■ 神奈川新英研11月例会
2007年11月
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2月4月5月6月7月10月11月12月
 11月17日、大倉山記念館にて。参加者8名。

●報告・提案(高校)

『小学校英語への提案〜小学校にも新英研がめざす、全人教育としての英語教育を〜』

町田淳子さん(小学校テーマ別英語教育研究会)
 小学校の英語活動というと指導する側は無理に力を込めて発音したりしがちですが、町田さんは「自然」です。力が入りがちな小学校の先生方には「いつもの先生でいてください!」と声をかけられるそうです。町田さんの指導を受けた小学生たちが英語を言語の一つとして自然に受け止められるのは町田さんのお人柄に負うところが大きいと思います。
 町田さんが主催する「ベルワークス(BeLL works)」のBellはfor Better Language Learning and to Be Lifelong Learnersの頭文字をとったもの。1992~2004年までグローブ・インターナショナル・ティーチャーズ・サークルの国際理解教育を目指したテーマ別英語教材の研究・開発を引き継いだ研究団体で、HPはベルワークス(www.bell-works.com)、小学校テーマ別英語教育研究会(Elementary School Thematic English Education Movement)のESTEEMプロジェクト(www.esteemjapan.com)もご覧下さい。

  • 記事その1:「小学校の英語活動における語彙指導 『知らないうちに』と『もっと知りたい』を積み重ねて…」『新英語教育』2007年6月号 
  • 記事その2:「総合的学習の可能性にかけて… 国際理解教育をめざした英語活動を」『新英語教育』2006年4月号
  • 記事その3:「創造しよう、小学校宇教育を充実させる英語活動を 実現に向けた研究グループを立ち上げて…」『新英語教育』2006年9月号
  • 実践その1→ 人の五感(The Five Senses):川崎市立今井小学校4年生で3時間ねらい:五感についての学びを通し、自分や他の人々の個性をありもまま受け止められる肯定感をはぐくむ。どんな障害を持っている人々も生きやすい社会を目指す。導入:小さな箱を見せて「どうして箱だとわかった?」 my eyesやI use my eyes.やseeを導入。次にWhat do you think is inside? Chocolate? のように訊きながら生徒に中身を当てさせる。箱を振るとコインの音がする。I use my ears to hear.さらにペットボトルに入っている液体を見せる。開けて匂いをかぐとvinegar(酢)なのでI use my nose to smell.のように進めていく。展開:ワークシートを渡し、五感で分かることを考えさせる。「eyesで何が分かるか考えてみて」と指示。まず「1人で」、次に「2人で」、さらに「4人で」、最後に「クラスで」考える。次に五感でできる好きなことを考えさせる、I like to see ~.などを考えさせる。ある児童が「雪の音を聞きたい」と言ったので、担任はその生徒の人柄を重ね合わせて胸がいっぱいになってしまったという。この活動はこのような認め合いができる契機になっている。
  • 実践その2→ 地雷(Landmines):八王子市立大和田小学校6年生ねらい:地雷問題を通して、世界では多くの子供たちが戦争の犠牲になっていることに気づき、平和な世界を実現する方法を希求する。(導入等略)
  • 実践その3→水の旅(Water Cycle):八王子市立大和田小学校4年生ねらい:社会科で学んだ「川の働きと水の循環」について英語活動を通じてさらに学びを深める。水を巡る自然界のはたらきに関心を持ち、資源を守るために、自分の暮らしを見直し、考え行動できる。導入:After you woke up, what did you use?と問いかけて、「時計」「タオル」「歯ブラシ」「コップ」「水」などを引き出しWe can't live without ~.と言うと「水」に決まる。I use water to wash my hands/to flush the toilet / to cook / to brush my teeth.展開:お風呂にはいると180リットルも使っていることなどを指摘しながら、水の循環を考えさせる。

<参加者の感想>

  • ビンゴなどのゲームに終始するのは無意味ですが、逆に「意味」を持たせた活動にこだわりすぎない方がいいと感じます。伝統的な手法と国際理解教育の間で、良い意味で中庸を目指して欲しいと思います。
  • 小学生の子どものクラスで、何が始まるのかなと思わせる心に食い込むアプローチに始まり、考えを導き、組み立てさせる。「Think alone→pair→square(4人)でグループになると1人の時よりもたくさん思いついた」「自分では覚えにくいと思ったのに覚えられるようになった」とか。生徒の自覚的な感想がおもしろかった。
  • 「テーマをもった学習」というアプローチが小学生の意欲を刺激するのだと思いました、「五感を使って考える」ことから、一枚の写真について考えを発表していくなど、英語以前の学びの法則を教えられたようです。導入が参考になりました。


(連絡先:萩原一郎)
(2008年6月18日)