■ 埼玉新英研6月例会

2006年6月
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3月5月6月10月12月
 埼玉新英研2006年6月例会は総会を兼ねて6月18日(日)午後1時半より埼玉県さいたま市岸町コミュニティーセンターにて開催した。参加者14名。

「『道具』ではなく人間のことばとしての外国語~英語教育政策批判と,授業実践例」

斉藤貴子さん・埼玉県立浦和北高校

 最初の報告は「『道具』ではなく人間のことばとしての外国語~英語教育政策批判と,授業実践例」(斉藤貴子さん・埼玉県立浦和北高校)。在職中に大学院で学んだ成果をまとめた修士論文の内容を,現実の現場からの視点でまとめ直し報告していただいた。1970年代にイギリス・オーストラリアで始まった批判的談話分析という視点から,「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」にあらわれているねらいを分析するという報告であった。
 国際コミュニケーションのための道具という言語観を受け入れるということは,国益のための道具という言語観や今後をめぐる社会的階層構造を維持・強化することにつながる。無批判に政府・文部科学省の政策を受け入れることは,社会的な支配・被支配という関係を受け入れることと同じことになるのではないかという提起であった。
 このような修士論文の分析にもとづき,現場に戻り5行詩の取り組みを通じて外国語を学ぶ意義・目的論を高校生とともに考えた実践を報告していただいた。

「英語の歌を使った語彙の習得と音読学習-パソコンソフトを活用して」

鈴木政浩(西武文理大学)と井川明彦(讃岐屋)

 次に鈴木政浩(西武文理大学)と井川明彦(讃岐屋)が共同で「英語の歌を使った語彙の習得と音読学習-パソコンソフトを活用して」という報告を行った。
 英語教育を通じて世界平和を実現したいという思いから開発したパソコンソフトの実演 と大学のゼミで実際に学生が使う状況についての報告である。
 井川氏は,9.11を体験。英語の歌はglobal messageを持っているという視点から,ソフトウエアの開発に着手。ある日『新英語教育』に連載している「授業に歌を」に出会い,鈴木との協力体制が実現した。
 報告はソフトウエアのデモの後,実際に使用した学生の様子をビデオで視聴。実際に学生にも例会に参加してもらい,ソフトの使い勝手や印象を語ってもらった。
 今回デモをしていただいたソフトウエアはRepeat Masterというもので,英語の歌が流れると同時にパソコン画面に歌詞やカタカナでの読み・和訳が表示される。曲の速度調整が自由にできるため,英語は苦手だけれど洋楽が好き,でも曲は早くて歌えないという生徒でも取り組める。単語テスト・文法練習などの機能も充実しており,独習用ソフトとしての将来性が高い。英語の歌を使った授業に取り組んできた埼玉の実践家や参加した学生からは,授業での経験や今後ソフトウエアに盛り込んでほしい機能などについて要望が矢継ぎ早に出された。

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(文責:鈴木政浩)
(連絡先:浅川和也)
(2006年11月11日)