■ 神奈川新英研12月例会報告

2012年12月
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■近況,最近取り組んでいること

  • 今年の初めに英語教師を目指すことを決心して専攻を変えました。
  • 授業の導入で会話活動を必ず取り入れる。目を見て話す練習(会話)
  • グループやペアでの言語活動をとるようにしています。また教科書本文の役割読みをして発表させることも行っています。
  • 英会話授業(字を使わない)と教科書の暗誦

■授業でうまくいかず悩んでいることなど

  • 活気がもっとほしい。
  • 英語に対して苦手意識を強くもっている生徒の書く力をどのようにつけていくか。
  • もっと生徒が熱中する授業,できない生徒ができる授業(暗唱はやる生徒はやるがやらない生徒はやらない)

■事務局への意見

  • こういうレポートを聞きたい:会話表現定着のTips

■中学実践報告:「活気の出る授業作り」

棚谷[たなや]孝子さん(平塚市立神明中学校)

棚谷さん

  • レポーターから
    2年生から持ちあがった3年生に新教科書を使って,どう授業しているかを報告します。少人数クラスでも一斉授業で個人に課題を与えたら到底無理だと放棄したり,居眠りしたりする子が多い中,どうしたら助け合い,時には競い合って,ペアワーク・グループワークができるか? どうしたら小さな進歩でも自信をつけ,やる気にさせられるか? 新教科書(New Crown → New Crown)への移行,入試制度の改変で,試行錯誤,ドタバタしている現在進行形の授業実践です。
  • 棚谷さん
    38年間,平塚市内の中学校6校勤務。神明中学校は6年間勤め定年退職,4月から再任用, 3年生全5クラス担当。
  • 学年の様子
    1年時,一斉授業(約34名)の英語や数学はかなり困難。2年以降,英語,数学は少人数(約17名)の10クラス展開。2年次は英語科教員4人全員で担当。今年は授業数が週4時間になり,5名に増えた英語科のうちの3人で担当(1年生一斉5クラス,2年生は3時間が少人数10クラス,1時間が一斉5クラス)

2年生

  • 昨年2年生の授業
    英語科4人で気概を持って授業に臨んだ。幸い「声をよく出す」,「歌を楽しそうに歌う」という長所があり,彼らの元気に依拠して授業を進めた。
  • 単語テスト
    Lesson終了後の単語テストが,出題する語が決まっているのに出来ない。20語程度を2日間で10語ずつにしたら満点が増えてきた。それでも0点や1点の生徒たちは悩みのタネ。語数を減らすような機械的なことで解決しなかった。
  • スピーチで自信
    2年の11月,不定詞を教えた後でまとめとしてスピーチに取り組んだ。困難ながらも楽しい作業。丁寧に2時間かけ,ほぼ全員が発表し,メモをとったことでその後の生徒たちの学習態度に変化が出てきた。発表時だけ少人数が一斉授業に戻り,全員の前で発表したことが大きな自信に繋がった。今まで,単語テストが0~2点だった生徒たちが8~10点に上がってきた。暗記がどうしても無理でも,友だちの助けにより,必ず1語は書くようになった生徒もいる。

3年生

  • 3年になって
    今年は少人数の5クラス担当,もう2名が少人数の2クラスと3クラスを担当。1つの母学級は前半17人と後半16,7人のクラスに分けて,定期テストごとに前半生徒と後半生徒の教科担任が入れ替わる。授業時数が3時間から4時間になったことで,授業のない日が月~金のうち1日だけという連続性のある理想的な形になった。しかし,教科書が新版に変わり,登場人物の若干の変化,新出単語の爆発的増加,ページ数増加,各課の構成の変化などが一度に起こり,戸惑った。教師側としては音読指導,新語導入の工夫,ノートにとにかく書かせること,長文に慣れること等に力を入れた。8ヶ月あまりの実践の中から気が付いたことを以下にまとめてみた。
  • 試み1 communication cardsの活用
    簡単な応答の文を身につけさせようと,年度当初に英語科で話し合い,(株)mpi・正進社の「QA-100」のカードを使って,英問英答の定型表現を毎時間行った。カードの表に  Are    ?  ,裏に  お腹すいてる  と書かれている。1,2回は最初の語と絵から英文を類推させ,質問の文を確定する。それの答えを言わせる。3,4回目はカードを見せて,質問の文を言わせる。教師が答える。1回に10枚ずつ導入した。20枚が一通りできた頃,生徒一人5枚ずつのカードを持たせて,4人が順番に黒板の前に出て,教師と同じ活動をした。指名したり,挙手させたりするのは生徒に任せた。現在60パターンほど覚えたので,あと精選してなんとか100まで身につけさせたい。途中途中で,この質問の文と,生徒自身の答えの文をノートにまとめさせた。Are, Is, Can, Do, Doesで始まる疑問文とWh-疑問文の語順と答え方に慣れさせるためである。また,Where do you live? と Where are you from? の違いなどもくり返すことで覚える。
  • 試み2 小先生授業
    Lesson 6 'I Have a Dream'(285 words)の本文を読んだ時。それ以前のLessonでは,長文のUSE Readを速読教材として扱い,各文を一人ずつ指名して部分訳などをさせ,内容理解チェック,英問英答をするくらいで済ましていた。高校入試の長文問題に対応できるようにしようという意図からだった。しかし,このように早くたくさん読ませてもリーディングの力がついたわけではなかった。11月に行った実力テスト(業者テスト)では多くの生徒が最初から長文問題に取り組まない(読みもしない)という事実が明らかになった。また,あるクラスでは一部の生徒に私語が多く,いい感じの授業になっていないので,私語をなくす方策も必要だった。私語をする生徒たちは結局授業が分からない,指されても答えられないという不安感と自信のなさからそういう行動をとっているように思われた。  1クラスのために始めたことだったが,進度が遅くなることは分かっていたので,全クラスで試みた。私語のあるクラスはきれいに男女別で3~4人の女子3グループ.男子2グループに分かれたが,他の4クラスは男女関係なく近い席同士で机をつけてグループになることが多かった。
     sグループに教科書本文の1,2文を分担して任せ,黒板の前に出て,小先生の授業をするという方式をとった。グループの活動は以下の通り。
    1. ① グループで自由な方法で教科書を読む(その日に5~6班で分担したページ全部)→教師のチェックを受ける。
    2. ② 小先生のための調べと作業と分担をする。
    3. ③ 前に出て,黒板に担当した文を書く。
    4. ④ S(主語)とV(述語動詞)に下線を引く。
    5. ⑤ その文を読む。
    6. ⑥ その文の説明をする。
    7. ⑦ 生徒からの質問に答える。
  • 非常に楽しく,集中した授業になった。一方で  communication cards  で小先生の活動は個人で何回かやっていたが,前に出て説明するということは生徒にとって大いに緊張することだった。緊張しながらていねいに説明し,複数の手が同時に板書したりして,「先生の説明よりよく分かる」などと言われると,非常にうれしそうだった。また,質疑応答の場面が非常に面白かった。一例を挙げると,
    [ No.40 p.71 ]より 
    Let's fight for the right of anyone to take any seat on any bus." So the black people of the city stopped riding buses. Some walked to work and school. Others used cars. They got support from some white people.
    • Q:So を「そこで」と訳しましたが,「どこで」ですか。
    • Q:some white peopleから支持があったと書いてありますが,どのくらいいたんですか。また,どうして支持を得られたんですか。
    などの質問が出て,生徒も丁寧に答えて,「今日の授業は読み取りが深かった」と生徒に言わせたりした。この小先生授業は,各クラスの各グループが4回ずつ行ったが,生徒たちはまたやりたいと言っている。
  • 試み3 生徒参加の文型導入
    パソコンを使った所謂ICT教育というものは便利と思うが,あまりやっていない。それより,導入時にさっと休み時間に作れるカードや,写真,黒板に描く絵を多用する。また,実物投影機で教科書を黒板に写すとそのまま説明に使えて便利と思ったが,思わぬ落とし穴があった。あまりに早すぎて生徒の方が追いつかないのだ。そこでテキストは板書することにした。 Highslide JS
    マトリョーシカを2つ
    間接疑問文を導入したときのこと。[ 資料No.45 ] 授業前の休み時間に,早く来ている生徒に「マトリョーシカを2つ描いて」と頼んだ。 外側は女子が,顔部分は男子が書いた。この絵を使って,間接疑問文を導入した。 Highslide JS
    マトリョーシカを2つ
    「大きいお姉さんがI know ( ).という文だとしよう。これにWhat sport do you like?というお姉さんを入れる。小さいお姉さんはできるだけサイズダウンして大きいお姉さんに入る。まず疑問詞のWはwと小文字にします。クエスチョンマークもとります。doもとっちゃいます。かなり小さくなったでしょう?」という風に,一般動詞の場合とbe動詞の場合とを説明した。大受けだったので,記念に写真を撮った。ささやかな生徒参加だが,どのクラスも喜んだ。色画用紙の単語カードも多用している。ここで,Q-A100のWh-疑問文と対比させて,語順の違いを鮮明に覚えさせる。
  • 試み4 板書とノートの活用
    このLesson 7 'We Can Change Our World'(261 words )も長文の多読教材だが,プリントNo.49-50だけで授業を進めるのは無理だった。 Highslide JS
    マトリョーシカを2つ
    プリントの記号付けを助けに,音読させたり,順番に訳させることは表面どんどん進んでいくように見えるが,生徒に英文は何も残らない。やはり,ここでも長文リーディングのためには一文一文の構造を把握させる必要があった。 そこで,本文のノートと板書を同時に書き始めるようにした。行間は十分空けて,主語と述語動詞をプリントに倣ってアンダーラインさせた。
    1. (a) まず,各文の赤アンダーライン,青アンダーライン部  主語+述語動詞  だけを訳させる。例えばセクション3の5文。「Williamの家族は ほしかった」「お金がなかった」という具合に。
    2. (b) 次に○で囲んで,確認していく。「主語(部)は?」,「動詞は?」,「名詞(だれ,なに)は?」,「場(所)は?」,「時(間)?」「理由は?」と全体に問いかけていく。
    3. (c) 普段,文の語順に注意しようということで「主+動+名+(名)+場+時+たまに理由」という順序だと教えている。いつもこのパターンに当てはめ,自動詞では目的語がない,SVOOの文型がある,時には強調する時間や場所が主語の前に来ることがあるなどとパターンをくり返し,説明する。
    4. (d) be動詞はまた違うタイプだが,be動詞の後には,①名詞,②形容詞,③~ing,④~ed,⑤場所 [ I'm from Japan. ]が来ると教え,③④などは  be+~ing  や  be+~ed  を述語動詞としてアンダーラインさせる。
  • 例えば板書の最後の文は
    He(主) was interested(動) × (名) in many things(場) ×(時) and liked(動) to go(名) to the library(場) ×(時) to read books(理由)
    のように分類している。

プリント

Highslide JS
マトリョーシカを2つ

プリント

No.51 「疑問詞+to+動詞原形(不定詞)」の言い方
ボールの打ち方 I know how to hit a baseball.
私は野球のボールをどう打つか(打ち方)を知っている。
ハンバーグの作り方 I'm learning how to cook hamburgers.
私はどうハンバーグを作るかを学んでいるところです。
何をしたらいいか I don't know what to do.
私は何をすべきか(したらいいか)分からない。 どこへ行くべきか Tell me where to go.
どこへ行くべきか(行ったらいいか)私に教えてください。
how to make okonomiyaki お好み焼きの作り方
I know・・・ 私は知っています
how to make okonomiyaki お好み焼きの作り方
I'll tell you・・・ 私はあなたに教えてあげる
などの疑問詞+不定詞が目的語の位置に入ります。

 Exercise   疑問詞+不定詞を使って、英語で言ってみましょう。
  1. 1) オムレツ(omelet)の作り方 ____ __ make omelets
  2. 2)魚の育て方 ____ __ take care of fish
  3. 3) 集合場所 ____ __ meet
  4. 4) 次にすること ____ __ do next
  5. 5) どっちを食べるべきか ____ __ eat
  6. 6) 茶碗蒸しの作り方 ____ __ make chawanmushi
  7. 7)亀(tortoise)の飼い方 ____ __ keep tortoises
  8. 8) パーティーに着て行くもの ____ __ wear to the party
  9. 9) 最初にすること ____ __ do first
  10. 10) いつJohnを訪問したらいいか ____ __ visit John

 Let's Ask!   友だちと会話して、あなたが知っている「~のし方」を教えてあげましょう。下は一例です。
Winner : Hello. I know [how to     ] .
Loser : I know [    ] too.
    I don't know [    ]. Please tell me [    ].
Winner : OK.
Loser : Thank you.
・ how to knit sweaters, how to keep goldfish, how to play go, how to play the drums
・ how to make…  how to play…

終わりに

  • ファイルを見ていただくと分かると思うが,昨年11月に例会で発表したときに指摘された「3年生なのに4線のプリント!」の反省から,極力大学ノートに練習問題の答えを書かせるようにした。
    他に
    ①本文テキストを書く場合を増やす。
    ②ペアでスキットを作り,発表して,それをノートに書く。
    ③自己表現の文を書く。
    ④Q-A100がたまってきたら,Q and Asをノートにまとめる。
    ⑤ターゲットセンテンスをノートにまとめる(夏休み宿題) 
    ⑥自由に単語練習に使う 
    など,とにかくノートをたくさん使うことを奨励している。
  • 結局,昔の訳読式授業に戻っているようだが,神明中の生徒には,今は,英文の構造をとらえる上で,欠かせない儀式のようである。
  • また,単語テストは全部,順番も変えずに出題するのだが,資料のようにすべて英文の中で単語をとらえるようにした。

参加者の感想

  • 今日の勉強会で学んだことを活かして行きたいです。習熟度の低い生徒への工夫された授業と熱心な取り組みに頭が下がります。また教えてください。
  • 丁寧な資料(絵など)を収集して,一枚のプリントの中に生かしていくことが大切だと思いました。授業に集中できない子への工夫など苦労しますね。同館です。
  • 自分は英語教育に関してまだ何の知識もないので,授業に対してどのように取り組めばいいか基本的なところから勉強させてもらうことができたと思います。
  • 棚谷先生の細やかな気配りと準備を知って驚きました。「教えている単語と教えていない単語を調べなければならない」という高校受験を控えた指導の難しさが伝わりました。学力をつけてそれを実感させるのは本当に大変なことだと思いました。
  • コミュニケーションカードや歌を歌う活動は生徒の興味関心を高めるために良い取り組みだなあと感じました。また,グループ活動では生徒同士が対面した形で,英語を読み合うなど,より取り組みに良い効果が生まれるのではという感想を持ちました。
  • 帯活動でのカードを使った活動は繰り返し定着させることに使えるために役立ちそうだと感じました。プリントやカード教材など完成度が高い一方で,生徒目線で授業を創り,生徒の到達状況を踏まえて内容を改善させている姿勢に感銘を受けました。
  • やはり英語教師としての長い経験となんといっても重厚な人生経験が生徒たちの心を解きほぐし,先生のペースに生徒たちを導いていく迫力を感じました。
  • 英語をあきらめかけている生徒に,熱心に英語を理解させて,使わせていこうとされている思いが伝わりました。単語テストで満点を取る生徒が増えているというのがすばらしいです。具体的にどのような指導をされているのか知りたくなりました。100点を取ることで生徒のモチベーションは飛躍的に高まるのだと思いました。ノートを大学ノートにされているということでしたが,字が小さくて嫌になる子もいると思います。生徒のことが第一です。大学に行ってからキャンパスノートを使えばよいと思います。

■大学実践報告:「協同学習・大学における実践」

吉牟田聡美[よしむた さとみ]さん(大学非常勤)
 大学での協同学習の取り組みです。

吉牟田さん

  • レポーターから
    協同学習のアプローチを用いた,ライティング力やリーディングの理解の向上を目指す授業をレポートします。かねてより協同学習に興味はありましたが,英語の授業にどう導入し組み合わせるのかが課題でした。今年3月にこの分野で世界的に有名なDr.Kagan のワークショップを体験したことが,知識を広げ実践するきっかけとなりました。Dr. Kaganの協同学習は力の低い学習者を伸ばし,全体を底上げするのに適しているとの言葉とデータがあり,自分が担当する授業における協同学習の有効性を強く確信しました。以降,大学での授業で暗中模索しつつ今に至ります。大学におけるリーディング・ライティングその他の授業での協同学習的アプローチの可能性を探ってみた今までの成果(授業の流れや協同学習的tips の用い方,位置づけ)と課題点(評価方法)を紹介します。
  • テキスト
    Easy True Stories (Longman), English Writing for Global Communication ―グローバル社会の英語作文(金星堂)

協同学習

  • 動機・きっかけ:テンプル大学TESOL( 2012、1月~)で,二つのワークショップ(Dr. Fushino, Dr. Kagan '12, 3/23) 
  • 【Coopearative Learning (CL)の定義】: Principles and techniques that employ small groups as an instructional means so that students work together to increase their own and each other's learning to the maximum (Fushino, 2008, p.7)
    学習者が互いの学習を最大限に伸ばす目的で小グループを使う教授理念・手法
  • 【背景となる理論】 ヴィゴツキー:最近接領域(Zone of Proximal Development)
    interlocutorの助力があれば、今より少し高いレベルのことができるようになる
  • 【CLの指針】(伏野、2012)
    1. いい意味での相互依存:学習者は、達成すべきことと協力することの相関性と価値を認識する。ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。All for one. One for all.
    2. 明確な(説明・学習)責任:グループ達成目標を完遂するために個人が役割を果たすことに責任を持つ。「置いていかれる」学習者を防ぐ。
    3. 面と向かってコミュニケーション:東京砂漠と化しつつある大学においてフェーストゥーフェースの貴重なチャンス。人とコミュニケーションをはかること、そのものがニーズとなっている。
    4. グループスキル:
      1. ① 自分の成功は、他者の失敗ではなく、みなでうまくいくよう励ましあう。互いに大きな達成目標に到達するのを助け合う。
      2. ② 他人とうまく付き合う対人能力、グループスキルが必要
    5. グループワークの完遂(方法):次回はよりうまく行うために、グループワークを振り返り、長所短所を見極める。 自立学習への第一歩
    6. 平等な発言回数:スピーキング、ライティング、パフォーマンスにおいて参画の度合いが偏らないようにする
    7. 偏らないグループ決め:偏差値、英語力、性別、モチベーション、知識、興味などがばらばらの学習者でグループを作る。これは遅れがちな学習者には効果的。
    8. 学習者同士の意思疎通を最大化:ペアだと、それぞれ50%の発言率、参加率;
    9. 協力の大切さ:
      1. ① 相互協力を達成目標としてみなす
      2. ② クラスメートを協力者としてみなす
      3. ③ 競争原理と個人作業に取って代わる、実行可能な代替案
  • 【第二言語学習への応用】
    1. ① グループワークコミュニケートするチャンス疑問点の明確化
    2. ② 英語を用いる場としてのグループ
    3. ③ コミュニケーションスキルの育成
    4. ④ 共に学び、成長する場としてのグループ
    5. ⑤ 教師依存から自立的学習者へ
  • 【Tips for Cooperative Learning】
    1. Grouping: 4 s the magic number !
    2. Three-step Interview:
      1. a) 教師は、トピックと時間を言う。RallyRobin
      2. b) ペアでAはBにインタビューする。
      3. c) AとBで役割を交代する。R ound Robin
      4. d) 二つのペアでグループを作り、AはBについて知ったことを発表する。BCDも同じく。
    3. Numbered Heads Together
      1. a) グループメンバーで番号を決める。
      2. b) 教師が質問する。
      3. c) グループで相談し、答えを出す。
      4. d) 教師の呼んだ番号のメンバーが答える。
    4. Student Teams-Achievement Divisions
      1. a) 教師は教材を使って、授業をする。
      2. b) グループ、ペアで復習し、疑問点を解消し、理解を定着させる。
      3. c) 全員が個人作業として小テストを受ける。
      4. d) 個人個人の成績がグループポイントに加算される。
    5. Think-Pair-Share/Think-Pair-Square
      1. a) 一人で考える
      2. b) ペアで考えをシェアする
      3. c) クラスで発表する/二つのペアでグループになり発表する。
    6. Inside-Outside Circle      (    )方式
      1. a) 2重の円を作り、目の前の人とペアになる。
      2. b) インタビュー/質問/意見交換する。
      3. c) 一人ずつ相手を変える。
    7. Paraphrase Passport
        a) ペアを組み、Aはトピックに関する意見を言う。 b) Bは、表現を変えて言い直す。 c) Aは、意味が変わっていないかチェックする。 d) 次に、Bが意見を言う。同様に上記のプロセスを繰り返す。
      上記2~7出典:Jacobs, G.M., Lee. G.S., & Ball, J. (1997). Cooperative learning: A source book of lesson plans for teacher education. San Clemente, CA: Kagan Cooperative Learning.
    8. Shoulder partner 隣にいるパートナー touch shoulders Face-to-face partner  正面にいるパートナー hi-five Four Corners =( ) Raise your arm ワーク終了後、教師の話を聞く体制ができたという表明
    9. グループでのメンバーの役割 .
      1. a) Leader(MC)
      2. b) Time Keeper(常に残り時間をしらせ、発破をかける)
      3. c) Recorder (記録係)
      4. d) Reporter(発表係)
    10. 3名の場合は、Recorder+Reporterをひとつにし、5名の場合は、Noise Controllerを入れる。

Reading

  • 大学における実践
    1. ① Reading (テキスト:Easy True Stories, Longman)
    2. ② Composition(テキスト:グローバル社会の英語作文,金星堂)
    3. ③ プラダを着た悪魔(テキスト:映画総合教材「プラダを着た悪魔」,松柏社)
  • Readingテキスト:Easy True Stories, Longman
  • 【担当クラスの状況】:対象学年1~2年医療技術学部スポーツ医療学科1年x2組・経済学部経済学科2年x1組・文学部社会学科x2組。クラスサイズは、最大30名。英語力は、担当の医療技術学部生は平均して高く、英検準2-2級程度、その他は4-3級程度。オリエンテーションと期末試験を含めた半期15回のうち、3~4回Four Cornersを行う。
  • 採用トピックは、U3 There's something in the Mattress, U5 A Love Story, U9 Two Happy Men, All Sides of the IssueよりThe Letter of the Law
  • 教科書 Easy True Stories 本文サンプル
  • Four Corners 要領(学生配布)
  • 【効果測定方法】
    • 期末テストに4段階で任意のストーリーのあらすじをまとめさせた。
    • 14回目授業内試験後、アンケートを取った。
  • アンケート結果
    項目1、授業に積極的に取り組めたか。
    項目2、4月と比べて、パートナーやグループメンバーに対して信頼感は増したか? 
    項目3、本文は挿絵なしでも理解できるか。
    上記項目について、4あてはまる 3あてはまるだろう 2あまりあてはまらない 1あてはまらない の4段階で解答
  • 【水4学生のコメント】(およそ英語検定2級~準2級レベル)
    • (信頼感の増すきっかけは?)グループでわいわい勉強するほうが楽しかった。
    • グループ学習をすることで、みんなの性格がわかり、絆が深まった。
    • シェアする時、「わからない」という人がいると時間が足りない
    • クラスのみんなと仲良くないから、発言がしづらい。
    • 【水1の学生コメント】(およそ英語検定準2~3級レベル)
    • 教科書が興味深い内容ばかりなので、まあまあ面白く授業が受けられた。
    • ショルダーパートナーと友達になれたから
    • 軽く意見を言い合えるようになったから
    • 4コーナーで一人一回は意見を述べることが大切だと思う。聞いているだけじゃ、理解しにくいから。
    • 【金4の学生コメント】(およそ英語検定4級以下)
    • 授業の始まりにまず単語をやるシステムがよかった。
    • わかりやすい授業です。
    • やはり話すことができる人が増えたのは大きい。
  • ★FINDINGS: レベルは異なっても共通して言えること:(   )関係の構築と授業内容の(  )や定着、達成感には相互作用がある。だからこそ、はじめの導入は一番気を使うべきで、失敗できない。

Composition

  • Composition(テキスト:グローバル社会の英語作文,金星堂) 【担当クラスの状況】:対象学年 外国語学部外国語学科2年x3組。クラスサイズは、最大30名。英語力について言うと、ミックス。習熟度別になっていない最後の学年。
  • 2週に一度、Writing Journal が課される。指示されたタイトルについて200words 以上書いてくる。タイトルは、自己表現に関するもので、教科書の内容と連動している。My Golden Week, My Life, My Family, My likes and Interests
  • 授業手順:
    ある週
    1. ① Words and Phrases の小テスト
    2. ② ユニット前半の問題を解答・解説(HWは、指示されたタイトルについて200words書いてくる)
    次の週
    1. ① 授業前半:ジャーナル・シェアリング
      1. (a) シェアリングに役立つ簡単な表現を教える
      2. (b) ペアでシェアする。相手の名前とジャーナル・サマリーをノートに記録する。
      3. (c) 3両方シェアし終えたら、ノートを交換し、コメントおよびサインをする。
      4. (d) シェアリングの最中に、担当者はきちんと完成したジャーナルにスタンプを押していく。
    2. ② 授業後半:Unit 後半の問題解答・解説
  • 【効果測定方法】
    1. (a) ジャーナルは、中間期と期末に回収してチェックする。
    2. (b) A+からC-および未完成の10段階で評価する。
    3. (c) 期末テストに上記ジャーナルタイトルのうち2つを出題し、学生は任意で一つを選び、200words 以上で論述するものとした。
    4. (d) 14回目授業内試験後、授業とジャーナルに関するアンケートを取った。
  • 【アンケート結果】 項目1、ジャーナルは(全般的に)英語力向上に有効ですか? 金2のみ採用  4(あてはまる)~1(あてはまらない) 項目2、ジャーナル・シェアリングは有意義でしたか?
  • 【学生のコメント】項目3、印象的なコメントは?
    • My Familyで家族が好きだとわかってもらった
    • 同じ地元出身の人がいて、良さを分かち合った。
    • 同じ考えの人がいて嬉しかった
    • 「生き物が好きだというのがとてもよくわかる」には嬉しかった。
    • Self-respectに通じるコメント
    • 文章のつくりをほめてもらった
    • 複合的視点が与えられるコメント
    • 映画派の自分に、本もいいところありますよと書いてもらったこと。

参加者の感想

  • 川崎で共生教育を行っていますが,これを英語の授業に取り入れてできることがわかり,また共同学習という形を教えていただき,勉強になりました。
  • 面白い試みですね。英語で中学生も工夫すればできそうです。グループ学習の大切さを改めて再認識させられました。
  • 共同学習にはとても興味がありました。吉牟田先生の授業の進め方がわかりやすく,レスポンスや声の大きさなどとても参考になりました。間違った英語でもお互いに聞こうとする前向きな態度を身につけさせることも大切だと思いました。コミュニケーション活動が苦手な生徒たちには有効な学習方法だと思います。英語の授業に限らず,ホームルーム活動や他教科の授業にも応用できそうなのでもう一度教わったことを見直してみたいと思います。
  • グループ活動の取組のお話は興味深いものでした。生徒同士の責任感の中から互いに学習力を高めることにつながる。私は,学習効果を上げる以前に,生徒同士の話ができるチャンスをもたせることが可能だなあと強く思いました。教師対生徒だけではなく,生徒と生徒で習熟度が高い子が低い子に対して教え,学び合える本当に良い方法だと感じました。今後,生徒状況を見ながら役立てていけたらと思います。
  • 共同学習を取り入れた実践報告を聞くことができ,感じるものがありました。キーワードの一つに人間関係つくりは大変だとも思いました。いろいろ参考になり,ありがとうございました。

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(2013年2月4日掲載)