■ 神奈川新英研5月例会報告
2009年5月
春の1日研修会は5月17日、大倉山記念館にて 参加者34名で。
●講演:「英語定着への工夫」
金谷 憲さん(東京学芸大学教授)
- 外国語習得の仕組み・ inputがあり、学習者のなかにintakeされたものが何かになってそこからoutputが生じるという図が示された。
- intakeを増やすには「繰り返し練習」「実際に使ってみること」
- 新学習指導要領:金谷先生は中学の学習指導要領責任者。学習指導要領で「繰り返し」の文言が出てくるのが平成10年度では5回だったのが、20年度では14回あると紹介。新学習指導要領は中学では繰り返しでの定着を目指し、高校では理解に止まらず英語を使わせることを目指しているという解説があった。
- intakeのための活動 ・reading aloud, look up and say, look up and write, shadowing, Q&A in English, discussion, speech, etc..
- 英語定着のための工夫(特に高校が対象)まずは次の(a)の教材の選定が大切!生徒実態に合った教材の選定が前提にあって、あとの(b)~(d)がある。「うちの生徒は和訳を読んでも内容がわからない」ということもある。
- selection of the right kind of materials(適切な教材の選定):「高校教育の最大の問題は『同僚』だ!」=高校教科書のレベルを下げられず、生徒の実態よりも難しい教材を選びがち。「伝統だ」と言われてしまう…。
- TIF (translation in first 和訳先渡し方式):高校の全英連で和訳先渡し方式を紹介すると、「あとは自習か!」と怒る教員や「時間が余って困った」という教員(時間を捻出して他の英語活動に費やすためにやっているんですが…)や、「和訳を渡した後に和訳の授業をした」という教員がいた。
- easy version (平易な版で始める):易しい版だと「読解する楽しみがない」という批判がある。しかし、定着を目指す教材があって良いと思う。定着と解説は両立しない(=読解ではなく「解説」の授業になっている)。
- 金谷先生の著書『英語教育熱』研究社『英語授業改善のための処方箋』大修館書店
●中学実践報告:「遅れがちな生徒を意識した実践報告」
植野由希恵さん(戸田市立戸田東中学校)
丁寧な手書きの文字のプリントと板書で、手堅く、ねばり強く生徒を導いていらっしゃる様子が浮かんできました。日付を毎回書かせたり、新出単語を何度もリピートさせたり、テスト勉強のプリントを好きなだけ渡してあげたり…、華やかではないけれど、着実に身につけさせる手法が潜んでいる実践だと思います。
丁寧な手書きの文字のプリントと板書で、手堅く、ねばり強く生徒を導いていらっしゃる様子が浮かんできました。日付を毎回書かせたり、新出単語を何度もリピートさせたり、テスト勉強のプリントを好きなだけ渡してあげたり…、華やかではないけれど、着実に身につけさせる手法が潜んでいる実践だと思います。
<参加者の感想>
- 中学校での英語は、これからの学習者にとって幹になるという話、ノートのとり方、歌からの導入など、たいへん参考になった。新しい職場の中で、中学での英語と、高校の英語をどのようにbridge させるか、私の課題でもある。
- 自然と生徒が単語を繰りかえし覚えていくプロセスができていたと思った。英語という授業以前に生徒との信頼関係を強く感じました。
●高校実践報告:「4技能の力をバランスよく育成するために ~新指導要領下での高校英語の授業はこうなる!~ 」
萩原一郎さん(県立城郷高校)
萩原先生のワークショップで音読練習したIreland is a green country.という文やオーラル・イントロダクションで見せていただいたレッスン内容がしっかり私の中に残っています。巧みな「授業の作り方」、そして『波及効果』を考えたテストづくりも参考になさってください。
萩原先生のワークショップで音読練習したIreland is a green country.という文やオーラル・イントロダクションで見せていただいたレッスン内容がしっかり私の中に残っています。巧みな「授業の作り方」、そして『波及効果』を考えたテストづくりも参考になさってください。
<参加者の感想>
- story telling ( story reproduction )から、Summary writing への活動がとても参考になりました。「スピーキングシート」を使って指差しをしながら相手に向かって話すという活動を取り入れてみようと思います。上級レベルの生徒にはsummary writing までやらせてみたいと思います。
- 萩原先生の授業実践を見るのは2回目になる。日々の自分の授業の中で、生徒が自分で英語を発話し外国語の意味が自身の血肉化し、音としての英語が理解でき、読め話せるようになるためには、やはり音読から始まる授業が、マスプロ教育の中では最良かもしれないと思った。
(文責:和田さつき)
(連絡先:萩原一郎)
(2010年1月6日)
(2010年1月6日)
●日時: |
5月16日(土)午前9:30から午後5:00まで 9:30 ~ 10:00 受付・事務連絡 10:00 ~ 11:30 実践報告:萩原 一郎さん(県立城郷高校) 11:30 ~ 12:30 昼食 12:30 ~ 14:00 実践報告:植野由希恵さん(戸田市立戸田東中学校) 14:10 ~ 16:30 講演:金谷 憲さん(東京学芸大学教授) 16:30 ~ 事務連絡・片づけ 17:15 ~ 懇親会(大倉山「好膳」にて)はどなたも参加になれます! |
●会場: | 大倉山記念館 第4集会室(Tel. 045-544-1881) (東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分 改札口を右に出て右折、急坂上る) |
●会場費: | 2000円(支部会員1500円 学生500円)研修会当日入会者も割引適用 |
●お問い合わせ: | 萩原一郎 |
★講演: | ★東京学芸大学教授・金谷 憲さんの講演決定! |
★実践報告(中学): | 「遅れがちな生徒を意識した実践報告」 植野由希恵さん(戸田市立戸田東中学校) レポーターより: 実は特別に遅れがちな生徒を意識して日々の授業をしてきたわけではないのですが、全国大会の遅れがちの分科会のレポーターの打診があったことがきっかけとなり、(今回はまだ発表ができるまでの準備もなく、お断りしてしまいましたが)その視点での実践をまとめてみようという気持ちになりました。これからはもっと遅れがちな生徒を意識して実践を積み、全国大会で発表できればと考えています。「はじめの一歩」のレポートになると思いますので、私が勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 |
★実践報告(高校): | 「4技能の力をバランスよく育成するために ~新指導要領下での高校英語の授業はこうなる!~」 萩原一郎さん(県立城郷高校) レポーターから: 「英語の授業は英語で」とする高校の新指導要領が告示されました。ついつい訳読して終わってしまう高校英語の授業。どうしたら読む、書く、聞く、話すの4技能を高めることができるのかをワークショップ形式で体験していただきます。 |
☆6月例会 6月20日(土) 大倉山記念館 第1集会室
☆7月例会 7月11日(土) 大倉山記念館
★ラジオ基礎英語の講師もされた太田洋さん(駒沢女子大学)がお話ししてくださいます!
(2009年5月10日)