■ 東京新英研6月例会

2010年6月
<< '05年'06年'07年'08年'09年'10年'11年'12年'13年'14年 >>
3月4月6月10月
 6月18日(金)に中野三中で6月例会が行われました。テーマは、『声の出る授業をめざして!』でした。日々の授業で教室に元気な声が響いているかは英語にとって大切ですが、参加者のみなさんと色々なアイディアを交流しました。

「音読ア・ラ・カ・ル・ト~楽しみながらおこなう音読練習~」

レポーター:高草木直子さん(府中四中)

 現任校は4年目です。赴任当初子どもたちはパワーをいっぱい持っていてすごかったです。その子どもたちに、これを伝えたいという気持ちで、授業でカンボジアやキング牧師を扱ったら、食らいついてきました。
 今年度教えている1年生は素直で、よく声も出します。今日レポートする音読ヴァリエーションは、自分の授業で出来そうだと思い、蓄積してきたものをお話ししたいと思います。
○「音読ヴァリエーション」
  • たけのこ読み→好きな箇所を自分で選びます。そしてその箇所が来たら立ちます。立った人皆で声を合わせて読みます。教科書の最初から最後までで行います。誰もいないなら、その場で決めて立っても構いません。マンネリ化するのを避けた。New Crown は専門語も多く出てきます。難しい単語やセンテンスは、ひと息5回生徒に言わせます。
  • ボランティア読み→生徒にページまるごと読ませます。
  • オーバーラッピング→0.5秒後に読み始めます。

○以前受けたことのある発音の講習会では、"P"の発音をいかに指導するかで、すいかの種を飛ばす要領で、と教わりました。「3m先に飛ばしましょう。」「5m先に飛ばしましょう。」「10m先に飛ばしましょう。」と段階を追い指導します。

○ "A Pot Of Poison" の教材を選び取り組みました。ポイントとして、先生が思いきりやってみせることです。例えば、Poison ? Poison !?(←ゴチに)と、とても大きい声で言うと、生徒も大きな声を出しやすくなります。

<質問・意見交換>

質問:生徒同士のペア作りの注意点は何ですか?
回答:たまたま隣りの人、後ろの人、偶然に出来たペア、というように変化を持たせて取り組ませています。
質問:音読をやらせて、最終的には子どもたちに何を達成させたいのですか?
回答:内容理解です。

  • 子どもが大きな声を出せるというのは、能動的な行動の一つであると私は思います。心が開かれている証拠なのだと思うのです。高草木さん自身が力み過ぎずやっているから生徒も行いやすいのだと思います。
  • 私がなぜ子どもたちに声を出させたいかは、自分の思いを出させたいからなのです。子どもたちに自己表現をさせたいからなのです。"Friends"は、本当に子どもたちへのメッセージだと感じます。あの歌を歌っていけば、子どもたちは本当に繋がっていけるだろうと思うのです。
  • 生徒同士の繋がりがあると思う。自分の学校では、入学式の会場装飾で、桜の木をかざるんです。生徒会がやっているのですが、始めたのが高草木さんなのです。
  • 私がペア活動で気をつけていることや、生徒にくちぐせのように言っていることは、「向き合いなさい。相手に届くように声を出しなさい。」です。1分30秒で読み切れるか、1ページを1センテンスごと読み合うなど行っています。
  • 先日出掛けた修学旅行ですが、ピースメッセージの取り組みをしました。子どもたち の頑張りもあり、全部の班が出来たのが素晴らしかったです。ちなみに交流できた相手の方にはブックマークをプレゼントしました。

《参加者の感想》

  • 高草木さんの音読あの手この手を、「ここは真似したいなあ」と思いながら 伺えて良かったです。「英語らしい音を出す」ことが日本人にとって最大の 難関であることが最近更に強く感じます。どう音声に取り組ませるか、それ と文法が読みとりとのバランスを週3の中でどう取り組むかが問題だと改めて感じました。
  • 声が出ないのは、「信頼関係のなさ」「声の出し方を教わっていない」と考えていいが、日本語と英語の言語的距離からいうと、すごい勇気が必要なのだと思い始めている。アルファベットの「英語らしく発音」から出発し、子どもが自信をもってtryするのも大切なのかも。力強い実践でした。ブラボー!
  • 2年ぶりのレポートは、更に磨きがかかっていました。力まず、でも着実に自分のやりたい授業をしっかりやっている姿にとても励まされます。内に秘めたその情熱は、いつもいつも刺激を受けます。お忙しい中、レポートを引き受けて下さって本当にありがとうございました。とっても元気が出ました。
  • 「声を出す=心を開く」まさにその通りだと思います。私も高草木先生のおっしゃっていた様な、なかなか落ち着きのない学校で教えています。私は始めから「できないだろう」とあきらめてしまっているところがあるので、先生のように、生徒を信じて挑戦してみたいと思います。
  • 高草木さんが自然体で、ちょっとユニークで英語の授業が実は好き、というスタンスがとても印象に残りました。
  • 生徒をつなげるための音読活動、とても参考になりました。声が出ていないことを生徒のせいにしないで、教師がまず心を開かせる工夫や思いを持つことが大切だと思いました!!
  • 音読はいつもやっていることながら、「これでいいのかな?」「マンネリしてるかな?」「声が小さいなあ。」と悩みつつやってることでしたが、レポートを聞いて高草木先生の大切にしている「人間関係」が根底にあることを実感しました。あの手この手を変えながら、長い目でたくさんこまめに褒めていきたいです。

(連絡先:安野寿美)
(2010年10月17日)