■ 愛知新英研2月例会

2008年2月
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2月

 去る2月23日(土)の2月例会は、10名足らずの少人数でしたが、そこで発表された三浦照代さん(岡崎市南中学)、丹下加代子さん(東海市大田小学校)の発表は、いずれも深い感動を与えるすぐれた発表でした。今回は三浦さんの発表をご紹介します。

「語り継ぐことの大切さ」

 三浦さんのレジュメは、「1.教え子から生きる勇気をもらった!!」で始まっています。三浦さんは昨年ご病気で入院するのです。三浦さんは次のように書いています。

  「手術前の不安な気持ちがいっぱいの私のところに、手術前日に『教え子たちからの千羽鶴と寄せ書き』が届いた。びっくり。だって私が生徒に告げたのは水曜日。その日まで授業をしていた。木・金の二日間で、私を励ます『千羽鶴と各クラスの寄せ書き』を完成してくれた中2の363名。うれしかった。看護師たちも、同室の患者たちも『今どきこんな中学生もいるんですね』とびっくり、感心していた。」
 
手術は無事成功、体調が十分戻らぬ中で学校に戻った三浦さんは生徒に「自分史」を書かせる。その手順は実に綿密で慎重である。あくまでも生徒の置かれている状況、家庭の事情に十分目を向けている。三浦さん自身が次のような文章を載せている。
  "When I was born, I was very big. I was about 3700 grams weight. But I didn't drink my mother's milk well. I didn't play with my friends when I was little. When I was a junior high school student, I didn't like English. But now I am your English teacher."
 生徒に自分史を書かせる意味を問い、生徒たちの笑顔や作品から、<3学期もこういうことがやりたい>という元気な声をもらい、<あと1年、定年退職まで勤めるようにと決意する>と三浦さんは書いている。
  いつの事だったか、三浦さんから、「教師は出世なんかしなくてもいいんですよ」という言葉を聞いたことがある。
  それは教師の多くの心底を見届けるような厳しい言葉であったように覚えている。しかし教師の仕事はまさしく、人格の勝負であることが、改めて問いなおされるような側面を持つことを示したのが今回の発表であったと思われる。

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(文責:紀平健一)
(連絡先:栃木清子)
(2008年7月25日)