■ 神奈川新英研12月例会
2013年12月
2013年12月21日(土)大倉山記念館
●近況,最近取り組んでいること
- My Dreamのスピーチなど、Presentationの活動
- 子どもに新しい表現の使用機会を与える(ワークシート)
- 新しい表現を用いて、自分のことを表現させる
- 本文(特に長文)理解、解説では、和訳をやめて、オリジナルのワークシートでQ&Aを中心に内容を追っていく形式で授業を進めている。
●授業でうまくいかないこと、悩んでいることなど
- 本文の扱い方に悩んでいます。
- 実践集の出版を考えています。
- 授業でうまく英語の語順がなかなか理解できないので、どのように指導していくかを考えています…。
- 英語を多く取り入れたいが、子どもの理解が得られない。英語を聞いて、きょとんとしている様子。
- なかなか生徒をほめられない自分がいる。発問の仕方や生徒のエラーに対する応答など、前向きに生徒が考えられるようなものを言えるようになれていたらなぁ…と日々悩んでいます。
大学実践報告:
「"Faithful Elephants"の紙芝居と旅をするグローバル・ティーチャーをめざして」
坂本 ひとみさん(東洋学園大学)
レポーターから
グローバル教育の意義あるテーマに生徒たちが何度もスパイラルに出会える小・中・高・大連携カリキュラムを研究・実践することが私の目標ですが、世界のあちこちに子どもたちを訪ねて、日本の平和教材である『かわいそうな象』の英語紙芝居を読み聞かせすることも私の大事な夢になりました。 「英語は世界への扉であり、各国の人たちと心を通わせるための言葉」であることを、みなさんと再確認したいと思います。
報告要旨
- 坂本先生が、今、Global Educationに取り組んでいらっしゃる背景とともに「かわいそうな象」の実践についてよくわかりました。とても興味深かったので、前のめりになり過ぎまして、申し訳ありませんでした。Global Educationの視点から、教材や教授法を選びたいと思いつつも、日々の雑事に追われてなかなか充分な準備ができません。(新英研ML上で一時期話題になった憲法の件も、実践に活かしたいと思いつつ結局、余裕もなく…)そうした点について、近いうちにアドバイスいただけましたら、とても有り難いです。
- 国際理解教育について、その大切さを知ることができた。また、子どもたちはその意味を少なからず感じてくれるんだということもわかった。今まで文法を教えることでいっぱいいっぱいになっていたが、これから単元のテーマによっては、もっと国際理解的なものを取り入れていこうと思った。
- 国際理解の枠組みの中に英語教育があるということを忘れてはいけないと痛感しました。「何故、英語を勉強するの?」この問いにきちんと答えられない自分が今正直いることが恥ずかしいのですが、今日の発表で何を伝えなければいけないのかが見えた気がします。
- 来年度、Sunshineで3年生を受け持つので、お話を伺いながら、どんな風に扱おうかと夢がふくらみました。今、いかに英語力をつけていくかということに主眼が置かれていますが、やはり、Global な視点を持ってこれからどう生きるべきか、生徒に考えさせるために英語教師が頑張らなくていけないとつくづく感じました。
- クリエイティブで考えさせることの大変さ、そして小学生もクリエイティブな活動に楽しんで参加することなど、「やらせてみたいけど、でもできるかな」と躊躇してしまうのはもったいないことだったのだと気づかされました。良いものを与えれば、子どもは良い反応をすることを改めて感じました。日々の授業に追われていることを反省しました。もっと大きな視点を持って、生徒に接していきたいです。
- 海外での活動が豊富で、日本からのメッセージをいっぱい広げていることがすばらしい。小学生でも、中・高校生でも視野を広げる教材を共有していきたいですね。
- 思考のふり巾をひろげようとするこういう実践、好きです。が、疑問点を1つ、2つ。先生のお話に「日本への空襲は、象が殺処分されたずっと後だった」とありましたが、象が処分された1943年8~9月以前、1942年4月に東京は初空襲に遭っています。猛獣が逃げ出して云々というのは一応筋が通るような…。ただ、この象の話はそれ以外にもちょっと弱点があるような感じがします。ケチをつけるようですみません。
中学実践報告: 「これでいいのか私の授業…」
廣瀬光恵さん(八王子市立第一中学校)
レポーターから
教員になって8年、なんとなく日々の授業は回せるが、生徒に力をつけさせられているのか、不安が残る毎日。今日は日頃の取り組みや生徒の状況を紹介させていただき、「そういう生徒なら、私はこうする!」と、皆様からアドバイスをいただけたら、と思っています。
白熱の議論がおこった"グループで模範解答作り"などの、生徒の反応が良かったものを中心に、思ったような反応が得られなかったものにもお知恵を貸していただきたいと思っています。
(報告まとめ:日比さん)
1 学校のようす
- 生活指導的な問題点がかなりある学校。全体的に生徒は素朴で、元気に声が出て、ペアワークや授業中の取り組みには参加するが、家庭学習の習慣がついていない。英語の苦手な生徒をどのように巻き込んでいくかが課題。
↓レポーターより〈みなさんからご意見をいただきたいこと〉- 授業をする上で心がけていること
- 新出単語の扱い方
- 本文の扱い方
- スピーチで目指していること
- ライティングで目指していること
- 生徒像
2 授業で心がけていること
- 理解はなるべく英語で
- 日本語より英語を書かせる
- 逐語訳にこだわらない
- たくさんの英文に触れさせる
3 語彙指導
- 単語ペラペラシートを使って新出語10個ほどを教師についてリピートし、個々に言わせた後、ペアで発音や意味をチェックし合う。早く終われば、単語練習をする。リエゾン、発音の注意を適宜。参加者を生徒に見立て、模擬授業。
- →参加者から
「無駄がなく、いい練習」「よく計画されている」
「もう少しゆっくりやるといい」(実際にはもっとゆっくり話している)
「アクセント、発音上の注意などシート上に書き込んでもいい」
4 本文の扱い方
- 導入:教科書の絵を拡大したチャートを黒板に貼りながら、本文概要をオーラルで理解させる。前時の復習を混ぜながら既出の文構造を用いて新たなものを分からせていく。plastic bottleという言い方, giveとsellの違いに気づかせる等。
英文理解 本文を写してあるノートに書き込むとしたら逐語訳でなく、意味区切りで。CDを4回聴いた後、プリントの英問に英答する。What do the students collect at Taku's school? Caps. のように、一語文でも英語でと励ます。「日本語を言わせること、書かせることに意味があるのかと考える」そのあとT / F testで確かめる。Scriptも載せてあり、シートを折って聴かせる。日本語訳も英語の語順で書くようにしている。
- →参加者から
「英語なめらかで発音、リズムがよい」 「キーセンテンスを1ページに3,4文決めて、丁寧に説明、ノートに書かせる。」「重要文、フレーズは紙に書いて貼るのもいい。」「模造紙に本文全文を書いて黒板に貼り、使用した。」「プロジェクターで本文を投影するのもいい、手間がかからなければ。」
5 スピーチ、ライティング指導ほか
- Interview testと発表があるが、ペアワーク、グループ発表、本番と段階を踏んで自信をつけさせる。ライティングは定期テストでみる。
- 定期テストの模範解答をテスト返し直前にグループでやらせてみた。その解答にした理由を必ず書かせることで、文法、文構造に再度注目させた。
- 評価の観点、評価基準、主な評価場面・材料を表にした。生徒の自己点検表を作った。
- →参加者から
「単語調べなど予習をさせたいなら、自己点検表の自宅学習の項目にぜひ入れるといい。」 「定期テストのライティングで、不自然なありえない日記の穴埋め問題がある。テストに使用する英文は教師間でよくチェックすべきだ」 「英問に対しての答で、YesかNoかの答え方だけ要求しているような問題がある。生徒の表現意欲を抑えることにならないか。もう少しコミュニカティヴにする工夫を。」 「テスト問題で何を評価したいか、どういう力を見るかを明確に。機械的で、使われる状況がよく分からない英文が多いので、一文を二文にするなど工夫をするとよい」 「廣瀬さんのレポートは、ワークショップ形式で授業のようすがよく分かり、疑問点が明確であったので、話し合いが活発になりました。中学校教科書が全面的に変わって2年目、 扱いにくい単語指導と本文指導を今後も研究実践していく必要があります。」
みなさんの意見、感想
- 話には出ていませんでしたが、中間考査の模範解答で答えの他に理由を書かせているのはとても良いのではないかと思った。それは、文の法則を深く心に刻んでいる事になるからだ。
- 授業では新出単語を発音させる場面がありますが、細かくやっていないのでペラペラシートを参考に授業に採り入れたいと思います。自分もまだ教員2年目で授業ではすごく考えてやっています。
- 日頃の授業を発表し、皆さんに見ていただくことで、改善のポイントや新たな視点の発見があり、大変ありがたかったです。マンネリにおちいってしまいがちな日々の授業をこうやって見てもらえる機会は貴重だなと思いました。ありがとうございました。
- ありがとうございました。テストの答え方に理由を書く欄をつけるのは良いことだと思う(ただ、全生徒が答えられるかは少し疑問)。単語にアクセントの位置やふりがなを書かせるものがいくつかあると思う(全ての語でなくても)。中学も文章が長くなって大変ですが、教える側がポイントを少な目にしぼって、最も大事なことは1~3位にする必要があると思う。自己表現のさせ方は工夫するとおもしろい答えが出てきますね。
- 本文の扱い方ですが、ちょっとせわしないなって感じました。もう少し考えさせたい。
- 本文の扱いの難しさを感じている人は自分だけではないということを感じた。先生方それぞれどうしたらいいのか、子どもにどんな力をつけたいのか、目的を持って本文に取り組まれていることを知り、自分自身もちゃんと目的を持って本文と向き合おうと思った。
- 時間の無駄が出ないよう考え抜かれていて、組み立てが秀逸だと思いました。ほめ言葉も適時で、素晴らしかったです。Oral Inputについては、一度録音してみたらいかがでしょうか。私も時々やりますが(やるのは超恥ずかしいですが)毎回収穫があります。P81Qの確認は、私はペアか4人で話し合わせるのもありかなと思います。
- 単語の音読など、テンポも良く、無駄のない練られた授業で、自分がいかに生徒の反応の細部までイメージして授業を組み立てていないかがわかり、反省しました。今日学んだことを活かし、日々の授業に役立てたいと思います。
- どんな生徒も巻き込んで全員参加の授業を目指している手だてがよくわかりました。本文のOral Introductionは反応を見ながら、もう少しゆっくりやると低学力の生徒も安心できるのではないでしょうか。本文の内容の英語でのQ&Aについてですが、私は、夏休み前ぐらいまでは、日本語で質問をいくつか作り、本文でその答えが出ているところに下線を引かせていました。夏休み以降はそれを英語に変えてレベルアップしました。きちんとした英文で答えさせるところまでの段階として、まずどこに答えが出ているのかを読み取らせる→単語で拾わせる→主語・動詞をきちんととらえて英文で答えられる…となると思います。私は取り組む時には4人グループで相談させています。発問もバリエーションがあると楽しめるのではないでしょうか。例えば、(ちなみに私は、本文には①から番号をふらせていますが)教科書のイラストの場面は何番の文で説明されていますか?とか、なぜ○○さんはこんな言い方をしたのでしょうか?…など。今度は是非、ビデオで授業風景を見せていただきたいです。
●日時: |
2013年12月21日(土) 午後3:30~7:00 3:20 ~ 受付開始 3:30 ~ 5:00 大学レポート [担当:萩原] 5:00 ~ 5:15 休憩 5:15 ~ 6:45 中学レポート [担当:日比] 6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡 ★例会後、「望年会」があります。ご参加下さい。 |
●会場: |
大倉山記念館 第1集会室 (Tel. 045-544-1881) (東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る) より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
|
●会場費: | 500円(支部会員200円 学生200円) [当日会員登録(年会費2000円)で割引適用] |
●大学実践報告: |
「"Faithful Elephants"の紙芝居と 旅をするグローバル・ティーチャーをめざして」 坂本 ひとみさん(東洋学園大学) |
●中学実践報告: |
「これでいいのか私の授業…」 廣瀬光恵さん(八王子市立第一中学校) |
●お問い合わせ: | 萩原一郎 |
2月例会予定 2月15日(土)
★会場:横浜市技能文化会館 6階603研修室
〒231-8575 横浜市中区万代町2丁目4番地7 TEL/045-681-6551 関内駅徒歩5分
〒231-8575 横浜市中区万代町2丁目4番地7 TEL/045-681-6551 関内駅徒歩5分
- 泉 康夫さん(川崎市立御幸中学校)
「『モジュール式 英語の基礎』をやってみる」
レポーターから:
広島市ではここ数年、市内全中学校が「ひろしま型カリキュラム」と呼ばれる市の方策を受け、「中学校全学年、英語の授業の中に1回当たり10分程度のモジュール的な繰り返し学習を行う時間を設定する」という指導が行われています。これは広島修道大学・山田雄一郎教授が中学生用に開発した教材で、私自身は帯学習の観点からも「変化あるくり返し」の観点からも既習文法事項の復習にピッタシだと感じています。発表では実際に体験して頂き、互いに意見を交わすことができたらと思います。
3月例会予定 3月8日(土)
- 山崎 勝さん(埼玉県立和光国際高等学校)
「Oral MethodによるCLILの実践」
レポーターから:
CLIL(Content and Language Integrated Learning)とは、「内容言語統合型学習」であり、そのフレームワークは、4つのC、すなわち、Content(内容)、Communication(言語)、Cognition(思考)、Community(協学)です。Oral Methodを基礎にして、この4つのCを統合させ、さらには、「協調学習」と生徒の「英語の使用」の両立を目指した実践をご紹介致します。
(2013年12月7日掲載/2014年2月3日更新)