■ 神奈川新英研5月春の1日研修会

2011年5月
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■本日の研修会や毎月の例会について、意見・要望

  • いつも楽しみにしてます。毎回励まされて感謝します。
  • 新文法の導入ごとにoriginal chants を作るようにしています。(いつまでできるかわかりませんが、子供たちには好評です。)
  • 理論学習、学び続けることが教師自身にも必要と最近ひしひしと感じます。
  • ペア活動、グループでの取り組み-今までやったことが無いので今年はこのテーマでいきたいと思います。
  • 訳読に走りすぎない授業展開だと時間がかかることです。

●中学実践報告:
「4技能を関連づけた言語活動の取り組み」

日比和子さん(大和市立光丘中学校)
 班対抗クイズは例会参加者も全員、真剣に楽しくやっていました。それは「ホワイトボードとマーカー」「3つめのヒントで当てると点数が多い」などの楽しい仕掛けがあったからだと思います。たくさんの研修・研究会に足を運ばれている日比先生の「遊び心」が生かされている、個人・ペア・グループ活動を皆さんもぜひ参考になさってください。

(1)日比先生

  • レポーターから:1時間の授業の中で4技能をどう絡めて次に繋げていくか、1つの単元を見通してどこでどのように4技能を発展させていくか、いくつか取り組みを紹介したいと思います。
  • 4技能の総合的な活用のために:「基本的に英語を使う」「語彙・文法の導入でLSRWの順を基本的に守る」「教科書本文の内容を扱うときに4技能を意識する」「authenticな活動との連携を考える」「プロジェクトワークを取り入れる」「4技能の総合的な活用そのものを評価活動として取り入れる」
  • 日比さんの「こだわり」:「4技能をバラバラにしないで自然につなげる」「ペアワーク・グループ活動を有効的に取り入れる」「遊び心を忘れない」「フィードバックして意欲を持たせる」「プラスアルファの要素も取り入れる(文化の違い、言葉のおもしろさなど)」

(2)1時間の授業で

  • 新しいALTの自己紹介(3年):ALTのアンディ先生に「Ireland」「4」「178」「Kyoto」など10のキーワード(数字)を板書してもらい、それが答えになる英文を班で考える。例えば「178」ならHow tall are you? Are you 178 centimeters tall? のように英文を作るが、Wh-questionは2点、Yes/No questionは1点とする。班の代表が順番に質問していく。ちなみに、How tall 〜?は教科書に出てこないので中3で多くの生徒が初めて知ったとのこと(ゆゆしき問題ですね…)。
    ★詳しくは、日比和子「授業をおいしくするスマイルレシピ33 新しいALTとの最初の授業のひと工夫」『新英語教育』(2011年6月号)を参照。
  • Review Marathon(2・3年):ALTのアンディ先生に20の質問をペアで考え、日比先生に英文をチェックしてもらう。1) Are you 〜? 2) Can you 〜? 3) What 〜?のように、ワークシートに文の始まりが指定してある。「Are you from Ireland? は、答えをすでに知っているからダメ」「Do you have a girlfriend?は失礼な質問だからダメ」のように指示。後日、「振り返り(feedback)」としてみんなが考えた英文の抜粋を配布。「意欲のある人は自分で考えた文をBノートに文を書いてみましょう。」と伝えたところ、15人が持ってきた。
  • 班対抗クイズ(1~3年):谷口先生(相模原市由野台中)が中1の生徒にしていた活動を日比先生が中2~3年用にアレンジ。例会当日は中2の比較級を用いた活動で盛り上がりました。
    1)クイズの答えやヒント作成の手がかりになる情報が入った封筒を受け取る。班でヒントとして4つの英文を作成。2と3に「比較級」を使った英文を入れる。
    答え:M中学
    情報:M中学は創立30年、H中学は創立35年、S中学は創立27年。
    英文1. It is a junior high school in Yamato, Kanagawa.(ジャンルが分かる説明)
    英文2. It is older than S Junior High School.(比較級を用いて)
    英文3. It is older than H Junior High School. (比較級を用いて)
    英文4. It is near Y High School.(かなり具体的なヒント)

    2)班対抗で答える。4つのヒントのうち3つめで「チャレンジ」して答えを小さなホワイトボード(100円Shopで購入)に書いて伏せて、正解なら2点。4つめの場合は1点とする。
    ★詳しくは、日比和子「授業をおいしくするスマイルレシピ25 関係代名詞で"Who Am I?"クイズを楽しもう!」『新英語教育』(2010年10月号)を参照。
  • Do It Talkのアレンジ版(1~3年): 例1)インド人のラトナが風呂敷を買う場面。
    1. Dictation(カッコ穴埋め) 10点満点、
    2. 質問(日本語で答える)「どんな場面での会話ですか」「この男の人はどこの国で何をやっている人ですか」「ラトナは以前に風呂敷を見たことがありましたか」「教科書の絵はこの会話のどの場面を表していますか。番号で答えなさい(英文に数字を振っておく。日比さんお気に入りの質問だそうです。良い観点ですね!)、「風呂敷の名前の由来は何ですか?」
    3. Practice (教科書の練習問題を採録)
    4. Practiceの1文を選んで日本語に訳しなさい。 
    5. ラトナと男性の会話の続きを英文で書きなさい。(クラスで行うと盛り上がるそうです!)

    例2)健がラトナに窓を開けてもらう場面。
    1. New words 7点満点(日本語和訳を選ぶ形式)
    2. ピクチャーカードをヒントに、会話が成り立つようにカッコの中から語を選んで丸で囲みなさい。
    3. Practice (教科書の練習問題を採録)
    4. Matching Game:Will you love me always? 、Sorry I can't. I love Tony and Mike, too.のような英文カードを持たせる。「意味のうまく通じるペアが見つかったらMs Hibiのところに行き、対話を読んで意味を披露しよう! OKが出たら、下にカードを貼り、ペアの英文を写し、両方とも日本語に訳しなさい。」と指示。

(3)1単元を見通して

  • Let's Read "Alice and Humpty"を音読と映像で(1年):
    ★詳しくは、日比和子「中学教科書の創造的な扱い方New Crown 1年 音読と映像でルイス・キャロルの世界を味わう」『新英語教育』(2009年3月号)を参照。
  • スピーチコンテスト "My Dream" (2年):2種類のシートがあるのが特徴。
    1) なりたい職業がはっきりしている生徒のためのワークシート
    Hello, every one. Today I am going to tell you about my dream for the future. I want to be 〜. Why? First, 〜. Second, 〜. So, I want to be 〜. Then I can 〜. Thank you.
    わたしがなりたい職業は( )。理由1( )。理由2( )。
    2) 将来の職業が漠然としている生徒のための「~関連の仕事に就きたいと思う」というワークシート
    Hello, every one. Today I am going to tell you about my dream for the future. Actually I don't have any ideas now, but I want to have as job related to 〜. Why? First, 〜. Second, 〜. So, I want to have a job related to 〜 some day. Then I can 〜. Thank you.
    わたしが就きたい仕事は( )関連。理由1( )。理由2( )。
    ALTのFardin先生が1つ質問する。Who is your favorite soccer player?など。
    「振り返り(feedback)」は教科通信を配布。「みんなが選んだベスト5(発表者の氏名を3クラスで発表)」「評価基準(Memory 暗記、Delivery 発音の滑らかさ、Attitude態度、Question質問に答えられたかどうか)」「ALTからの評価」「あなたの総合得点」を記入。

(4)質疑応答+意見交換

  • Q:スピーチ原稿は直しますか?
  • A:直す。
  • Q:Who Am I?の活動で作文がどんどん書ける生徒としない人がいると思うがサポートはどのようにしていますか?
  • A:特にしていないが、読めない子には英語にカナを振る場合もある。ワークシートに感想を書いてもらう。
  • Q:ペアはどうしているか?
  • A:意図的に固定しない。今、週4時間(1時間はBasic English)。ペアで活動は4パタン「縦」「横」「ずれて縦」「ずれて横」。うまくいかないペアはひそかに呼んで指導したり、モニタリングしたりする。
  • Q:普通の授業は?
  • A:2パートを3~4時間ペースでやって、タイミングを見て活動を入れている。
  • Q:ゲームで工夫しているところは?
  • A:「~は~より長い」などの文は、語順で混乱していたので見回ったりした。班対抗クイズは谷口先生の活動をアレンジしたが「1、4の文を与えた」「絵は載せなかった(見えてしまうので)」「封筒に入れて指示書を渡す」ようにした。
  • Q:年間でどのくらい活動を入れるか?
  • A:学年を2人で組むと「中2ならスピーチコンテスト」のように年間計画にポッと入れている。ALTが2ヶ月くらいいる。

(5)参加者の感想

  • 途中参加になってしまい、全体像をお聞きすることはできませんでしたが、様々な工夫をされていて素晴らしいと思いました。レポートの中にも明日の授業で使えるアイディアにあふれていてさっそく使ってみたいと思います。有難うございました。
  • ALTの授業等、高校でも使えそうなアイディアだと思いました。生徒の反応など、VTRで見てみたいなと思いました。(きっと活気のある授業風景なのでしょうね)ET通信No18 Dictation とQ&Aの目的(ねらい)についてもう少しお聞きしたかったです。
  • グループによるポイントを競うクイズづくりが楽しく盛り上がる様子がよくわかりました。前後・左右、1列ずれて再編成してだれとでもペアを作ることがコミュニケーションの基礎だから作為的ペアは作らない・・・本当にそうです。
  • 「遊び」を強調されていたが、常に生徒が主体的に興味を持って行える活動を考えておられることに感心しました。語学向上は自らの努力に負うところが一番ですが、それを引き出す興味づけの大切さを改めて感じました。
  • ワークショップをしていただいたクイズがとても参考になりました。模擬授業で実践することはできないですが、教師になったときに自分の授業で実践したいと思いました。
  • 紹介していただいた活動のどれもが4技能を有効に関連づけたもので工夫が感じられました。また、生徒に楽しく参加させながらアウトプットのトレーニングをさせることが大切だと思いました。リーディングにおいて内容理解や自分の考えをまとめてライティングさせることにも重点が置かれていることも、見習いたい点です。
  • 自分の授業でしっかり活動させてあげたいと思いました。
  • 本日は声をかけて頂き有難うございました。楽しく私も実践してみたいと思います。
  • 高等学校でもやってみたいと思います。うまく活動を取り入れていきたいです。
  • 新たな試みを見せて頂き、アイデアと工夫がすばらしいと思います。グループワーク、ペアワーク、生徒を動かす仕掛けが秀逸です。思わず熱中する活動で生徒の気持ちがわかるワークでした。引き出しが豊富で尊敬します。また新たなアプローチに期待します。
  • 遊び心がよかったです。何をさせたいかというポイントがわかりやすく(つまり生徒にも伝わるだろうなという)どこを頑張ればよいかが伝わる取り組みでした。「遊び心を」というのがとても印象的でした。定着するための工夫を私なりにアレンジさせて頂きたいと思いました。とても楽しくworkshopをすることができ、有難うございました。先生の実践を伺い是非私も授業で積極的に取り組みたいと思いました。毎時間4技能を意識して実践できるように心がけていますが、なかなかwritingの力を育成するところまでできていないのが現状です。是非先生から教わったことをいかしていきたいです。
  • さまざまな実践を自分流に応用されて授業にどんどん活かされているのが素敵だなあと思いました。

●高校実践報告:
「『英語で行う授業』を考える」

八宮(はちみや)孝夫さん(筑波大学附属駒場高等学校)
 語学が堪能な学者タイプの八宮先生が(本を手に持って)「エータ クニーガ」とロシア語で言われたときは、参加者一同、ちょっと緊張しましたが、すぐに生徒のように元気にリピートしていました。新しい言語を学ぶ喜びと怖れ…、この2つを学習者が持っていることを忘れないためにも他言語の学習は英語教員には必要だと感じます。楽しい講座、どうもありがとうございました。

(1)八宮先生

  • レポーターから:
    新指導要領で、「英語の授業は英語で」と明示されて、「文法説明まで英語で行うのか」という極端な発言まで出ている。「英語で授業をする」ことは単に英語が話せればできるというものではなく、何をどのように英語で提示するか事前に綿密に組み立てることが必要である。実例を示しながら、参加者の皆さんと考えていきたい。
  • 語研でパーマー、談話文法を研究。埼玉の公立校からスタート。新英研の柳沢さん、竹島さんと同僚だったこともあり、新英研全国大会に参加したことがある。埼玉のシェークスピアの読書会で「ジュリアス・シーザー」を読んでいる。

(2)ワークショップ

  • 「未知の言語を未知の言語で習う緊張感を味わってみよう!」という呼びかけの元、八宮先生が(本を手に持って)「エータ クニーガ」、(封筒を手に持って)「エータ ピシーモ」、(鉛筆を手に持って)「エータ カランダーシュ」と繰り返す。参加者も繰り返して言う。鉛筆を指して「シュトー エータ?」(What is this?)と訊かれて「エータ カランダーシュ」と答える、というやりとりをした。この言語は「ロシア語」で、1~2名が知っていたようだったがほとんどの参加者には分かっていなかった(Direct methodをされている英語学習者の不安感が分かったかも…)。このあと、「では何故未知の言語でも分かったのか?」という問いがあり「物と言葉を結びつけたので分かった」「文脈があったので分かった」という答えを受けて、「エータ カランダーシュだけだと分からないが、エータ クニーガというと分かる。Contrast(対比)、Context(文脈)があればかなりのことが分かる」という解説があった。
  • H. E. Palmer "English through Actions"(2006年新装版が開拓社で3,570円で出ている)のFour Phases of Assimilationという考えによると新しい発話を学ぶ際には、Perception(知覚)、Recognition(認識)、Imitation(模倣)、Reproduction(再生)の4段階がある。
  • GDM(Graded Direct Method:http://www.gdm-japan.net/)はハーバード大学言語研究所において1940-50年代にかけて,I.A.リチャーズとクリスティン・ギブソンによって開発された英語学習法。書籍としては、I.A. Richards, Christine Gibson "English Through Pictures(Book 1〜3まであり、英語版Pippin Pub Ltd (2005)は各1,110円、『絵で見る英語』IBC パブリッシング各1,280円)がある。
    例)実際には絵がついている
    1. My hands are dirty. My hands are clean.(きれいな手と汚れた手)
    2. This cloth is dirty. This cloth is clean. (汚れた布ときれいな布)
    3. This plate is clean. This plate is dirty. (きれいな皿と汚れた皿)
    4. His face is dirty. His face is clean. (汚れた顔ときれいな顔)
    5. This plate is dirty but the cloth is clean. (汚れた皿ときれいな布)
    6. Now the cloth is dirty but the plate is clean. (汚れた布ときれいな皿)
    7. This is a basin. This is warm water in it. (お湯の入った洗面台)
    8. This is soap. (せっけん)
    9. What is she doing? She is washing her hands with soap and warm water.
    10. Her hands are wet now but they are clean. They were dirty.
      =Contrast(対比)、Context(文脈)があるのでわかりやすい。

(3)ビデオ

  • Jannette Rankin 英語II(高2)必修週4時間(教科書中心3+Team Teaching1)Unicorn English Course II(文英堂)Lesson 6 Lone Vote ─ the Life of Jannette Rankin(ただ一人の投票―――ジャネット:ランキンの生涯)の8時間分の2時間目。 本時では
    1. 2001年米国同時多発テロ時間についての背景知識を入れる(高2の生徒にとっては子どもの頃の事件)
    2. 米国議会について確認 
    3. 以上の2点をふまえ、Barbara Leeの取った行動の勇敢さを実感させる。
    4. Barbara LeeとJannette Rankinの類似性に気づかせる。
  • Barbara Leeのスピーチの冒頭:Mr. Speaker, members, I rise today really with a very heavy heart, one that is filled with sorrow for the families and the loved ones who were killed and injured this week. Only the most foolish and the most callous would not understand the grief that has really gripped our people and millions across the world. This unspeakable act on the United States has really forced me, however, to rely on my moral compass, my conscience and my God for direction.
  • 本文Part 1の和訳:「ミスター・スピーカー、今私は重たい心で立ち上がります…9月11日は世界を変えてしまいました。今、最も深い恐怖が私たちを苦しめます。それでも私は軍事活動がアメリカに対するさらなる国際的なテロリズムを防ぐとは確信していません。」
     これはカルフォルニア州の国会議員バーバラ・リーによってなされたスピーチの一部である。1つの勇気ある行動により、彼女は下院において420対1、上院において98対0で可決された決議に対する1票の反対票を投じたのであった。その決議は2001年9月11日の攻撃に関連した人の誰に対しても「全ての必要な軍事力」を行使する権限をアメリカ大統領に与えた。投票の後、国会議員のリーは多くの腹を立てた人々によって脅迫された。自らの安全のため、しばらくの間彼女はボディガードをつけねばならなかった。
     一部のメディアでは、この世界貿易センターとペンタゴンへの攻撃を1941年12月7日の日本の真珠湾攻撃に喩えた。そして人々はもう1人の女性の名前、ジャネット・ランキンを思いだした。

(4)授業展開

  • Review:1時間目に行った「選挙関連のリスニング」の語彙復習。ジャネット・ランキンについて軽く触れる。
  • Oral Introduction:オーラル・イントロダクション(口頭導入)ではインターアクションも心がける。
    Last time we learned something about the political systems of Japan and the United States. In Japan, the law-making body is called "the Diet".(国会議事堂の写真を見せる) It is made up of the House of Representatives and the House of Councilors. ...
    How about the US? Would you explain, P? The law-making body is called "the Congress". Thank you.
    (定数を確認。参議院Councilors 262、衆議院Representatives480、米上院Senate100、下院Representatives435)
    We also learned about this woman. Her name is Jannette Rankin. She was the first woman who was elected to the Congress…以下省略。
  • Questions and Silent Reading for Information
    Q1: How many other members voted against it?
    Q2: What happened to Barbara Lee after the vote?
    Q3: Americans hardly ever had their own land attacked by other forces like this. They compared these terrorist attacks to another attack in the past. What was that?
  • Check the Answers by Interaction
    A1: The resolution was passed with 420 votes in favor, 1 vote against and 14 abstentions. [abstention: 棄権]
    A2: She was threatened by angry people.
    A3: Japan's attack on Pearl Harbor on December 7, 1041.
  • Explanation:Oral Introductionでカバーできない部分を日本語による補足をする。
    例)It was necessary that she have…のところは、「提案・必要・妥当」などを示す従属節中で「当然~だ」とう気持ちからshouldを伴う。米用法では、そのshouldが省略され、結果的に動詞の原形が続くことになり【仮定法現在】と称される」
  • Chorus Reading
  • Individual Reading
  • Confirmation and Announcement for Further Listening

(5)質疑応答+意見交換

  • Q:高2で聞けるようにするにはどうするか?
  • A:中1で数字を千までやった。How tall are you? How old are you?を3人でワークさせた。中1で「英語は速い」というのを体験させる(ラジオのAFN)。Buried on Saturday, Died on Sunday等残酷なのをやると生徒は大きな声で「今日は俺の列がdied on Saturdayだ!」と喜んでいる。また、ネットでとった音声を聞かせている。くまのプーさんは3~4種類あるのでいろいろ聞かせる。タカシマヤのピーターラビット展に行って、DVDを買ったり(男性は1人!)。
  • Q:本文の訳はやっているか?
  • A:難しいところはやる。訳をやると生徒は寝てしまう(日本語を話すと寝てしまう)。プリントで作業する(SVをつけるなど)と静かになるが、頭に入らない。中学は用意していかないと動物園状態になってしまうが、用意していくと違う。大きな写真(カラー)が反応がよい。
  • 萩原:八宮先生の教材研究の深さを見てほしい。板書のプランが綿密でないと、あのようにオーラルイントロダクションには出せない。
  • 八宮:前日の夜10時まで考えている! 学校には夜11時半まで居てOK。妻には分かりにくい喩えだと言われたが「鯛焼きの作り方で『美味いアンコを入れる』と書いてあっても、美味いアンコの作り方自体が書いていなければだめだ」という気持ちで「板書」のプランを考えている。教科書にあるQ&Aは苦し紛れに作られていることがあるので、自分で作ることが大切。
  • Q:八宮先生は他言語をたくさん学ばれていますが…?
  • A:ロシア語で1週間を言うのは難しい。そういうことを英語で生徒に強いている。生徒にイタリア語やドイツ語で1~20まで教えて、言わせることもある。Eightのghは読まないが、これはghの音が磨り減ったのだと教えると、ghを「ハッ」と言って、生徒は喜ぶ。教員は自戒のためにほかの言語を知らないといけない。NHKラジオで7時のドイツ語に始まり、5時15分の中国語まで聞いている。ロシア語は15年ぐらい聴いている。ハングルで「吉祥寺」が読めるようになった。今朝はアラビア語を朝、やってきた。生徒を煙に巻くのにもいい!

(6)参加者の感想

  • 28年間教員をなさっているベテランの先生が夜の11時過ぎまで板書計画を作っている!ということに大いに刺激を受けました。「準備をした時の生徒の反応の違い」私も痛い程感じているので、見習って努力せねば!と思いました。たくさんの写真とkey wordのrepeatをビデオと一緒に私もやってみて、視覚と音声で受け取れる情報量の多さを実感しました。有難うございました。
  • 16年振りに授業を拝見しました。その時の感動を思い出します。すばらしかったです。英語の使用、資料の豊富さ、小道具、板書、すべてが計算され、ただただ感嘆です。その裏には先生の日頃からのアンテナの鋭さ、入念な事前準備があると知って頭が下がりました。
  • 先生の奥行きが深い授業に脱帽。資料ノート、板書、言葉の解説、たくみにねられた授業プラン、素晴らしいと思いました。又、先生の言葉に対する姿勢も参考になるものがとても多かったと思います。導入のロシア語も示唆に富むことが多かったと思います。わからない時の生徒の気持ちも自分で体験してみてよくわかった気がします。
  • 英語を聴いて理解させるための訓練方法をもっと知りたいです。13/30→音のperceptionの段階から分の意味理解ができるようになるまでには、音のexposureだけでは力がつかないと思います。先生はどのような練習方法を取り入れられたのでしょうか?
  • 2009年の高2ビデオでOral Introductionを見て、生徒がよくついてきているのがさすがだと思いました。細かいことばの構成、写真、板書計画に時間をかけて作っている様子が伺えました。
  • 2年後に控える「英語の授業は英語で教える」指導要領の変更に向けてイメージがわきました。板書計画の大切さも再度、知ることができました。
  • Oral Introductionを行うにあたっての教材研究の深さには驚かされました。
  • 様々な言語を学び続けながら、学習者としての視点も持ち、かつ、念入りに指導法を研究する姿にとても感銘を受けました。教科書を題材にして、生徒に残る内容を手作りしていく醍醐味を教えていただけて有り難かったです。イラストレーターとしての先生の才能にも脱帽です。
  • 試行錯誤を重ねていかに生徒を引きつけていこうか妥協を許さないまでの、教材研究に感動しました。まさに英語教師の鑑!何となく自分なりにやり過ごしている自分を見直すいい機会となりました。少しでも八宮先生に肖りたいと思いました。次回は是非、中学校での取り組みをご紹介いただきたいと思います。
  • 7 out of 4 people のところで○のカードが10枚ある意味がわかってなるほどー!と思いました。Bushの愚考をあれこれ思い出してしまい、改めて原が煮えくりかえる思いになりました。
  • はじめにロシア語をお話になった時自分の経験をフル回転させて理解しようとする自分を再確認しました。生徒たちが授業内で理解しようとするプロセスを感じました。本物を早い段階からふれさせる興味のある時にふれさせるタイミングは長く学習するためにも必要だと学びました。有難うございました。
  • 中学校でもまとまった読み物に取り組むとき、その背景にあるものを導入してから読ませることがあります。(たとえば第二次世界大戦に関わるものなど)しかし先生のように練り上げられた板書計画によってのものは今までなかなかできませんでした。(思っている以上に、生徒は聞いているものですよね。)自分の失敗を恐れず「英語で授業」にもっとチャレンジしていきたいと思います。
  • 先生のお人柄がよかったです。生徒対応が目に浮かぶようでした。
  • とても活気がありビジュアルな手法で耳からも目からも訴えるもので参考になりました。また、質問のときの話がとても参考になりオリジナルのプリントが1番というのが印象に残りました。
  • 本日は有難うございました。授業準備の大切さを感じました。授業時間が足りない中、ポイントをおさえて行える工夫のヒントを頂きました。
  • 本日は有難うございました。教材研究を私ももっとやらなければという気持ちになれました。
  • 板書計画と準備、プリントを出すタイミングをしっかり考えようと思いました。

●講演:
「発信を目指したライティング指導」

大井恭子先生(千葉大学教授)
 大井先生がおっしゃるように「実際に手を動かして書く」「パラグラフ(段落)構成のスキーマを知る」のはこれからの生徒たちに必要なことだと思います。

(1)大井先生

  • レポーターから:まず、中学校新学習指導要領をライティング指導から見てみる。次に言語習得におけるライティングの役割を考える。そして、ステップを踏んだライティング指導として、case study を紹介する。さらに、4技能を統合した活動例として、中学校でのstory-retelling 活動を紹介する。Receptive な活動からproductive な活動へ、「英語が使える」という実感を生徒たちに味わわせる指導について考える。
  • 大井先生:ピアソン・桐原書店のライティングの教科書の編集委員。New Horizonに関わっている。著書に『「英語モード」でライティング―ネイティブ式発想で英語を書く』(講談社)がある。千葉大学付属中でも指導。今回紹介しているstory tellingの活動は付属中の生徒が小学生にお話をするというもの。
  • ワークショップ:例会の冒頭でLet's warm up with logical questions!ということでクイズがあった(会報担当の加筆あり)。
    Q1: One day, a man fell off from a 50-story high building, but he didn't get hurt. Why?
    A1: He was on the first floor.
    Q2: Johnny's mother has three sons. The first son's name is April. The second son is May. What is the third son's name?
    A2: Johnny.(April, Mayだからといって3番目はJuneではない…)
    Q3: What was the highest mountain in the world before Mt. Everest was discovered?
    A3:  Mt. Everest.(発見されてもされなくてもエベレストが一番高い)

(2)大井先生の考え

  • パラグラフ(段落)構成のスキーマを教えることが重要。
  • 筆記思考の大切さ、実際に手を動かして書くことの大切さを見直したい。ワークシートをちょこちょこ穴埋めするのは生徒や学生のためになるのか??? 大学生はハンドアウトを見て「う~む」とうなずく感じで働いていない! 昔はノートを採って整理していた。
  • writing活動にはservice activityとしてのwriting(昔の和文英訳のように文法や語彙習得のために行う)と本来のwriting(自分の意見や考えの表明)の2つがある。
  • グローバル化の社会ではさまざまな価値観を持つ人と交渉するので、説得力が必要。そのためには論理だった言い方、書き方が必要。その力を英語のライティングで身につけましょう。
  • 発信型の英語の授業で英語を自分のものとして表現する喜びを生徒に体感させてやってください。
  • 一日1ページはノートに英文を書かせましょう。One Day One Page.
  • 言語習得におけるライティングの果たす役割:
    a) Comprehension(インプット理解)では、学習者は分かったふりをすることが可能(Hawkings:1985)。リスニングやリーディングにおいては意味的・語用的にさまざまな情報が理解を助ける(Clark and Clark:1977)。
    b) Production(アウトプット産出)では、学習者はコミュニケーション達成のため中間言語を最大限に使用する。
    Swainによる3つのアウトプットの機能:
    1) アウトプットは気づき(noting)を促す:言いたいことと言えることの差に気付き、何を知らないか認識する。
    2) 仮説検証の機会を与える(hypothesis testing)
    3) メタ言語知識を与える:メタ言語を使用して言語を振り返る(conscious reflection)
    例)原爆が落とされた。A bomb was dropped. 
    学習者は、メタ言語で「英語ではdropを使うのか」「『落ちる』は自動詞fallで、『落とす』は他動詞dropという対応関係にあるのか」などが分かる。
  • 英語のパラグラフ構成: 1) structure of a paragraph: topic sentence, supporting sentences, concluding sentence
    2) cohesion(結束性)、coherence(論理的一貫性)
  • mini-argument用の英語のパラグラフ構成:
    topic sentence (general 一般的)で自分の意見を述べる
    +理由・説明(specific具体的)+具体例(details 詳細な)
    +理由・説明+具体例
    +理由・説明+具体例
  • Process writingの6つのステップ:
    例)クラスの担任のクガ先生について書く。
    1. Idea Generation(アイディアの創出・配列):clustering(風船のように思いついたことを絵に描いてつないでいく)、listing(リストを作る), heuristic questions(Mr. Kuga is a great teacher.という命題に対して、What do you mean by "great"?、Can you give three reasons why you think Mr. Kuga is a great teacher?などの質問を考えて答えていく)
    2. Write an outline(アウトラインを書く):
      topic sentence:Mr. Kuga is a great teacher.
      supporting sentences(abstract idea+concrete idea):
      a) Mr. Kuga is kind to us.
      He takes time for us. He listens to us.
      b) He is funny.
      Many jokes. Interesting stories.
      c) He is full of energy.
      His voice. His eyes.
      His big smile makes us happy,
    3. Achieve cohesion(結束性を持たせる) I went to the zoo yesterday. I saw many animals there.など2~3文で充分結束性のある文章が書ける。
      a) lexical chain(語句の言い換え、関連語の使用)
      b) pronouns, definite articles(代名詞、定冠詞)
      c) sentence combining
      d) transition words(つなぎ言葉):first, second, third, in addition, therefore など。
    4. Write(書く)
    5. Review(peer review, self-check):仲間で読み合う
    6. Revise(書き直す)+内省記述を書かせる

(3)授業内容(15回)14項目

  1. pretest「都会の生活と田舎の生活、どちらが好き?」
  2. 自分と友だちが書いたpretestを比べる
  3. 困った点を発表し合う+その原因を意識する
  4. 文章の構成法を学ぶ
  5. つなぎ言葉を学ぶ
  6. 復習:ばらばらな英文をつなぎあわせて流れのある文章を作る
  7. まとまった文章を書く「私の好きなもの」
  8. アイディアの出し方を学ぶ:「何を書いたらよいのか」の悩みに答える
  9. 日英語のしくみを学ぶ:「表現したいことが英語で書けない」悩みに答える
  10. 実際に書く:トピック、アイディア、アウトライン
  11. パラグラフを意識して書く+友だちに読んでもらってアドバイス
  12. 書き直す
  13. 発表
  14. posttest「都会の生活と田舎の生活、どちらが好き?」
生徒の内省:今までどうやって書けばいいかわからなかったのですが、1番2番3番など順序よく書けば、どうにか文章が作れると思った。自分の実になったと思う。

ストーリー・テリング
  • 中3の選択英語で『はっぱのフレディ』の再話を作成。小学生の前で実演させた。
  • 授業計画(15回授業):
    Caps for SaleをStorytellingで実演(第1回)、
    『はっぱのフレディ』の内容把握、グループ作り(第2~4回)、
    再話づくり+小学生へのStorytelling をVTR視聴(第5~8回)、
    全体の流れ・内容を考える(第9~10回)、
    発表練習(第11~13回)、小学生へ発表(第14回)、振り返り(第15回)
  • 小学生の感想:「とてもいいお話でした。葉っぱも生きていることがわかりました」「紙芝居を入れてくれたからわかった」
  • 中学生の感想:「話に参加してもらえるような工夫が必要だと思った」「みんなでディベートのように集まって意見を言い合うことによって自分の意見をまとめる力がついたと思います」
  • receptiveな活動からproductiveな活動へ:小学生段階での「先生によるstorytelling」から中学生段階での「生徒によるstorytelling」へ。
  • 山梨県塩山市塩山北中学校3年担当の三枝ゆかり教諭のpost-reading活動の紹介。

(4)参考文献

  • Marrill Swain, "Three functions of output in second language learning" はG. Cook(1995), "Principle and Practice in Applied Linguistics" Oxford University Press pp.125-144に引用。
  • "A Case Study at a public junior high school in Chiba" (田畑:2004)
  • 「4技能統合した活動の例;小中大をつなぐストーリー・テリングの実践」(大井、田畑:2007)『関東甲信越紀要』

(5)質疑応答

  • Q:中1で書かせると、とっちらかっている。どうサポートするか?
  • A:10回の授業で、1回目は「見本を見せる」(6~7文)。「トピックはどれ?」「サポートはどれ?」と質問すると生徒は理解する。2回目はgood(良い文章)とbad(悪い文章)を見せる。「どうしてこちらがgoodなの?」と問いかける。このようにモデル文を見せるのがよい。
  • 大井先生:
    a) argumentative writing(opinion essay):パラグラフの階層性(ハイアラーキー)を大切にしている。I like bananas. I like oranges.ではダメ。モデル文をバラバラにしたカードを渡して並べかえさせる。
    b) narrative writing:物語の場合は出来事を書いていけばよい。バスケ部で今日あったことなどを書くのに向いている。
  • Q:指導上の留意点は?
  • A:大学生の場合、「3単現のSを間違えるとは思わなかった」と文字化しておくと次に生きてくる。

(6)意見交換

  • Hさん:自分も生徒にstory tellingの活動をさせているので、小学生に見せるというのは面白そう。(大井先生が「I went to the zoo yesterday. I saw many animals there.など2~3文で充分結束性のある文章が書ける。I like bananas. I like oranges.ではダメ。」と言われたのを受けて…)『はっぱのフレディ』ではI like 〜. I like 〜が出てくる。クリティカルシンキングの観点から申し上げると、シェークスピアでは「最後に情に訴える」といて散るので、「情」も大切か、と。
  • 大井先生:グローバル化の世界では非情かと。
  • Hさん:『ジュリアス・シーザー』で…、ロジカルな中で聴衆の全体のムードが変わってしまう。Deliveryも大切かな。
  • 大井先生:エートス・パトス・ロゴスが揃わないといけない。
  • Hさん:聴いているのはイギリスの庶民。
  • 大井先生:文芸の価値とargumentの違いがある。非情という点でのtrue storyがある。(友人の友人から聞いたが)日産のカルロス・ゴーンにグループで作った試作車を見せたとき、あるチームのプレゼンで「ABCを作ったが…」のように物語系で話したら途中で話を切られてしまい、左遷されてしまった。別のグループは「3点について述べます」と言って成功したという。(この話を聞いて、英語のパラグラフ構成は)今の子ども達に必要な知識ではないかなと思った。(audienceが違う)みんなが聞いてくれる世の中ではなくて、(パラグラフ構成を知ることは)empowermentになると思う。
  • Sさん:セールス発表ではスキームが必要になりそうだ。何が目的で聴衆がどうか、による。高校のスピーチコンテストに関わっていてJudgeのネイティブがパラグラフ・ライティングの考えは必要と言う。型にはまったところだけでなく、「譲歩」も必要。Strongな意見ではなく「こういう意見もあるけれども」と相手を認めるところがあると。説得力が増すと思う。
  • 大井先生:(相手を認めないと)「ああー、それはあなたの意見でしょう? That's your case.」になってしまう。一般化にもっていけない。ネイティブはそういう反応になる。「譲歩」に関しては大学生には踏み込ませたい。
  • Nさん:日本語の授業でどうかと思った。国語と英語の授業が仲良くしなくてはいけない。中3は光村図書で新川和江『私を束ねないで』を自分に当てはめて生徒は詩を作った。「私をボクサーのようになぐらないでください」と書いた生徒がいて、「詩だからそのまま」としていた。
  • 大井先生:この話は何時間あっても良いトピック。教育学部では国語を専攻している人もいる。来週、北九州大で発表するのはmulti-competenceについて。大学生は「(ライティングを学んで)他のレポートも書けるようになった」という。国語の授業でなぜやらないの、とは口が裂けても言えない。National languageなんですよね。小説を読んで「作者の心の動きは?」など、心情理解をさせる…。
  • Hさん:国語科でもやっています。
  • 大井先生:「音楽鑑賞では論理は必要ない」と言っている人がいた。
  • Hさん:Don't think. Feel.(映画『燃えよドラゴン』の有名なセリフ)もある。
  • Xさん:peer feedbackへの持って行き方は?
  • 大井先生:peer feedbackによって「(自分が書いたものを)他の人が読むんだ」という気持ちが育つ。大学生では反論してくる。Moodle(ムードル)を用いて、ネットにあげるときには、実名かイニシャルかにする。
    註)ムードル(Moodle)は、オープンソースのeラーニングプラットフォーム。教育者が質の高いオンライン学習過程(コース)を作ることを助けるパッケージソフトである。(Wikipedia参照)
  • Hiさん:中3担当で月1回のトピックライティングをしている。モデル文とuseful expressionsを提示して、生徒は英文と和訳とセルフコメントを書く。先生がコメント、評価はcontentsとexpression。ALTがあまり対応が良くないのでコメントのみしてもらっている。リライトの仕方を指導している。生徒作品のどこがよいかをコメントしたり、「僕は野球部です」を【誤】I am the baseball club.などの間違い文を紹介(I am on the baseball team.)。
  • 大井先生:ネイティブを活用しましょう。指導時間中にさせても良い。書き直しは「ノートに手書き」とした。判子を押した。年間でポートフォリオとして評価。

(7)参考文献

  • 田畑 光義、松井 孝志、 大井恭子『パラグラフ・ライティング指導入門―中高での効果的なライティング指導のために 』(英語教育21世紀叢書 17)  2008
  • 大井 恭子、 伊藤 文彦『英語で書くコツ教えます-Stop! 日本語的発想』2006
  • 鈴木 健、竹前 文夫、 大井 恭子『クリティカル・シンキングと教育―日本の教育を再構築する』 (SEKAISHISO SEMINAR) 2006

(8)参加者の感想

  • パラグラフ・ライティングの学習と実践が4技能のスキル・アップにつながることや、4技能を統合したStory-tellingが、本当の意味で言語そのものやStoryの内容を理解する上で効果的だということがよくわかりました。これらが自分の考えをまとめて相手にわかってもらうという表現力を高め、人間関係を築く上でとても大切だと感じました。
  • パラグラフ・ライティングの指導は大学に入ってから受けたので、中学・高校で指導しておいた方が確かに良いと思いました。
  • パラグラフ・ライティングはこちらが頭の中で分かっていても英語力の差が激しいクラスに対しては教えずに済ましていることが多かった。しかし、これを教えることで、生徒の英語読解力が向上するばかりか、進路を控えた際、日本語で書く小論文にもつながると思う。具体的な手順も教えていただいたので、今後、参考としたい。
  • 発信力をつけるライティングというタイトル通り、中学生でもヒントを与えるとabstractからconcreteな例文が出来ていく実態がよくわかりました。中学生自身の言葉を引き出す時間をかける取り組みが大切だと感じました。ライティングを教えるとパラグラフ構成からreading力もつくことがわかりました。
  • 良くオーガナイズされた文を書くための指導はリーディング・リスニングの能力を向上させることに繋がるということがわかりました。日本語の干渉のお話が面白かったです。
  • パラグラフ・ライティングについては理解していたつもりだが、実際の指導にどういう風にやっていくのかがよく見えた一日でした。とてもとても有意義な講義でした。疲れていて休もうかなとも思いましたが、来て良かったと思います。とてもとても勉強になりました。
  • ELEC協議会で感銘を受け、本日はこの講演を第一目的に参加しました。説得力があるwritingの書き方プラスstory-telling, retellingの実践を伺ってとても勉強になり、充実したひとときでした。大井先生のお人柄もcharmingでattractiveです。ますます大井fanになりました。美しいEnglish onlyの講演もまた聞きたいです。
  • モデルの大切さ、テーマの選択がとても大切だということを感じました。生徒に書かせる度に自分の技量の足り無さから「まずはやってごらん!」と生徒の力に委ねてしまっているなぁ・・・と感じます。良い例を今日おみやげでたくさんいただいたので、生徒に返していきたいと思います。ありがとうございました。
  • 日頃からwritingをさせてあげたいと願っていますが、中学生にどう取り入れたら良いか、考えてみたいと思います。
  • 本日は有難うございました。書き直しをrewriteさせて、提出させたいと思います。
  • 総合の時間にstorytellingをやってみたいと思います。私も英語で各分はまさに先生のやり方で学びました。生徒に伝えていきます。
  • パワフルな講演に圧倒されました。中学生による小学生に対するretellingは、もし中3まで担当できたら、やってみたいと思いました。中間言語というか外国語の影響がいい形で母語に出るというのは、実際あると思いますし、日本語の原文をほとんど読んでいない私が何とかに本文もつづれるのは、英語の思考法を部分的に取り入れるからだと思われます。有難うございました。
  • ノートを書けない生徒が増えている中で教師側がお膳立てをしすぎであまり脳も手も動かしていないという考え方に賛同しました。Paragraph writing を教えることによって文が整理され、まとまった文が作れる。
  • 昨年大2年外国語学部のcompositionを担当しました。先生のお話を伺ってから担当できたらよかったです。私もtopic sentence + 3 reasons で論じるように指導しましたが、自分の舌足らずなところの説明方法を学ぶことができました。
  • 勇気をもって、ライティングに焦点をあてた授業をしていきたいという思いを更に強くしました。昨年1ヶ月かけて「討論をしよう」を指導しました。時間はかかりましたが、生徒の意欲と成長に支えられて最後の研究授業までやりきることができました。とても苦労は多いですが、やりがいのあるものだと実感しました。今年は更に自分が学んで指導方法を実につけ、生徒の将来を見据えた授業ができるようになりたいです。
  • 本日も有難うございました。自分の研究主題を考えながらお話を伺うことができました。1年生から2文~3文のまとまった文章を書けることを目指していきたいと思います。大学での授業内容とあわせて勉強になりました。Rewrite してない自分を反省しました。
  • 中学校でのwriting 指導について悩んでいたので有難うございます。
  • "Storytelling"(英語のまっすぐな感じがそのまま!)と「読み聞かせ」(「読んで聞かせる」なんていやな感じの表現だと以前から感じていました。)Wi, Wolbrink のstorytellingが大好きなので「4技能を統合したstorytelling活動の紹介」という宣伝にひかれて今日参加しました。想像していた以外にずっと多くの考え方やり方が示されてやっぱり来てよかったと思いました。

●参考資料

わたしを束ねないで     新川和江 1968年

わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色(こんじき)の稲穂

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃(はばた)き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注(つ)がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮(うしお) ふちのない水 わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
,(コンマ)や .(ピリオド)  いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩

http://hisayo.cool.ne.jp/ikiterutte/genki/tabanenaide.htm から転載



●日時: 2011年5月14日(土) 午前9:30~午後5:00

  9:30 ~ 10:00 受付
10:00 ~ 11:30 中学レポート:
 日比和子さん(大和市立光丘中学)
 「4技能を関連づけた言語活動の取り組み」

12:30~ 14:00 高校レポート:
 八宮孝夫さん(筑波大学附属駒場高校)
 「『英語で行う授業』を考える」

14:10 ~ 16:30 講演:
 大井恭子さん(千葉大学教育学部教授)
 「発信を目指したライティング指導」

16:30 ~ 事務連絡・片づけ
17:15~ 懇親会 (当日参加可)
●会場: 大倉山記念館 第4集会室 (Tel. 045-544-1881)
(東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分
 改札口を右に出て右折、急坂上る)
     
●会場費:
(資料代含む)
2000円(支部会員1000円、学生500円)
研修会当日入会者も割引適用
●お問い合わせ: 萩原一郎 e-mail

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(2011年4月25日掲載/8月31日・9月1日更新)