■ 神奈川新英研5月例会
2007年5月
<< '03年'04年'05年'06年'07年'08年'09年'10年'11年'12年 >>
2月4月5月6月7月10月11月12月
 5月19日、大倉山記念館にて。参加者:24名

●参加者の近況

  • 生徒たちは中学で1か2を取っていたような人たちなのでとても英語に対してアレルギーがあります。どうしたもんでしょう??! という悩みです、英語以前の問題が多く、授業が二の次、三の次です。
  • 異動後、悩みがない。礼儀正しく、学習能力の高い生徒を前にストレスから大きく解放されたことが嬉しくて嬉しくて仕方がない。これまで困難校で蓄積したものがあれば、この先、何も努力しなくてもやっていけるんじゃないかと甘い夢を見ている。夢よ、覚めるな!

●講演:「中学・高校における英語リーディング指導の勘どころ」

名和雄次郎さん(拓殖大学名誉教授)
 ご講演自体がひとつの授業の模範となっていました。中3の時に山形で終戦、そして東京に来られてから後の教員として歩まれたころのエピソードから、ユーモアにあふれた温かなお人柄が伝わってきました。英語教員としての心構え、生徒に寄り添った実践と研究を教えていただきました。

(1)名和先生

  • 1930年生まれ。中2〜3年は動員のため、勉強する環境になかった。
  • 中3の時に山形で終戦、懐疑主義になった。優秀な友人は仙台の学校に進んだが終戦後に学校に来なくなった。
  • 東北学院大から早稲田大の夜学へ。

(2)出会い

・ 48年間の教員生活。「ほかの人のいいところをいただいて自分を確立していった」。
(1) 松江第2中(9年間):生徒たちはひとなつこかった。
◎米沢先生(数学)「計算こそ基本」(=数学がこわくなくなる) ◎斉藤喜博先生(国語):「机は動かして使うもの」=「コの字型にして子供同士が学びあうんだ」(佐藤学さんの学びの共同体でも行われている)
(2) 武蔵野第4中:
日野の公団にやっと当選。3時間通勤が大変なので校長先生に頼んだら「武蔵野の『学習院』みたいなところだよ」と言われて異動。◎森先生(国語)=先生の板書した美しい文字をまねる生徒たちはどんどん国語が好きになっていった。
(3) 第2商業高校(17年間):
この3月に閉校(3校で統廃合)のため、心のよりどころがなくなる寂しさを感じた。昔、校庭の草取りをするために毛虫を落とした思い出の桜の木が2倍の太さになっていた。学校生活を充実させることから愛校心が生まれる(毎年クラス会をしている)。
(4) 国士舘短大
(5) 拓殖大学

●実践報告(中学)

「いまどきの中学生に寄り添って ―Writingを通して、認め合い、学び合い、そして互いの成長に―」

日比和子さん(大和市立引地台中学校)
 「いまどきの中学生に『寄り添って』なのか『振り回され』なのかわかりませんが…」とお話しされた日比先生ですが、中学生の実態を的確につかみ、寄り添いながら「生徒のためにできること」を常に模索し続けていらっしゃいます。Topic Writingの活動は、提出のやりとりで教師に認められて安心し、英語通信でお互いの作品を読んで生徒が認め合う場になっています。
(1)雑誌の記事
・「いまどきの中学生に寄り添って」
『新英語教育』2006.8から:メディア依存で対人関係が苦手な生徒たちの3分類:
「注意散漫で人付き合いが苦手な」ゲーム族、
「恋愛中毒で、人を敵か味方かの2分法的にとらえる」メール族、
「オタク的で無気力・無関心な」ネット族。
(2)中3の英作文
・ 中1〜2での英作文活動:中1では、他己紹介カード作り、中2では、GW明けに英文絵日記、キャンプの後に俳句作りをした。
<参加者の感想>
  • 久しぶりの日比先生節に感動いたしました。「自己表現」「Writing」…、自分の言いたいことが英語で言える生徒さんたちのたくさんの笑顔が日比先生の実践から伝わってきます。多忙の中で…本当にすごいです。いつも感心しています。Thank you!

●実践報告(高校)

「遅れがちの生徒たちと創り上げた英語発表活動の授業」

萩原一郎さん(県立岡津高校)
 スタンダード表現や口頭でのテストなどを積み上げて、発話する力を確実につけさせる。このような萩原先生の手堅い実践はどの教員にとっても「明日からすぐ使える」はずです。
(1)萩原先生
・ 前任校の白山高校: 高1は必修(3)+OC2(2).高2=必修(3)、高3=必修(Reading 3)。国際教養コース=Writing(2 )+異文化(2)+時事英語(3)+英語2(3)。 ・ 1人の英語教員は4〜5種類を担当する。
(2)教材
・ スタンダード最重要表現(B4横で3列で16文)
  1. CD-Romで個別練習。音声2回、英語出して1回、日本語出して1回、消して1回、音読。
  2. 口頭で和訳英訳テスト。教師が日本語で言って、16文を英語で言う形式で、時間制限があり、分からない場合は「パス」してよい。クラスの半分は満点を取る。
(3)スピーチ
・ Show and Tell:ある女子は「Do As Infinityという好きなグループの歌を紹介」、ある男子は好物のチーズケーキを持ってきて「チーズケーキを永遠に食べる」とスピーチした。
(4)参加者から
・ スピーチ原稿を作る際の指導法:あるALTはハロウィンの骸骨を見せながら、この骸骨に関してWhen did he die? のように質問をしなさいとデモンストレーションしてみせた。その後、自分のテーマに関して、疑問文を先に設定して、その答えを書くつもりでやると自然に原稿ができる、と指導した。例えば、スピーチのテーマが子どものころの思い出のグローブなら、When did you get it? , From whom did you get it? Where did you get it? のように疑問文を作る。それに答えていくとスピーチができあがる。
<参加者の感想>
  • ◎何種類もの教材研究をしなければならず、時間的余裕のない中で周到な準備を重ねられていらっしゃることに敬意を表します。生徒たちは、発表までに準備時間を十分取って段階を踏んで指導していくと、自信を持って発表できるようになるんだなと思いました。スタンダード表現の習得のさせ方をこれから自分の授業にも活用させていただこうと思います。


(連絡先:萩原一郎)
(2007年9月29日)