。(2単位で8~9時間しかないので、Grammarに時間をとられると進まないのが悩みです。)3人組の司会役が2人に振る方法も良い。(=できる生徒がいると良いが)
●日時: |
2015年7月11日(土) 午後3:30~7:00 3:20 ~ 受付開始 3:30 ~ 5:00 高校レポート [担当:萩原] 5:00 ~ 5:15 休憩 5:15 ~ 6:45 高校レポート [担当:萩原] 6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡 |
●会場: |
大倉山記念館 第4集会室 (Tel. 045-544-1881) (東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る) より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
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●高校実践報告(2コマ): |
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●会場費: | 500円(支部会員200円 学生200円) [当日会員登録(年会費2000円)で割引適用] |
●問い合わせ: | 萩原一郎 |
(2015年8月30日更新)