■ 神奈川新英研4月例会
2014年4月
●近況,最近取り組んでいること
- 初めて1年生の担当になりました。読み、書きを恐いと感じさせないために、様々な教材を研究しています。
- 5月15日まで7ページ分の原稿が集まるよう、心をこめて手紙を送っている(返事が来るまでドキドキです。私って意外と小心者で心配症なんです。そうは見えないかもしれないけど…)
- 英語ではないのですが、中2の総合学習でちょっとした講座や論文もどきを書く活動を計画しています。何かお知恵があったらよろしくお願いします。
●授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど
- 書く活動を取り入れられません。
- 2年連続で教えなければいけないクラスがあるのですが、2年目がダレてしまう。
- 英会話で何をしたらいいのか。英語表現で何をしたらいいのか。
- 教科書本文が長くて難しくなり、どのように扱ったら良いか悩んでいます。
●神奈川新英研事務局への意見
- 継続した例会すごいです。泉さんの本質をつく意見、萩原さんの教授法の基礎ばっちりの意見、女性の先生方のあたたかな生徒目線の意見と、いいバランスですね。
中学実践報告:「2年生の授業を2年連続でやってみて」
大柿 未来さん(平塚市立山城中学校)
昨年度まで勤務していた平塚市立山城中学校での2年生少人数授業についての報告でした。
1.はじめに
- レポーターから:1回目で感じた課題をクリアしようと努力した1年。新たな課題にぶつかりました。
- 勤務校:学力差がある。荒れた時もあったが、今は落ち着いている。ただ、まったくノートを出さない生徒やエスケープする生徒もいる。また、おしゃべりが止まず、授業を中断したこともあった。声を出す、話す活動は苦にしないが、書くこと・読むことが苦手なのでwritingや speechに定期的に取り組んだ。グループ活動はよく取り組む。
- 少人数授業:少人数のクラス分けは、一昨年度は前半・後半で学力が平均になるようにしたが、昨年度は出席番号で単純に前・後と分けてみた。結果、2学期にクラス交代した時、出席番号の後半クラスの授業が非常にやりにくかった。学力が低く、やる気もなく、無駄なおしゃべりが多かった。
2. 授業
- 内容理解の助けになるような工夫
a. 本文- 本文をプリントにし、チャンクで切る。
- ルビ位置に日本語訳をつける。
- 行間をあけ、ポイントを書き込みさせる。
あれもこれもと求めず、活動を絞って単純化した。
以下のワークシートでは、アクティビティで扱う文をWhich do you like better, sunny or rainy? 一本に絞り、余力のある生徒は+アルファもやるようにした。Answer the question!
Q. Which do you like better, sunny days or rainy days?
A.
Let's talk with your friends!
A: Which do you like better, sunny days or rainy days?
B: I like better than . How about you?
A: I like better than .
Name Sunny days Rainy days ex)Atsushi ○
Let's write!
ex) ○○ likes A better than B.
+α
Q. What animal do you like the best?
A.
+α Talk
A: What animal do you like the best?
B: I like the best.
A: I like the best.
3. 協議
上記ワークシート及び、導入で使ったピクチャーカードや教具について協議があり、以下が指摘されました。
- ワークシートには間違った英語を書かない。
- ワークシートに生徒が英文を書くスペースが狭かったり、広かったり統一性がない。
- 生徒に自己表現的に言わせた文を書かせる活動が「残る英文」として必要。
- ピクチャーカードの裏に板状マグネットを貼るのではなく、クリアケースにピクチャーカードを差し入れ、それを強力なマグネットで上から止める方法がおすすめ。
- 口頭練習をたくさんさせる
4. レポーターの課題と質問
- 発表者自身の課題と質問
- 単語練習をやりたがらないので、どうしたらいいか?
文字自体をうまく書けない生徒をどう指導したらよいか。
→ポイント制を採るとよい。 - ターゲットセンテンスと教科書のトピックを併せて、うまく導入していくコツは?
→フィンランドの課を扱ったとき、要約の意味で重要と思う文5文を抜き出させ、最後に自分の感想の文を加えさせて発表につなげた。 聞く、話すからライティングの活動に持って行くには?
→リライト、リテリングなどからライティングに持って行く方法はどうか。
→書くにはまず例文に慣れた後、自分のことを口頭で言わせてから
→リスニングアクティビティのスクリプトが赤本には書いてあるのでそれを利用し、空欄にディクテーションさせたりするところから書くことに慣れさせる。
- 単語練習をやりたがらないので、どうしたらいいか?
5.参加者の感想
- 実際に使ったプリントを示して、話し合いの中でいろいろ「こうしたほうがいい」「こうしたのは何故?」という意見、アドバイスをもらえて良かった。
- 30分程度遅れて参加しましたので、情報として欠けてしまったところがありますので、コメントは差し控えますが、前向きに取り組まれている姿が印象的でした。ご自身を信じて邁進していただければと思います。ありがとうございました。
- 導入の段階で、文法、教科書本文どちらも包括するという発想がなかったので、これから挑戦してみようと思います。また、三省堂のホームページを見ること、ペンの持ち方の指導、落ち着いた環境づくりも頑張りたいです。速写のプリントも楽しみです。
- 教科書のトピックは変えられないので、どう料理するかが教師の腕の見せどころですね。元気さに元気づけられます。
- プリントの工夫が良かったです。2012年度版より2013年版はパワーアップしていて、1年ごとに積み重ねていくものだと思いました。また、グループワークでお互いに学び合える環境も大切だと感じました。
- 話の中で"言えたものを書かせる"という先生もいらっしゃって、私もactivityの順番は考えないといけないなと思いました。
- 私自身もまだ2年目でわけが分からないことだらけですが、先生が色んな工夫をして授業をされているのを知って、私もがんばろうと思いました。
- I'll give +人+物のカードを、物+to人 にくるくる変わる、魅力的なものを作られていて、生徒をひきつけようという努力を楽しんでやっている姿が清々しかったです。
- 「書く力をつける」私も試行錯誤です。少人数で一人ひとりが書きたいことを手助けして生徒が書きたいことが書けて満足して、その英語が残るというのが良いのでしょうね。
- 学年途中から入ると何かとやりにくいことが多いと思います。今年度は1年生担当ということですから、2年生・3年生でここまでできるようにしたいという目標を定めて、1年生の初めからしっかり育て上げる楽しみがあると思います。頑張って下さい。
高校実践報告:「初任1年目を終え、2年目に向けて」
岡 美樹さん(県立城郷高校)
1.はじめに
- レポーターから:初任者として1年間で学んだことや2年目に向けての課題についてお話ししたいと思います。
- 城郷高校:1年は習熟度別授業(2クラス3展開で、発展クラス32人が1クラス、基礎クラス24人が2クラスに分かれて展開。Communication English Iを4単位で教えている)。岡さんは基礎クラスと発展クラスそれに3年生のReadingを担当した。
2.報告
(1)初任者として1年目で学んだこと・・・(初任研担当は萩原さんでした。)
- ①初任研の先生から言われたことは3つ
- 自分の「授業ノート」を作る。
- 高校の時に教えられたように教えてはいけない。
- 生徒が「分かる授業」をめざしてほしい。(100%と欲張らずに6~7割の生徒がわかればよい)
- 授業規律は明確にする(机上にケータイなど必要のないものは置かない。飲食、ガム厳禁など)
- 授業規律がしっかりしていないと、どんなに工夫しても良い授業はできない。
- 授業が始まったばかりの頃は、とにかくゆっくり、丁寧に教える。
英語が苦手な生徒にも「苦手でもまた頑張ろう」という気持ちで接する。 - 予習や復習の家庭学習を授業中に一緒にやって見せる。
辞書引きなど今までやっていない生徒もいるから、予習の仕方も知らない生徒が多い。
- ②長期的な教材研究を続けること(中学の学習歴を知る、今後の教材を見通しておく)
- 1回で定着させようとしないでよい。
履歴から既習事項と新出事項を知ることが大事。
- 1回で定着させようとしないでよい。
- ③ 年間の授業で気を付けたこと
- 1回の授業でのポイントを絞る。全部を定着させようとしない。
- 説明はなるべく短く(長い説明で生徒が理解するとは限らない、むしろ逆になることも)
- 授業の終わりに英語が残るように。
- 発問にバリエーションを(プリントに書いてあること=誰でもわかること、文脈から解釈できること=やや難しいもの)
- オーラルイントロダクションを入れる。
- 音読を多く取り入れる。
- ペアワーク、バズリーディング時の机間指導
-
④オーラルイントロダクション(以下は授業の振り返りでまなんだこと)
- 最初は何を言えばよいのかわからなかったが、自分で教材を読みこなし、背景知識などを調べていくうちに、だんだんとやり方がわかってきた(授業ノートにはびっしり原稿が残り、また書き直した部分があり、次第に自分のものした経過がうかがえた))
- 教師が一方的に話すのではなく、生徒にキーワードなどを言わせるとよい。
質問を用意して「全体に→個人に→また全体に」など生徒も巻き込むとよい。 - 本文がわかりにくいものほど、オーラルイントロダクションでは易しく噛み砕くとよい。
- ⑤音読、Retelling
- なぜ生徒の声が出ないのか、理由を考えて、やり方を修正する。
単語の発音、アクセントも生徒の声が出ないときは、もう一度確認しよう。 - コメントを入れながら声を出させよう。
- retellingをペアやグループでさせたが、次第に良くなってきた。
- なぜ生徒の声が出ないのか、理由を考えて、やり方を修正する。
- ⑥説明、板書
- くどくならない説明にし、活動に時間をかけよう。
- 指示はなるべく英語を使おう。
- 「わかりやすく説明する」イコール「生徒が理解する」ではない。
- ほめるときは恥ずかしがらずに大げさにでもほめよう。
- 机間指導では目線を生徒と同じにして確認するとよい。
- 板書は一度書いたものは消さないように。板書、発問、その他の構成を考える。
- 最後に英語が残っていないと生徒の力は伸びない
(2)まとめと2年目の課題
- 生徒が『スラスラ読める自分が好きになった』と言ってくれたのが嬉しかった。まだ課題が多いが頑張りたい。オーラル60%プラス説明40%
- 自分のスキルアップ(英語力、発音など)、年に1回は英語の発表をする。
- retellingのプリントにはkey wordsを入れて工夫する。
- 文法は履歴を見て教えていく。
- 習熟度クラスへの対応を。進度だけでなく、内容で工夫する。
- 1年でスピーチ発表会をする。
- 2年生には修学旅行での経験を英語でスピーチできるようにする。
- 自己表現活動で生徒が自分のことが言える、書けることを目標にしたい。
3.参加者の感想
- 初任研での指導員(萩原さん)からの研修事項を振り返ってレジュメにまとめるという新しいレポート形式で、興味深かった。
- 生徒がコミュニケーション英語で「日常会話」をしたいと要求していて、先生は「それが何になるのか」と疑問を持ち、それに対していろいろアドバイスがあったのが良かったと思います。
- 2年目の教師生活とのことですが、前向きに取り組んでいる様子がほほえましく感じお話を快く聞かせていただきました。これからの教師生活の方が長いのですから、「今」と「ご自身」を信じて続けて下さることをお祈りいたします。ありがとうございました。
- オーラルイントロダクションのお話は自分が悩んでいる長文読解の進め方のヒントになると思いました。これから本文のプリントを渡すのではなく、オーラルイントロダクションでの工夫を頑張ってみます。最後に英語を残す、聞いていて耳が痛かったです。「英語を勉強した」という達成感を与えられるような授業づくりをして行きたいです。
- 良い師匠を持って、しかも忠実にアドバイスをこなしている岡さん。今後のレポートが楽しみです。
- personal storyは生徒受けバツグンですね。Authenticだから。安定感が見受けられます。頑張って。
- 色んな先生方のアドバイスを聞いて参考になりました。自分がレポートすることで、いろんなことを再確認できました。
- 萩原先生が先輩の教員として、1年間しっかり指導していらしたことに敬服します。それを素直に謙虚に受けてどんどん授業力をつけている岡さんに、本当にダイヤの原石を見る思いです。
- 1年目に萩原先生に出会ったことではとてもラッキーだと思います。そして一つひとつのアドバイスを忠実に受け止めて実践に繋げていっている岡さんは成長株だと思います。自分を出すことはなかなか躊躇してしまうかもしれませんが、良い人間関係を築いていくためにも、大切なことです。この調子で頑張っていって下さい。
●日時: |
2014年4月19日(土) 午後3:30~7:00 3:20 ~ 受付開始 3:30 ~ 5:00 中学レポート [担当:棚谷] 5:00 ~ 5:15 休憩 5:15 ~ 6:45 高校レポート [担当:萩原] 6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡 |
●会場: |
大倉山記念館 第4集会室 (Tel. 045-544-1881) (東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る) より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
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●会場費: | 500円(支部会員200円 学生200円) [当日会員登録(年会費2000円)で割引適用] |
●中学実践報告: | 「2年生の授業を2年連続でやってみて」 大柿 未来さん(平塚市立山城中学校)
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●高校実践報告: |
「初任1年目を終え、2年目に向けて」 岡 美樹さん(県立城郷高校)
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★次回以降の例会予定:神奈川新英研HP
(2014年4月14日掲載/6月4日更新)