■ 神奈川新英研6月例会
●近況,最近取り組んでいること
- 音読とアウトプットを重視した授業。
- 時事英語,English Presentation, Cooperative Learning 学生の英語学力悩み(TOEIC400/STEP Pre2レベルまで到達していない)
●授業でうまくいかず悩んでいることなど
- 時間配分と生徒のモチベーション。
- 悩み:こういう会に来ようと考える英語科教員が今の本校にあまりいないことかな…。
- 今年度は2,3年のwritingのみ教えています。単調になりがちな授業をいかにメリハリをつけて楽しい活動をとりいれて定着させるかばかり考えています。ペアワークなどのactivityで新しいアイディアはないのでしょうか…
●事務局への意見
- 今日はどちらも大変興味を持ちました。よい意味で刺激的な報告を望みます。初参加でしたがありがとうございました。11月(以降)の機会をありがとうございます。尽力します。
- HPをよく見ています。参考になります。
●中学実践報告「世界は君を待っている ~映像と長文で巡る世界の現場~」
泉康夫さん(川崎市立白鳥中学校)
会報担当・和田は「泉さんは,英語の力をつける帯活動もされながら,教員として,人として『何を伝えるか』を見失わない,信念のある発表をしてくださいます。」と新英研MLに投稿しました。その通りの内容でした。多くの参加者が感銘を受けたと思います。『チェルノブイリ・ハート』に記録されたベラルーシの障害を持った子どもたちの悲劇,それがフクシマを中心に繰り返されるのは確実であり,私たちに出来るのはこれ以上,上乗せしないように「即時に脱原発」していくことなのだと私は確信を深めました。
泉さん
- レポーターから:
言語活動というラチもないおしゃべりに明け暮れる毎日ですが,私自身の関心は旧日本軍によるマレーシア住民虐殺やルワンダでのツチ族虐殺,児童労働,子ども兵士,カンボジアの残留地雷,米軍によるベトナムでの枯葉剤撒布,ビルマ民主化闘争,フィリピンのゴミ山,ペシャワール会によるアフガニスタン水利事業,アフガン女性の苦しみなど,マクロな視点からの学習活動にあります。こうした世界の現実をここ数年,英語の教室にどう取りこんでいるか。発表では「チェルノブイリと子どもたち」を例に採り,その方法を紹介します。 - アジア旅行の思い出(その1):
30代でシンガポールに行って,YWCAの食堂で「日本が虐殺したのを知っているか?」と,中国系のウェイターにからまれ,「君たちを殺したのは私ではない」と強調構文で言ったら,火に油を注いでしまって,ウェイターを周囲が止めてくれたという出来事があった。 - アジア旅行の思い出(その2):
マラッカ州のタンピン駅で、マレー系のおじいさんが「君が代」を歌いながら近づいてきた。その人は日本のおかげで電気について学べて良かったと言ったが,日本軍は中国系とマレー系で差別的な待遇をしたということを知った。 - 英語教育史を振り返って…:
1990年代にALT導入で「ラチもないおしゃべり」(by 小田実)で日本の英語教育は20年間,技能主義(英授研,達人セミナー…)。泉さんは「流れに棹さして」、使える技能を導入してきた。中学教科書は三省堂Crownがスタートになって,世界のことを伝えようとするようになった。キング牧師やマザーテレサ,マラウィの男の子が風力発電をする話などがある。 - 平和教育への思い:
新英研はドーンと一発やって終わってしまう。英授研では久保野さんが9.11を扱っていた。新英研では「PTSDになるから子どもにむごい映像を見せるな」という議論があった。しかし写真家の石川文洋さんは「むごたらしい写真はみせないといけない。むごたらしい目に遭った人が浮かばれない。その場にいた人はもっとすごいPTSD。映像ぐらいなら大丈夫ではないか」と言っていた。 - 文法指導は単刀直入に:
現在完了の継続なら「has, has+過去分詞。How long ~?できいて,forとsinceで答えるなり」と復唱させて,覚えさせる。基本文を口頭練習してwriting。以前は口頭練習ばかりしていたが,writingを早めに入れるとよい。
自主教材
- 映像と長文で巡る世界の現場:
第8時に行う(1時間は新出語,速写50発ビンゴ編など,2~7時間は基本文Q&A,基本文ペア活動,「文法事項の前さばき」,本文音読,ドリルなど,帯活動を行う)。映像や長文の記憶が生徒に残り,それがコミュニケーションの振り幅を拡げる糧になればと考えている。 - 授業の流れ:
長文に関する映像を視聴し,背景を知る(20分)→長文通読+話し合い(15分)→設問「怒濤の質問編」に取り組む(10~15分)
学年 映像 リライトした長文 怒濤の質問編:映像+長文 2 「アフガニスタン 命の水をもとめて」NHK総合 Canals in Afghanistan (COSMOS I 三友社出版) Q:中村哲さんがアフガニスタンの山岳地帯に最初の診療所を作ったのは西暦何年?
Q:2001年9月,中村さんたちが干ばつの大地と格闘していた頃,世界を震撼させた事件とは?3 「教えられなかった戦争―侵略・マレー半島」映像文化協会 Japanese Soldiers in Our Country(マレーシア国定英語読本) Q:鄭来(チョン・ロイ)さんの弟(生後6ヶ月)を日本兵が投げ挙げ,もう一人が( )で刺した。A:銃剣
Q:1941年末,マラヤ(現在のマレーシア)ではどんな事件がありましたか?3 「忘れられた子どもたち」オフィス・フォー Payatas Guidance (SALT PHILIPPINES) Q:スモーキーマウンテンを流れるナボタス川では月に1,2回( )が上がる。
A:死体3 「ルワンダの涙」BBC FILM The Rwanda Tragedy (Unicorn 文英堂) Q:ルワンダでの虐殺でフツ族はツチ族殺害に使った主な凶器は何?
Q:フツ族虐殺の引き金となった事件とは? 長文(1)の2~4行目だぞ。
チェルノブイリを扱う
- Chernobyl and Children:以下の「長文」「ワークシート(質問編)」「ワークシート(映像)」を使用。順番は,ビデオを見せる+ワークシート(映像)[荒れた学校ではワークシートを配布しないと映像を見ない,ということを以前に学んだ]→長文→ワークシート(質問編)[採点して下を切って返却]
- ワークシート「世界は君を待っている ~映像と長文で巡る世界の現場~ チェルノブイリ」 映像編【 】が空所。
1986年4月26日のチェルノブイリ事故以来,障害児の発生率は【25】倍に膨れあがった。歌手ナターシャ・グジーは【1999】年に来日し,日本各地でコンサートをしている。チェルノブイリ原発が爆発したとき,ナターシャは【6】歳だったが,父親が原発で働いていたので原発から【3.5】kmのところに住んでいた。事故については,翌々日になって初めて知らされ,「3日間避難してください」と言われ,荷物も持たずに出た。ナターシャさんの願い:「人間は忘れることによって【悲劇】を繰り返してしまいます。【悲劇】を忘れないでください。【同じ過ち】を繰り返さないでください。」
[ウクライナの歌姫ナターシャ・グジーさんはNHKの視点・論点「チェルノブイリとヒロシマ」(2008年8月6日放送)の中で,民族楽器バンドゥーラ(Bandura、Бандура)で木村弓さんが歌う『千と千尋 の神隠し』主題歌「いつも何度でも」を弾き語りしている。] - 長文:高校教科書 Prominent 1 をリライトしてALTのチェックを受けて作成。1986.4.26のチェルノブイリの事故によるヨウ素131で甲状腺ガンに苦しむ子どものことや原発から3キロ離れたプリピャト(Pripyat)で被災し,その後,日本に住んでいるナターシャさんの気持ちを綴ったもの。
- ワークシート「映像と長文で巡る世界の現場~ウクライナ編~ Chernobyl and Children 怒濤の質問編」【 】が空所。
映像に関する発問=映像「チェルノブイリ・ハート」を視聴する。
「チェルノブイリ事故当時に幼少期や思春期だった子どもたちがちょうど【甲状腺】がん多発の年齢層と重なります。」(「ナンバーワンホーム」という遺棄児童の施設は,チェルノブイリ事故以前にはなかった。)
長文に関する発問=7~8行目を和訳しなさい。Itは「放射能の灰」と訳すこと。
It (= the radioactive dust) was found in vegetables, water, and breast milk in Japan, 8,000 kilometers away from Chernobyl. 【放射能の灰はチェルノブイリから8000キロ離れた日本の野菜・水・母乳に見つけられた。】
質疑応答+意見交換
- Ymさん:生徒に何を訴えたいか?
- 泉さん:まず伝える。私自身が関心があることを知らせるだけ。授業が終わった後に子どもたちは話しかけてくることがあり,そういうときに話す。これをどうこうというのはない。
- Yさん:5月6日に竜巻が起きた。英字新聞・日本の新聞で生徒に伝えるときに,防災教育につなげた。流しっぱなしのときもある。原子力の負の遺産。橋下・大阪市長も再稼働を認めた。「私たちは子どもを産めないんだ」と泊原発のそばの子どもが質問したように福島の子も言っている。
- Kmさん:衝撃を受けた。授業で,中村哲さん,ルワンダのことを総合の時間に扱った。知らせることが子どもたちのパワーになると思った。
- Q:東陽町の教科書図書館で入手したとのことですが,教材の探し方は?
- A:マレーシアの教材は昔,現地で入手した。ルワンダは高校の教科書の抜粋。パヤタスはNGOのHPから。佐々木禎子さんやキング牧師,マザーテレサ,『あのころはフリードリヒがいた』も高校の教科書の抜粋。今,関心があるのはマラウィの男の子。2%だけ電気を引いているが7~8%に増えた。手巻きラジオ(イギリス人が発明)を南アフリカ共和国で作っている。
- Q:ふだんの授業との兼ね合いは?
- A:1レッスン終わったら1つするペース。8時間目に入れる。6時間目は長文。
- Q:中2~3へという内容。中1後半に入れるには?
- A:「クジラと少女」「ウミガメ」(静岡県で海に亀をかえす運動),昨年のHorizonにあったdream catcherの話などがお薦め。
- Q:他の中学教科書から探すのですね?
- A:そうです。
- Tnさん:中3は長文に触れさせたい。New Crownのスマトラトラの話はパソコン室で映像を見せたりした。他の教科書でアインシュタインやピカソなどの偉人を扱ったりした。
- 泉さん:横浜の東急ハンズでDVDに焼いてくれるサービスを利用している。
- 泉さん:アフガニスタンの女性の権利。DVがひどくて夫を殺した女性の話。
- Kmさん:世界の人権問題についてHuman Rights Watchというサイトがある。
- Q:テストは? 他のクラスには(投げ込み教材は)出せないですよね?
- A:他クラスより平均点が高いので,文句が出ない!
参加者の感想
- 泉さんの紹介のナターシャさんの歌の美しさと悲しさを含め衝撃を受けました。本当に勉強になりました。先生の関心のあること,強い気持ちこそ,生徒にストレートに伝わると思いました。新英研は本当に勉強になります。今年は全出席目指します!
- チェルノブイリの映像を見て,私も知らないことだったので驚きましたが,このような現実を子どもたちに見せるだけでも心に響くと思います。最近は3D4Dのゲームやバーチャルな世界に生きている子どもたちが多く世間が狭いので世界で何が起きているのかをしらせることも世界共通語の英語を教えている私たちの使命なのかなと思いました。外国の文化に広い意味で理解につながると感じました。
- [最近取り組んでいること]行き当たりばったりでなく,ゴールが見える授業(一日の中でも長期的にも)→しかし,そのゴールが小さかったり,テストの点だけに焦点を当てているところです。
- まさにTheme-Based Instructionを地で行っている実践でした。神奈川県の難度の高い高校は高校テキストの1年生の上レベルの内容と分量を入試問題として独自に実施していましょうから最終的にProminentクラスのテキストを読ませるというのも効果的だと思いました。泉先生のご経験の中でのご実践がふんだんに見られた発表でした。このようなSociology in Englishは私も好きな分野なので,今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
- センター試験の解き方みたいなことばかり一生懸命な進学校の生徒ほど,もしかしたら世界で何が起こっているかに疎いのかもしれないなぁと思いました。そして私も…今後,文法の授業でも使えそうな英文を含むものを見つけて細々ながら世界を知らせることができたらなぁと思います。ありがとうございました。:)
- 検定教科書を深めるという方向だけでなく,大胆に関連のないtopicで新しい英文にふれてもらい,興味関心を広げてもらうという方向もあると知りました。どちらの工夫も今後していきたいと実感しました。
- この映像があったのねぇと驚きでした。百聞は一見に如かずです。そして,チェルノブイリからの歌手アンナさんだっけ…きれいなゆっくりの日本語で自分の状況を話し,またきれいな歌声だったのが印象的で私もぜひ見せたいと思いました。
●高校実践報告:「私の苦手なアウトプット型の授業をやってみた」
倉本和晃さん(慶應義塾高校)
「倉本さんが『平和をつくった世界の20人 』の原書を使って,マザーテレサなどの人物を順番に取り上げ,『本文内容でプレゼンする人+ネットなどでその人物を調べる人』のペアワークで行った授業を発表されます。」と新英研MLに会報担当・和田が投稿したのを読まれた作間先生(『平和をつくった世界の20人 』共同翻訳者)が参加してくださいました。
この『平和をつくった世界の20人 』(岩波ジュニア新書)は原書Great Peace Makersにアメリカで出会われた淺川先生が翻訳されたものです。本文に関する発問がすばらしい。HPもあります。この教材を使った実践が広まるといいですね。
倉本さん
- レポーターから:
私が中・高生時代に経験した英語の授業は,インプット活動が中心。アウトプット活動といえば,英訳に限られていたと記憶しています。アウトプットの重要性は認識していますが,学習者としての経験が不足しているため,自分の授業ではあまり取り上げてきませんでした。そんな私が試みたアウトプット活動。四苦八苦ぶりをご覧あれ。 - 学校:
男子,一貫教育校(昨年度は約99%が内部進学=受験指導しない),生徒数約2200(各学年18クラス)。戦前は大学予科(一足早く,アカデミックな雰囲気。大学で求められる能力を考えて指導)。多様な生徒(半分が外部,半分が内部進学者[小・中から]。帰国生入試)。校訓は「独立自尊」「半学半教」(教員と生徒の関係性はお互いが教え合う姿勢)。受験という大きなドライブ(動機)がない中での英語授業。 - 教室設備での工夫:
教室にスクリーンがないため,白い布(綿70%ポリエステル30%の比率だとシワにならず丁度良いと,この夏に分かった!),パソコンと個人所有のプロジェクタを使っている。 - 授業:
必修(時間数が少ないので驚かれる)
1年 英語Ⅰ(週2コマ) OCⅠ(週2コマ)
2年 英語Ⅱ(週2コマ) OCⅡ(週2コマ)
3年 英語Ⅲ(週4コマ)
選択 3年時を中心に多数
習熟度別 1年 初級 中級 上級
(必修) 2年 初級 中級 上級
3年 標準 上級(3つのホームルームからpick-up) - 倉本さん:
3年生担任。大阪出身(30歳まで大阪で団体職員,中高教員),大学院に入るため東京へ。慶應義塾高校は9年目。 - アウトプットの必要性:
再現(インプットした情報)→自己表現(自分の考え)
例1)立ち話で「ネットの芸能ニュースを見たら,塩谷瞬が二股かけてたんだって(=再現)。ひどい話だよ,女性の気持ちを考えるとさ…(=自己表現)。」
例2)論文で「先行研究の紹介(=再現)」「議論,結論(=自己表現)」
倉本さんのコメント:「大学時代はやったけれど,自分自身がしていない。outputは英作文ぐらい。」
授業
- 英語Ⅲ(標準,30名) ELEMENT English Reading READING SKILLS BASED(啓林館)[この教科書を選んだのは「見開き」構成でレイアウトがきれいだったから。reading skillsに特化していて「phrase readingとは何か」「パラグラフとは何か」などを扱う]進度は3時間で1レッスン。
- New Words & Phrases:先渡し
7 40 material 名詞 材料 7 41 beware 動詞 気をつける 7 40 serve as A Aとして役立つ This box will serve as a desk. 7 41 rely on A Aに頼る We can't rely on the weather report very much. - Phrase Reading & Translation:先渡し
L7 What a Successful Reader Needs
Reading serves as a window /
to the world around us.//
We read newspapers,/
popular magazines,/
fiction,/
and other materials.//
第7課 上手な読み手が必要とするもの
リーディングは[読むこと]は窓として役立っている/
私たちを取り巻く世界への//
私たちは新聞を読む/
大衆雑誌や/
フィクション/
およびその他の(読みの)題材を// - Attention Pointer:教科書にある小さなコーナーで「例示のディスコースマーカーを丸で囲みなさい」「トピックセンテンスに下線を引きなさい」などの指示。
- Comprehension:教科書で見開き2ページ。
- TF, QA ワークシートの表に「Lesson 7 全文(540words)」,裏にTF, QA。 まず「lesson 7を読みなさい。左から右へ進み,戻らないこと。5W1Hを拾いながらためていきなさい。読めたら時間を記入しなさい(制限時間5分)。今度は裏返してTFをしなさい(1分)。」 540 words ÷( ) sec×60(1分に換算)×( ) correct answers ÷ 12 questions=Score ( ) →グラフに記入させる。
- Fill in the Blanks, 音読,Dictoglos:再現(ライティング) Fill in the Blanksは,本文の10語をはじめの1字を残して墨塗りしてあるので書き出す。ペアでもグループでも良いので1人でやらないというルール。 音読は,スラッシュを入れながら行う。次に起立して各自のペースで行う。次に,ペアで読み終わった方が消しゴムを取る(和田玲さんのセミナーで習った)。 Dictoglossは,音声を聞いてメモを取り,メモを元に再現(Text Reconstruction)を行う。自分の表現でよい。
- Discussion & Writing:自己表現(ライティング)
- Summary Presentation:再現(スピーキング)
- Research Presentation:自己表現(スピーキング) (Presentation Tips) ・ 今後の課題:「Discussion & Writingにおけるライティングの正確さ」「Presentationにおける質疑応答の活発化」
番外編
- Great Peace Makers:
亀井友子さんの実践報告(2011.12月例会)でGreat Peace Makers (LTS Press)を知り,早速授業に取り入れた。倉本さんによると「一目惚れしてしまった」「発問にしびれる! 自分だとFact findingになってしまうがコアな質問がある」。 - 参考文献:
亀井友子「国際コース高3リーディング 洋書と自主プリントを使って」『新英語教育』2012年3月号 - 授業の流れ:
Summary Presentation ビデオ&スライド
★Presentation のPeer Evaluation SheetPresenter ( ) Evaluator ( )
Topic ( ) Thesis ( )Delivery Clarity (e.g. volume, articulation)
Speed
FluencyNeed improvement~OK~Excellent
0~1~2
0~1~2
0~1~2Performance Boldness
Interaction (e.g. eye contact)0~1~2
0~1~2Contents Understandability
Informative
Enjoyable0~1~2
0~1~2
0~1~2Visual Aids Understandability
Impact0~1~2
0~1~2 / 20Comment - Discussion & Writing ビデオ&スライド Diagram
- Retelling & Rewriting:高1の上級クラス。 2人の発表者が「本文内容について」「扱われている人物について」を分担し,power pointでプレゼンする。グループで議論,その後でクラスで議論。授業の最後に発表者が「どこが印象的だったかを言う」「大事なスライドを列挙する」。最後に宿題を出す。
今回は米国の平和教育家のMcCarthyについて。We destroy peace. So we have to fix it.(私たちは平和を破壊している。だから直さなくてはいけない)と答えた生徒が印象的だった。Peaceはteachableかunteachableかという議論。easy or difficult?で挙手。倉本さんはIt's difficult to teach peace in Japan.と述べて,マカーシーの教育論は「自分自身で考えること」なので,そのことを伝えた。宿題はMcCarthy believes that peacemaking is a skill that can be taught. Do you agree?
質疑応答+意見交換
- 山西さん:高1の上級クラスを見て,これぞ慶応の授業だと思った。生徒たちのbackgroundは?
- 倉本さん:帰国生でない場合でも「英語を使って何かしたい」という子が多い。ビデオでWe should fix peace,[平和を壊してしまったのだから]平和を直すべきだ)と答えてくれた生徒は,帰国生でないが,スペインの女優さんが好きで「スペイン人と結婚するため」スペイン語を勉強したりしている。
- 倉本さん:初級・上級クラスのどちらもかわいい。初級ではHello!と言いながら教室に入るようにしている。
- 亀井さん:fact-findingを越えた発問,ナルホド,そこが良い。「平和は教えられるか?」という発問以外にありますか?
- 倉本さん:マザーテレサでは,生徒で異なる答えがあり,ツボを得た発問だった。
- Q:教科書は1回でどこまで?
- A:Attention Pointer④まで。1時間目は文法→教科書のComprehension+Summary Presentation。2時間目はTF→Research Presentation,3時間目はQA→dictologos。
- 窪田さん:僕もdiscussionの授業を目標にしています。今日の授業は何点ぐらい?
- 倉本さん:中級クラスは平均点。上級クラスのdiscussionはうまくいった方。
- 窪田さん: discussionの理想型は?
- 倉本さん:盛り上がらなくて良い。プレゼンもうまくいかなくて良い。他の人に伝えるのは難しいと体験して欲しい。「授業でしか展開できない学び」をしたい。上手な人のパフォーマンスをみる。「できるだけ教えない」「環境を与える」ことができるといい。
- 窪田さん:「平和を教えるのはdifficult」でまとまってしまったので,easyを出すと良かった。
- 作間さん:peaceという抽象的な話を展開させるのは難しいと思うが,英語力に驚いた。先生が引き出していて良かった。先生はどうやって,そういう力をつけたのか?
- 倉本さん:生徒に助けてもらっている。1人がbreakthroughになるアイディアを出すと,グループでひろがる。それをクラスでシェアする。ハッキリしていなかったら「こういうこと?」と問い直して,本人にもう一度言わせるようにしている。
- 作間さん:可視化して,キーワードを板書するようにしている。生徒も喜ぶ。
- 作間さん:ペアは?
- 倉本さん:隣同士。遠くでも良い。プリントを返却しやすいようにアイウエオ順。プレゼンのペアは学期の始めに自分たちで決めさせた。週2時間なので5分ずつプレゼン。
参加者の感想
- Dictoglossから始まるアウトプット指導に強い必然性を感じました。教科書をただ読むのではなく,それを活かしてどう指導していくか,今後も研究していきたいと思いました。
- Intermediate(高3)もAdvanced(高1)も面白かったです。特にPeace Makersは私も使った教材なので,また違った切り口で応用できると思いました。
- 授業の中でサマリーを発表させたり,仲間と意見をシェアさせるところも良かったです。受験がないので本当に考えさせて英語を使ってプレゼンで発表させたり,将来の仕事に役立つ授業度と思いました。上級コースの生徒は英語ができるだけでなくて世の中についてよく知っている感じがしました。
- いろんなしかけで何度も読ませるという点。音読をするときは必ず立たせる。プレゼンなども積極的にさせている点。ありがとうございました。
- 上級編でまさに「慶應義塾付属高」のレベルを垣間見られたと思いました。事前には「STEP Pre1・2取得は当たり前の生徒が多い」と伺っていながらも「標準」クラスとの差はどのくらいあるのかというのも感じました。まさに英語によるDiscussionからDebateに持っていければより内容の濃い展開ができるかと思います。受験英語に縛られることのないまさに実用的な英語運用になるので,後はSpeechに関するEye ContactやIntonation, Stressなどの指導にもっていければ「高校生Debate甲子園」でも上位に行けるかと拝察します。元来素材的にはよいものを持っている生徒さんでしょうから上級クラスではもっともっと鍛えてあげて真に「慶應義塾」の「塾生代表」=「社中」として「慶應」の英語力も引き上げて行ってほしいと思います。類似実践:「川崎協同病院安楽死事件」(2000)を踏まえて,「安楽死に賛成か,反対か,また何故か」について,英語のdiscussionを行いました。(高3:参観日として父母にも公開しました)。
- 理路整然と実践を紹介していただきありがとうございました。苦手とは全く感じられないご指導だし,素晴らしい倉本先生の英語力に感激しました。私もよくペアワークをしますが,やりっぱなしのペアワークなのでよく,find someone who…で身体一つで移動してペアを変えています。私自身が目先の教材研究に忙殺されてばかりいないで磨かなくては!!!と思いました!!
- フロアからの意見もありましたが,英語学力の高い高校の生徒にいろいろなしかけを考え,受験を乗り越えた生きる力としての英語力を養成されているなと思いました。私も教育実習でいわゆる進学校へ行くことがありますが,年々受験シフトに傾いているように思います。そういう先生方に今日の倉本先生の発表を聞いてほしいと思いました。
- 生徒の意見を上手に引き出し,まとめていらして,とても感心しました。 先生の発音や発話がとてもクリアでききやすく,生徒のよいモデルになっていると思います。DiscussionのQの選び方も,よく考えさせる本質的な問いかけを選ばれていると思いました。
- 二つの授業それぞれ生徒に合わせて工夫されていてすばらしいと感じました。倉本先生の英語力もすばらしく生徒にまったくなめられてなんかないですね。非常に刺激になりました。また,カレー屋で詳しく話したいと思います。
- 刺激を受けたし,すごく参考になりました。「環境は与えて,なるべく教えない」「授業でしかできないことを学習させたい」のことばが印象的でした。中学で,readingのまとめの部分で是非真似してみたいと思います。
●日時: |
2012年6月16日(土) 午後3:30~7:00 2:00 ~ 3:00 会員総会 3:20 ~ 受付開始 3:30 ~ 5:00 中学実践報告 [担当:日比] 5:00 ~ 5:15 休憩 5:15 ~ 6:45 高校実践報告 [担当:萩原] 6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡 |
●会場: |
大倉山記念館 第1集会室 (Tel. 045-544-1881) (東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る) より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
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●会場費: | 500円(支部会員200円 学生200円) [当日会員登録(年会費2,000円)で割引適用] |
●中学実践報告: |
「世界は君を待っている ~映像と長文で巡る世界の現場~」 泉康夫さん(川崎市立白鳥中学校)
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●高校実践報告: |
「私の苦手なoutput型の授業をやってみた」 倉本和晃さん(慶應義塾高校)
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●お問い合わせ: | 萩原一郎 |
2012年度 支部会費納入のお願い
皆様には日頃より神奈川新英語教育研究会の活動にご理解、ご協力をいただき心より感謝申し上げます。神奈川新英語教育研究会は、皆様に支えられて40年の歴史を刻んできました。おかげさまで今年度の活動も順調で、5月の一日研修会は34名もの方々に参加していただき、実り多い研究会活動を行っております。6月以降もより充実した例会活動を企画しておりますので、是非お時間を見つけて大倉山記念館に足を運んでいただけると嬉しく思います。
さて、現在、郵送または電子メールの添付ファイルで毎月約200名の方に会報を送付しており、安定した支部活動を可能にするためには、できるだけ多くの方の支部会費納入が必要となります。まだ今年度の支部会費をお納めになっていない方は、以下の方法でお支払いいただくよう、よろしくお願い致します。(封筒に貼ってある宛名のシールに「納入済」と印刷された方は支部会費をいただいている方です)
- ◇例会で、会計担当者に2,000円をお支払いいただく。
- ◇80円切手25枚を送っていただく。
(送付先についてはお手数ですが、萩原一郎 へお尋ねください。)
会費を納入された方には、1年に10回、支部例会の詳細な報告を載せた支部会報を 送付するほか、5月の一日研修会の参加費が1,000円(未会員は2,000 円)、毎月の例会の参加費が200円(未会員は500円)となります。
(2012年6月7日掲載/11月10日更新)