■ 神奈川新英研10月例会
2007年10月
<< '03年'04年'05年'06年'07年'08年'09年'10年'11年'12年 >>
2月4月5月6月7月10月11月12月
 10月20日、大倉山記念館にて 参加者13名。

●近況、最近取り組んでいること、悩んでいることなど

*フレーズリーディングの強化をするようにしています。ALTにパンクチュエーションのチェックを頼んでみてもらっています。

●実践報告(高校)

『生徒のモチベーションをあげる工夫〜ケータイ、おしゃべり、飲食、メイクを注意しながらどう授業に導き、参加させるか〜』

関口昭男さん(田奈高校)
 モチベーションを高める工夫で紹介してくださった『Give me five kinds of ~ 』活動が好評でした。映画ではチャプリンの「キッド」を定番にされている関口先生の報告です。

  • *勤務校では1年は8クラス展開で各クラス30人だが、英語と数学の授業はクラスを名簿順で半分に割り、15人の少人数授業を展開している。2年は6クラスで1クラス37人位。英語と数学をクラス2分割、17〜18人の少人数授業。3年生は6クラス、各30人で授業もクラス単位で行っている。

  • *勤務校の教員の状況:
    生活指導の当番が多く、授業と合わせると週に20時間はうまる。授業準備や休息時間が少ない。過労気味の人も少なくない。

  • *授業:モチベーションを高める工夫をしている。
    1. 『Give me five kinds of ~ 』活動(ウォーミングアップで一人ずつレシテーションの機会を与える。)
      少人数授業で席は指定されている。生徒は隣の小教室に移動したり、自分の教室でも前の3列に席を移す。教材や筆記具を持たず、飲み物、マンガ、ケータイを持ったままの生徒もいる。
      出席をとりつつ、余分なものを整理させ、授業に向かわせなければならない。
      いきなり授業のテーマには「聴く耳も心の静寂」もないのでまず英語への準備をさせる。仲間にヒントを与え、自分で進んで答えを言う生徒も出て徐々に英語授業らしい雰囲気になる。
      T: Yu, will you give me five kinds of sports?
      S: Sports? Baseball, basket, tennis, badminton,ええっと。あと何があるかな。
      T: Good! Baseball, basketball, tennis, badminton, and one more. How about this? (右手を大きくスイングする、2回、3回)
      S:何それ、卓球?
      T:英語で?(他の生徒がピンポン、table tennis)
      S:あっ、テーブルテニス
      T: Yes, table tennis. 最初から5つ言ってみて。4つ目の前にandを入れてそれから5つ目を言うといいよ。
      S: baseball, basketball, tennis, badminton, and table tennis.
      ★Give me five kinds of 〜 で使う題材: seven days of the week, twelve months, vegetables, four seasons, Japanese(American) baseball teams, football teams, weather words, things in the living room, parts of the body(face), means of transportation, colors, countries, major cities in foreign countries, famous actors(actresses), names of movies, (names of) jobs, the subjects you learn, things in the classroom, what you have in your bag, etc.   
      同じ題材を何度も使ううちに12ヶ月を順番に、そらで言えるようになった生徒もでて増えてきている。少しできる生徒が友だちに教えることを控え、自力でなんとかさせようという思いやりも出てきた。
    2. 教科書を編集して聴き取り教材に:
      教科書が薄い(4ページ)ので、本文を編集して、キーワードを隠した聴き取り教材にする。ノーマルとスローが一回ずつ入った付属CDから、テープにダビングした部分のノーマルだけを繰りかえし4〜5回連続してながす。ヒントを出しながら次のように展開する。
      T:『うん音はあってるよ、最初の音はtだね。じゃあ最後の音は?』
      S:『スト?』T: 『そう、st で聞き取れてるよ。(板書で 「 t st 」と書く )これを見てもう一回聴いてみよう。』
      S:『トレスト? あっtallest 』
      *本文の聴き取りだけでなく、教科書のtrue or false questionsも答えだけを尋ねるのではなく、どんな単語がヒントになって答えが導かれたかkey wordsとともに答えさせ、板書している。
      *英語Tでは、summaryを使った(あるいは自分で創ったもので)聴き取りをした。1ページに1つは自己表現をさせる。教科書は覚えるだけじゃつまらない。自分のことを英語で言って初めて生きると思う。I've never been in a typhoon.が出てきたら、経験を言わせて自己表現活動にする。過去形との対比を入れるとわかりやすくなる。経験(期間)を表わす表現から入る。
      例:I first visited Okinawa in 1988. I've been to Okinawa five times since that time.
      生徒からは次のような見本を示し、各自相談しながらノートに取るようにしている。時間があれば、読んで発表するかまとめて例文集を作ってから読み取りの練習をする。
    3. 1年に1回は映画でチャプリンの「キッド」(時間50分)を見せる。サイレントで字幕は読めるくらい大きい。親子の愛をテーマに考えさせる。時間があれば。途中で止めて、字幕の英語を書き取ることも。「天使にラブソングをU」も今の高校生には適したもので音楽が入っていて楽しい。
    4. ALTとのTTは2人で生徒一人ひとりと2〜3回は対話ができるように分担する。デモンストレーションで教員が例示し、リレーで生徒に入っていく。役割を替えて交代すると時間的には十分ある。やりっぱなしにしないで、ノートにとる時間を設ける。または、次の時間TTでない時に、復習して定着を図ることが大切だと感じている。
    5. 単語、短文を書く練習を適宜とる。ノートを見ると中学生時代のものを引き続き使っている生徒がいる。中には中2時に使用したと思われるノートも。書かない習慣を書く習慣に変えさえたい。ビンゴ、クロスワード、ワードサーチも取り入れる。テスト返却の時間は書く練習の時間と定着してきている。
    6. 週刊STを使った時事問答:
      表紙の芸能人、スポーツ選手、政治家など時の人を見せて、Guess who this is?−He is an actor who acts as a pirate in the movie. と関係詞文を入れたり、亀田家の記事を見せ、What do you think of his way of boxing ? とコメントを言わせたり。

●実践報告(中学)

「JET2人のTT(Team Teaching)の進め方」

城(しろ)由美子さん(戸田市立戸田中学校)

 日本人英語教員2人でのTT(ティーム・ティーチング)の進め方についての報告です。「船頭多くして船山に上る」状態にしないために、ティーム・ティーチングではどちらかが主体になりますが、日本人教員同士のTTでも意思疎通や役割分担が難しいようです。
(1)学校
*戸田中学:戸田競艇場が近くにある。ボート部に60名ぐらい部員がいる。
(2)効果的なTeam Teachingを求めて
*Team Teachingだから(複数の担当者がいるから)できること:
音読テスト、English Conversation Card、英作文ノート、授業ノートのチェック
* Team Teachingだから難しいこと、気をつけること:
役割分担を明確に、評価規準・基準を明確に、年間指導計画・学期ごとの指導計画をしっかり立てる、よく話し合う
(3)計画
  • 年間計画:
    生徒に先に渡しておく。「学校行事」「題材」「言語材料」「英作文ノート」「ALTの会話」(9月はTravelのようにテーマを決めている)「その他」
  • 目標の設定:
    「3年の2学期の授業について」と題して、戸田中の3年生につけたい力(積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度、自己表現力、入試に耐えられる英語力)、授業について(英作文、ALTの先生の授業)、普段の授業で大切なこと(けじめをつける、声を出す、友達の発表を聞く)、テストの日程、提出物、毎時間持ってくるもの、観点別評価と評価の対象をプリントで配布。
(4)参加者の感想
*私のところでは、ALTとのTTだけなので、JETのTTってどうなんだろうなぁと、興味深くうかがいました。50歳代のひとばかりのうちの職場からは考えられないような若く元気な職場。Topic Writingの取り組みなど、生徒たちのinputのみならず、outputにも力を入れていらして素晴らしいと思いました。


(連絡先:萩原一郎)
(2008年3月20日)