■ 神奈川新英研6月例会

2015年6月
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近況,最近取り組んでいること
授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど
中学実践報告:「初だらけの2014年度」大柿未来さん(平塚市立山城中学校)
大学実践報告:「小学校英語教育導入の是非」水野稚さん
 水野先生のことをよくご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、このお名前、聞いたことあるはずです。昨年の2014年1月桜木町での新英研関東ブロック大会におきまして東京大学の斎藤兆史先生が講演の中で指摘された経団連と文科省の連携はショッキングで記憶に新しいかと思いますが、その引用元こそ、教え子でいらっしゃる水野先生の『英語教育』への投稿論文でした。
 また水野先生は爆笑問題の討論番組『侃侃諤諤』や他で、「小学校英語は必要」という安河内哲也先生(東進ハイスクール)に対して「必要ない」という立場で反論していらっしゃいます。
 今回は、水野先生の歯に衣を着せぬ軽妙な語り口を通して、イギリス文化に造詣の深い先生ならではのワークショップも含めて、ご意見の理論的・実際的な背景を詳しくうかがえる絶好の機会です。お気軽に、ご参加ください。
概要

●近況,最近取り組んでいること

●授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど

●中学実践報告:「初だらけの2014年度」

大柿未来(みく)さん(平塚市立山城中学校)

1. はじめに

2. 実践報告

  1. 2014年度、初めてだったこと
    1. ①1年生担当(初年度は??2年生を担当していた) 
    2. ②一斉授業(少人数授業の経験しかなかった)
    3. ③学級担任
    4. ④校務分掌(PTA関係を担当)
  2. 学年の雰囲気
    • 落ち着いている学年ではありませんでした。同時多発的にいろいろ起きるし、指導を入れている間にも別のところでは別の事件が起きているといった感じでした。ただし、教員側にも「教員同士の横のつながりが弱い」「授業と授業の間の10分休みなど、子どもだけの空間にすることが多かった」「学年の同僚に助けを求めやすい状態ではなかった」など、問題があったように思います。
    学年の様子を時系列で見ていくと…
    • 4、5月…小さな事件は起きるものの、落ち着いてはいた。
    • 6、7月…ある体の大きい生徒との闘い
    • 9、10月…体育祭もあり、落ち着かない日々が続く。
    • 11~3月…記憶がない。
  3. 英語の授業
    • 落ち着いた学年ではなかったため、生徒指導に振り回されていました。空きコマは何だかんだでつぶれ、授業準備の時間はほとんど取れませんでした。
    ○生徒の反応が良かったもの
    • 英単語マスター(ワードサーチ作成HPに突然リンク出来なくなった)
    • インタビュー活動
    ○反省点
    • 興味・関心を引く工夫のなさ 
    • 授業進度が速すぎた 
    • 準備時間の少なさ
    ○困ったこと
    • 妨害行為の多さ 
    • 他クラスから乱入してくる子の多さ
    • 1時間座っていられない子の多さ
    • ALTとの関係の悪化(ALTが準備した教具が壊されたり、「生徒から笑われる。バカにされる」とALTからの訴えがあった)
  4. 結局…
    • 感情がなくなる?!
    • 訪問指導の際に言われた一言!!→「先生、元気がないね」
    • 年度末に訪れた変化→(-_-;)「転職?」
    • 新年度に訪れた変化→(^_^;)「いいかも」
  5. さて、子どもの前に立つことが嫌で、不安を抱えたまま始まった2015年度。まだまだ始まったばかりですが…
    ○子どもの様子
    • 話しを聞いてくれる 
    • 注意、指示が通る 
    • 人なつこい 
    • 頑張ろうという気持ちが強い
    • 子ども同士で注意し合う姿が見られる
    ○教員間
    • 横のつながりがある。
    • 若手に対して中堅・ベテランからのフォローがある
    • 学年会でも意見を言いやすい
    • 子どもだけの空間を作らないように学年の全教員が動く
    ○英語の授業(昨年度からの変化)
    • 授業進度はゆっくり
    • 生徒が取り組みやすい副教材に変更 
    • グループワークの導入 
    • アクティビティーの導入
    • 子どもの作品を展示 
    • 曜日の歌の実践 
    • 予習の確認を毎時間行う
    ○子どもの反応
    • 作業はとても真剣
    • 物を大切に扱う
    • 展示した作品を見に来る生徒が多い
    • 授業に対する気持ちが前向き
    • 今年度は昨年度よりもゆとりがあり、今のところ楽しくやれています!!

3. レポーターの感想

<参加者の感想>

●大学実践報告:「マスメディアに見る小学校英語教育を巡る議論」

水野 稚(ゆか)さん(MELS英語学校代表・All About 英語学習ガイド)

1. はじめに

2. 報告

  1. はじめに
    • 昨年の関東ブロック大会において、斉藤兆史先生の講演の中で、経団連と文科省の不都合な連携の話が出てきました。その引用元は、教え子である水野稚先生の「英語教育」への投稿論文でした。これをきっかけに今回、水野先生をお呼びすることになりました。水野先生は一貫して「小学校英語は必要ない」という立場で意見を述べてきていますが、過去1年間に出演された3つのTV討論番組や雑誌に掲載された対談記事を見ていきながら、マスメディアの伝える小学校英語教育の是非や方向性を明らかにしていただきました。
    1. ① 2014年2月テレビ朝日「侃侃諤諤」・・・賛成3:反対2
      • 9つの提言のうちいくつか取り上げると
      ○小さい頃から英語を教えればしゃべれるようになるというのはウソ!
      • 日本で英語を使う人は1割程度。
      • 英語を学んでいる様子を見て「楽しそうだった!」というとらえ方。  
      • 学ぶ目的がはっきりしていない。他の教科はどうなるのか。
      • 中にはリストラのために英語を導入する企業もある。
      ○小学校から英語教育を始めたせいで、英語ぎらいになる子どもが増えている!
      • 英語だけではなく、世界の色々な言語の授業にするべき。
      • 語学or文化? ごっちゃにされている。
      • 公教育がくずれるような進め方はダメ。
    2. ② 2014年5月テレビ朝日「言いにくいことをハッキリ言うTV」
      • 賛成8:反対2
      ○臨界期定説(10歳くらいまでに外国語を教えると覚えが早いという説)はまちがいだった!
      • ウェンツ瑛士 「英語だけ、興味を持たせることから始めるのは変!」
      • 太田(爆笑問題)「英語の授業(=テスト)になって、興味が持てなくなる」
      • 学校でできることと、できないことをきちんと提示して言い切ることが大切。
    3. ③ 2015年2月テレビ愛知「激論!コロシアム」・・・賛成4:反対2
      • どういう力をつけたいのか、そのためにどのように学ぶのか
  2. メディア議論における混乱
    1. ①「学習言語」か「生活言語」か
    2. ②EFLかESLか
    3. ③「質」を問うのか「量」を問うのか
      • Singlish(SingaporeなまりのEnglish)の例
      • 今、シンガポールでは、"Speak Good English Campaign"を実施。
      • 汎用性の問題。
      • さらなる混乱も・・・・・専門家が議論にほとんど関わっていない
  3. 賛成派に対する疑問点
    1. ①東京オリンピックを目標にする目的とは?
    2. ②小学校に英語を導入しても「話せない」
    3. ③「臨界期」はあくまでも「仮説」に過ぎない
    4. ④「国際言語としての英語」習得を目指すのに、なぜ小学校から導入する必要があるのか?
    5. ⑤文化?語学力?
      • 日本の子どもをどうしたいのか?
  4. まとめ
    • メディアは高い関心有りだが、導入の是非については「言いにくいこと」や「語りにくいこと」と認識
    • 議論の前提が専門家中心に整えられていないための混乱
    • 「教育は国家百年の計」
    • 一般の人々はちゃんと見ている!
    • 関心は高まる一方で、正しい情報が求められている
  5. 講談社webサイト「現代ビジネス」連載
    • 「オックスブリッジの流儀」2015年4月14日号
    • 映画「マイ・フェア・レディー」(残念ながら、機器の不都合で先生に準備していただいたにも関わらず視聴できなかったが)に見られるように階級による発音の違いがある。オックスフォード・ケンブリッジ両大学関係者の発音は「オックスブリッジアクセント」として知られている。容認発音RP(=received pronunciation)の1つで伝統的な標準発音とされている。
    • 最近では「コミュニケーション」に焦点が当てられ、発音の正確さや、社会的背景については軽視されている。英語が「国際共通語」に最も近い存在であることや、母語話者以外が英語を使用する場面が増えていることから、発音はともかく、「通じること」が重要視される傾向にあるのは、ある程度妥当だが、「スタンダードな発音」や、「社会的な信用を得やすい発音」が存在していることもきちんと教えておくべきだ。という水野先生の視点から、参加者みんなでQueen's Englishにトライしてみました。 
    • "Hello"・・・3階から地下1階へと声のトーンの変化をつける。

<参加者の感想>

●日時: 2015年6月13日(土) 午後3:30~7:00

2:00 ~ 支部会員総会
3:20 ~ 受付開始
3:30 ~ 5:00 中学レポート [担当:棚谷]
5:00 ~ 5:15 休憩
5:15 ~ 6:45 高校レポート [担当:吉牟田]
6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡
●会場: 大倉山記念館 第4集会室 (Tel. 045-544-1881)
(東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分
 改札口を右に出て右折、急坂上る)

より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
●中学実践
報告:
「初だらけの2014年度」
大柿未来(みく)さん(平塚市立山城中学校)
レポーターから:初めて1年生を持つことになった2014年度。でも初めてなのはそれだけでなく、初めての担任に初めての一斉授業など。初めてだらけだけど、駆け抜けるしかなかった1年。駆け抜けた今、振り返ってみて思うこと。

●大学実践
報告:
「小学校英語教育導入の是非」
水野稚(ゆか)さん
レポーターから:マスメディアに見る肯定派・否定派の意見と立場についてお話しさせて頂きます。私が過去1年間に出演した3つのテレビ番組や、ビジネス雑誌に掲載された対談記事を整理することで、マスメディアの伝える小学校英語教育の是非や方向性を明らかにする試みです。また、応用言語学や第二言語習得論にも照らし合わせながら、マスメディアの議論の問題点についても取り上げます。さらに、日本の英語教育への示唆を踏まえて、映画『マイ・フェア・レディー』に見る英国階級社会と英語の発音に関するワークショップも行う予定です。
発表者略歴:Mizuno Method English Language School(MELS)英語学校(白金台)代表。Allabout英語学習ガイド、ジパングマネジメント(株)にてメディア活動に従事。企業英語研修の講師を務める中、英語教育改革の必要性を痛感し、30歳で大学院進学を決意。青山学院大学修士課程、東京大学博士課程にて英語教育政策を研究。博士課程在籍中にオックスフォード大学院へ留学し、応用言語学および第二言語習得論で修士号取得。慶應義塾大学や上智大学など、大学英語教育の経験も豊富。単に「英語が話せる」だけでなく、国際的に通用する教養人としてのマナーや、日本文化を発信するための英語習得を目指す指導方針を採る。
●会場費: 500円(支部会員200円 学生200円)
[当日会員登録(年会費2000円)で割引適用]
●問い合わせ: 萩原一郎 クリックするとメーラが開きます。

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(2015年5月17日掲載/7月5日更新)