■ 神奈川新英研4月例会
2012年4月
2012年4月21日 大倉山記念館にて 参加者 20名
●中学実践報告:「少人数習熟度別基礎クラスと向き合う」
鶴指(つるさし)勝雄さん(千代田区立麹町中学校)
神奈川支部例会や「こまどりの会」に参加,そして勤務校での研修会を企画(「ガガ先生の英語道場」のお知らせをご覧下さい)されるなど,精力的に研修されている鶴指さん。素晴らしいですね。ぜひ,みなさんも8月25日(土)の会にご参加を。
鶴指先生
- レポーターから:
東京都では少人数習熟度クラスを「2クラス3展開」(40人×2クラス÷3=25人)を推奨しています。そこで千代田区では区費を使って「2クラス4展開」で実施しています。学年平均が20点低い「基礎クラス」は荒れがちです。その生徒たちが学ぶ喜びを味わえるような仕掛けをビデオを見ながら皆さんと共有したいと思います。 - 学校の様子:
44億円かけて地下1階地上6階の新校舎(永田町駅すぐ)。鶴指さんは2年目(多忙なため,週に2回は終電…)。生徒は生活レベル高い。ピクチャーカードで外車を見せたら「ウチと同じ」。30人中20人が海外旅行経験。帰国生多い。英語嫌い多い。アスペルガーの生徒が急な予定変更でパニックになることも考えて,授業進行のメニューを見せるようにしている。
授業の流れ
- ビデオ:
平成24年1月26日の研究授業1年B組 基礎クラス16名 - 授業の流れ:
- 挨拶 ( Greeting )
- criss-cross:全員起立。How's the weather?などの質問に答えた生徒のいる列を縦横で座らせる。
- Bingo ( 音読付き ):長(おさ)先生のビンゴ。発音しながら丸つけ。
- たてよこドリル(正進社):百ます計算のようなもの。単調なので,後半は「語順ドリル」に変更。
- 教具:
◇ パワーポイント:文法などを提示。プリント併用。
◇ DVD(教科書本文):New Horizon 1(2500円)
◇ デジタル教科書:3学年で20万円もするが昨年度は買ってもらえた。
◇ iPod - おすすめ教材:
教科書出版社ホームページを利用すると良い( 文法、語彙、アクティビティ… )。教科書の生徒用DVDは2500円で良くできている。 - 鶴指さんが授業前の10分休みにしていること:
歌(ABCソング ) や映画の予告編(ティム・バートンのAlice in the Wonderland など) を流す。コカコーラのCM(History Examに間に合った話) ,スニッカーズのCM (エリカ様がWhat are you doing?と言う) なども流した。そのおかげでチャイム着席が実現! 他には授業の初めにTop of the World を取り上げたら,評判が良かった。 - プリント構成:
疑問詞 When? Where? What? Who? Why? How?
いつ どこ 何 誰 なぜ どう
- Review pair Reading 教科書p. 86 Part 3 「光の祭典」 Partner ( )
一文交代読み20秒 一文交代読み20秒 通訳読み40秒 一人通訳読み 回 行 回 行 回 行 回 行 A B C A B C A B C A B C - Today's Point 疑問詞をフラッシュカードで言えたら1人ずつ着席。口頭練習してからワークシートを配布。下線部を問う疑問文。
- Let's Practice 下線部が答えの中心となる質問の文(7問)を完成しなさい。( )には疑問詞When / Where / What / Who? / How が入ります。
例)You can ski in winter. 冬に → いつ When can you ski?
書画カメラを使用し,ヒントを与え,解答を書く。 - Let's Play Again 5W1H カルタ=指一本で取り札を押さえよう。
(学年で百人一首を行った後だったので,上の句下の句に見立てて指で押さえることにした)20文When do you study?
いつ勉強しますかBefore dinner. 夕食前に When can you see the moon?
いつ見えますかAt night. 夜に
- Review pair Reading 教科書p. 86 Part 3 「光の祭典」 Partner ( )
お薦めの本
- 染矢正一『教室英語表現事典―英語の授業を英語で行うために』大修館書店 (1993) ¥ 4,725
- Bryan Gardner, Felicity Gardner, Classroom English, (Oxford Basics) 2000 ¥ 1,149
- 高島英幸『英文法導入のための「フォーカス・オン・フォーム」アプローチ』大修館書店 (2011) ¥ 2,310
- 山田 雄一郎『CD‐ROMブック モジュール式 英語の基礎』金星堂 (2010) ¥ 1,523
- 高橋一幸『成長する英語教師―プロの教師の「初伝」から「奥伝」まで』大修館書店 (2011) ¥ 2,100
- 佐藤 誠司 ,小池 直己『中学英語が7日間でマスターできる本』PHP研究所 (2011)¥ 680
質疑応答+意見交換
- Q:生徒が分かったという度合いは?
A:生徒は落ち着かない。あいさつからビンゴまではいいが,あとはガチャガチャ活動しない方がよいと考えている。クラスによってはwritingさせたい。 - Q:英語での指示の区分は?
A: なるべく高校で戸惑わないように,make pairsの指示や,picture describing をしている。教員が見本を見せて,生徒が書くパタン。 - 鶴指さん:カードを取るのをワンフィンガーにした(以前,ハエ叩きにしたら壊された)。歩き回ると荒れるので,それはさせていない。What Am I?を生徒に作らせて,すぐにビデオで撮って見せたら,喜ばれた。
- Q:どの授業でも,生徒たちはあのような笑顔ですか? 先生の方に笑顔で寄ってくる感じですね。
A:上のクラスはそうでもない。習熟度クラスは生徒が自分で選べる。 - Q:習熟度クラスは進度を合わせる?
A:合わせている。上位クラスでは課題を入れる。 - 棚谷さん:「習熟度で少人数」は大変だと思う。活発だけど生徒1人1人がバラバラになっている。クラス単位で出来る「教え合い」がない。
鶴指さん:教え合いがないのでつらい。ALTの授業はクラス単位だった(今年度は変わる)。 - 鶴指さん:小中連携は,港区では小学校がイマージョン。理科や社会を英語でやっているが,中3でも理解できないかんじ。小学生が英語嫌いになる懸念がある。
お知らせ
- 鶴指さんの勤務校の小林恵美子先生(ガガ先生)を囲んでの勉強会です。ガガ先生は『新英語教育』を愛読されていて,新英研にも詳しい方です。今年から新校舎になった麹町中学校に見学も兼ねて,いらっしゃいませんか?
ご予約(katsuo.xx★y7.dion.ne.jp)(★を@に換えてください)をお願いします。
★「ガガ先生の英語道場」第2回
- 日時:2012年8月25日(土)14時~17時
- 会場:千代田区立麹町中学校 3階 少人数教室(31番教室)
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-5-1 TEL:03-3263-4321 - 永田町駅(半蔵門線、南北線、有楽町線)9番出口から徒歩1分
- 赤坂見附駅(銀座線、丸ノ内線)D(赤坂見附交差点)出口から徒歩8分
- 費用:200円(レジメ代 他)
- 当日の宿題:それぞれが持ち寄ります。テーマは「中1:三単現のS」、「中2:助動詞」、「中3:分詞」です。
- ルターから:
ガガ先生こと小林恵美子先生の40年にわたる教員生活で実践されてきた内容の一部をWORKSHOP形式で紹介していただきます。どの校種(小中高大)の先生方にも参考になるヒントが満載! ぜひ誘い合わせの上,ご参加下さい。
(あだ名の由来:年長の小林先生とティームティーチングで組んでいた40代の鶴指先生が,Lady Gagaの曲を授業で生徒に紹介されていた小林先生の「進取の気性」に驚き,ガガ先生と命名。) - 申込方法:
メンバーを管理職に報告する必要があるため、8月18日(土)までに、メールか電話かFAXでお願いします。締め切りすぎた場合は、当日に鶴指の携帯に直接連絡してください。担当:鶴指 勝雄(つるさし かつお)
電話&FAX(千代田区立麹町中学校 鶴指まで) 03-3789-8239 - Mail: (webでは非表示)
- 緊急連絡のみ (webでは非表示)(鶴指) e-mail: (webでは非表示)
参加者の感想
- とてもお忙しい中,授業を楽しみながら手作りされている様子がとても印象的でした。是非とも次回は大学生を(例会に)連れてきたいと思いました。
- 鶴指先生のお言葉の中に「元気で楽しく」とありましたが,その通りの授業模様で生徒たちの元気な動きが見て取れてとても良かったと思いました。
- 視聴覚機器をうまく活用されていると思った。授業に取り入れたいです。少人数ならより効果的なペア・グループ学習もあるはずなので,取り入れられたらいいと思います。
- 生徒に興味を持たせるための工夫が参考になりました。特にできない生徒さんへの問題の答えをすべて言わせてから書かせる作業に映したところが参考になりました。
- すべて参考になりました。もっと他にも多様なテクニックを学びたいと思います。
- 40インチモニターを見ながら問題をやり,それと全く同じ問題をプリントでやるという方法は面白い。
- 中学生の活動の良さに驚きました。高校生になるとなかなか難しいときもありますが,1年生から指導して定着させていきたいです。
- プリントが分かりやすく無駄がない(オーソドックスに作ってあり,かえって効果的)。好奇心のくすぐり方(授業前のビデオ放映)が参考になりました(つかみが大事!)。コミュニカティヴにパタンプラクティスをしているのに文法事項がスムーズに入る授業になっているので,その真意とカラクリを別の機会に是非教えてください。
マルティメディア機器を導入してビジュアル化する際に,かえって中身のない薄っぺらな授業になってしまう懸念があるので,教材研究の量と質を高める必要がある。[お話にありましたが]帰国生への指導は大変。教員が英語で発話しないと中学校では授業の活性化が図れない。 - 本文理解の時にスラッシュリーディングを用いた方が良いと思いました。ゲーム性と知的な言語活動のバランスを保ちながら楽しく英語に触れることについて考えさせられました。デジタル教科書の導入については生徒の理解度をよく見て使用するかどうか考えていきたいと思いました。
●日時: |
2012年4月21日(土) 午後3:30~7:00 3:20 ~ 受付開始 3:30 ~ 5:00 高校実践報告 [担当:関口] 5:00 ~ 5:15 休憩 5:15 ~ 6:45 中学実践報告 [担当:日比] 6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡 |
●会場: |
大倉山記念館 第1集会室 (Tel. 045-544-1881) (東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る) より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
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●会場費: | 500円(支部会員200円 学生200円) [当日会員登録(年会費2,000円)で割引適用] |
●高校実践報告: |
「1年目の反省:定期テストが目標の授業を変えるには ~授業展開と方法を考える~」 西 智子さん(県立元石川高校)
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●中学実践報告: |
「少人数習熟度別基礎クラスと向き合う」 鶴指(つるさし)勝雄さん(千代田区立麹町中学校)
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●お問い合わせ: | 萩原一郎 |
(2012年4月24日掲載/8月29日更新)