■ 東京新英研11月例会

2008年11月
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3月11月
 恒例の東京新英研・1枚レポート学習会(都教組教研:外国語部会)が、11月22日(土)・足立区立東綾瀬中学校にて行われました。
 今年は14本のレポート報告に、30名を超える参加者(埼玉・神奈川・長野からも!)があり、例年以上に活気ある雰囲気の中で学び会うことができました。選択授業の工夫・ワークシートの交流・生徒になってアクティビティー体験・共同学習の実体験・自主教材の紹介等 たくさんの実践とアイディアが交流でき、明日からの授業づくりに多くのヒントをもらいました。
 また、『新学指導要領の輪郭、現場はどうすべきか』のミニレクチャーではその問題点と、現場の教師が今後大切にすべく視点を、整理された資料を基に、多岐にわたって報告されました。忙しさの中で見落としがちな本質論に触れることができたのは意義がありました。成績処理におわれる忙しい時期でしたが、「来て良かった」と思える学習会でした。片付けや最後のまとめにも勢いがあり、参加者の充実感が伝わりました。

各レポートの紹介 (レポーターの方々に書いてもらいました)


『中学3年と見るフリーダムライターズ』

柏村みね子さん(中野三中)
 3年選択で映画『フリーダムライターズ』を9人の生徒と見て、感動を共有し、登場人物に感想の手紙を送ると言う実践。生徒一人一人の感想を読み、教師がコメントを書いて返し、それを蓄積した。映画は様々な生徒が同時に楽しむことができ、実社会を教室に持ち込む文化素材であるので今後も活用したい。コミュニティーを作って学ぶ経験を全ての子どもに保障したい。せめて30人学級を!

『新学指導要領の輪郭、現場はどうすべきか』
 『小学校6年の学級担任もびっくりしたアルファベットゲームとハッピーコミュニケーションタイム』

阿原成光さん(共同研究者)
 新学習指導要領を批判的に考察する。中学校の生徒が使っている現教科書は中身が乏しい。第二言語習得理論は英語教育で人格を作るという考えは持っていない。現場の先生方には本気で、生徒を差別・分断の手段の英語教育から転換することを進めるべき。アルファベットゲームで音声を確認しながら学び、教室で声いっぱいに発音を引き出しましょう。

『70年代風?のレトロな実践』

星野泰良さん(葛飾・本田中)
 質問文のDo you~?型とAre you~?型の区別は重要だけれども、生徒にとっては難しいもの。しかし、動物当てゲーム結構使えます。生徒はAre you~?型で大きさ・強さ・色などを聞き、Do you~?型で移動の仕方・食べ物・住んでいるところなどを聞き、教師はYes, I am(do). No, I am(do)not.のみで答えていく。しばらく続けて答えに迫る。他に、"音法""リズムで覚える公式集2等の報告があった。

『平和な心を育てる授業を目指して』

福島悦子さん(板橋五中)
 3年生前半の英語の授業で、もっとも力を入れたい広島がテーマになっているLesson4の取り組みについてレポートしました。素晴らしかったことは歌手で平和活動家のパンピアン美智子さんが来校してくれたことです。生徒達に少しでも世界平和から身近な平和まで考え、行動することの大切さを感じる授業になっていれば幸いだと思います

「授業で使える英語の歌」

関口守義さん(八王子一中)
 英語の歌をクラス全体でつくる。又は、自分の英語の歌を作って歌ってみるという活動です。イメージ作りをして、サビの部分を作り、それに曲をつけてみることを紹介しました。イメージする単語を浮かべ、歌詞にまでつなげる手順も紹介しました。

『関係代名詞の導入について』

早乙女琴子さん(葛飾区・新宿中)
 10月に自分のクラスの授業参観で行ったことをお伝えしました。学年の先生を題材に導入してみました。その時間には自己表現も行いました。自己表現活動の課題は単発になってしまうことです。もっと豊かな表現になるようにしたいです。

『あの子が初めて手を挙げた!The place I want to visit is ~ の簡単アクティビティー』

安野寿美(江戸川区・小岩一中)
 Crown3年生・Lesson 5(3)の接触節・The place I want to visit is ~は関係代名詞を本格的にやる前でもあり、やりにくいところ。それを古い絵葉書を使って、The place I want to visit is ~ と生徒に言ってもらい、5人の人と交換しました。最後にその5つの中で1番気に入った場所を挙手して紹介してもらうと、それまで一度も手を挙げたことのなかった、英語の自信のない生徒が挙手して発表してくれました。今年最大のヒットと思っています。

『1年生・ちょっと変わった命令文の導入&reading marathon』

小塩潤子さん(江東区・大島中)
 家事の役割分担について考えさせた後、家の人からよく言われる「~しなさい」って何ですか?と問いかけ、そこから命令文の導入へ。生徒の生活が垣間見られて、興味深かったです。毎日のReading Marathon も、生徒達にやった実感がもてるように工夫したカードを作ってみました! 

『協同学習の授業:Fly Away Homeを「ジグソー」で読ませてみたら』

沖浜真治さん(東大附属中等教育学校)
 夏休みの宿題の副読本を自力で読めるようにしていくための導入として、「ジグソー」と呼ばれる手法で、出だしの一部を協力して読む活動に取り組ませました。授業中の反応はいまいちという感じだったのですが、意外にも授業後の生徒のアンケートでは好評だったようなので、あらためて共同学習の可能性を感じました。

『NHKドラマ・フルスイングを英語と道徳の教材にして』

小美濃博さん(府中一中)
 たまたま見たドラマ"フルスイング"。英語教師と生徒が英語でやりとりする場面をリスニング教材として授業で使いました。単なる英会話ではなく、人として互いに真摯に向き合う場面が見る人の心をとらえます。"人の生き方について考えさせる"良質のドラマを、英語と道徳の教材として活用すると生徒の集中が違いました。"平凡の繰り返しが非凡を生む"この言葉を、多くの生徒が『自分にとって大切な言葉』としてあげました。

「関係代名詞の指導~ジョン・レノンを題材にして~」

荒木好枝さん(練馬・開進三中)
 3年生で関係代名詞に入るにあたり、それまで学習してきた修飾関係をふり返りながら、日本語と英語の修飾方法の違いに気づかせた。そして、関係代名詞の指導では、ジョン・レノン、愛と平和等をテーマにして、授業の流れを組み立てた実践を報告した。

「一行日記~夏休みの宿題で自己表現~」

堀恵美子さん(稲城五中)
 中学校2年生の夏休みの宿題として、一日一行英語で日記を書くという作品づくりに挑戦してみた。過去形の練習がたくさんできたこと、書けない生徒へのフォローが不十分だったことなどの課題を紹介した。他に、自分のホームステイ体験を書いた英語通信を紹介した。

「教育相談を自己表現に生かす」

高草木直子さん(府中四中)
 エンカウンターの目的で作られている自己表現ワークシートを英語の自己表現活動に取り入れてみました。始めたばかりなので、まだ課題は多いのですが、いろいろと工夫して広げていけたらと思っています。

(文責・小美濃 博)
(連絡先:安野寿美)
(2009年2月6日)