■ 埼玉新英研4月例会

2003年4月
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2/3月4月6月

報告Ⅰ:「進学校での平和教育」

 柳沢 民雄(県立玉川工業高校・前県立川越高校)

 柳沢さんから,以前,勤務されていた川越高校での広島への修学旅行を軸にした平和教育の実践,また,ジョンレノンを題材とする教材づくりについて,うかがった。
 事前学習でクラス討議をする。進行にあたり,世界各国の原爆についての意見を紹介するような学年だよりもつくったが,正直,活発な討論は難しかったようだ。

 圧巻は,44ページにおよぶ冊子となる学習のしおりである。広島について,生徒らが主体となった研究をまとめたものだ。
 冊子の項目は以下の12項目(平和記念公園と慰霊碑,市内の原爆の足跡,15年戦争と第2次世界大戦,マンハッタン計画と原爆投下,ヒロシマ・ナガサキの実相,ビキニ水爆と第五福竜丸および原水禁運動,原爆の誕生から現代の核兵器およびその廃絶のために,2002年夏の広島・長崎市長の平和アピール,京都の地理)。表紙には「青い空は」の楽譜と歌詞を掲載した。宮島へ向かうバスの中で,どのバスでもこの歌声が響いたという。

 当初,とくに講演をお願いするという予定がなかったが,やはり被爆者の方の体験を聞くことになった。きつい日程の中,夕刻,旅館に到着してからの聞くお話であったが,生徒の心に染み渡ったという。村田さんの講演はテープからおこして冊子にされている。
 平和を学ぶ修学旅行が減っている実状のなかで,あらためて取り組みの大切さを思い知らされた。

(文責:淺川)

報告Ⅱ:「非暴力で紛争解決の糸口を模索する」

 阿木 幸男(非暴力トレーナー) 

 現在河合塾で講師をされているという阿木さんのお話は,もりだくさんな以下の3本立となった。

  1. (1)自らが関わるカンボジアに学校を建てるプロジェクトを通じて、河合塾の生徒が日本語を教えるキャンプの話、
  2. (2)著書『非暴力トレーニング』(論創社)のもととなる70年代の在米経験,
  3. (3)ガンジーに始まるインドの独立運動とアメリカの公民権運動の経緯を非暴力
という視点から紹介。
  1. (1)NGO活動の理事としてカンボジアに学校を4校建てたという阿木さん。河合塾の「人間関係論」というゼミを開講し、若者をひき連れ、現地校で日本語を教える体験をさせているとのこと。
     悪条件にめげず生きいきと学ぼうとする現地の子どもたちに触れ、自らの生き方を振り返る様が楽しく伝えられた。予備校もここまでケアをする時代なのか、と参加者一同目から鱗が落ちる思いがした。
  2. (2)阿木氏がカンボジアでワークキャンプを開催する背景として、自ら、70年代にクェーカー教徒のライフセンターにおける非暴力トレーニング合宿に1年半参加した経験を語っていただいた。
     印象的なのは、多数決ではなく全会一致にいたるまで議論する過程に価値をおくという点。良心的兵役拒否の代案としてワークキャンプやボランティア活動が発祥した経緯なども大変勉強になった。
     当時,阿木さんは「はだしのゲン」の英訳本を制作し,米国で普及することもされた。ベトナム反戦運動を経て、反原発運動に非暴力直接行動は受け継がていく。1人の若者の働きかけから,原発建設予定地に何十万という人びとが結集したことから,中止が決まったエピソードも紹介された。
  3. (3)後半は、ガンディの非暴力運動の実際からアメリカの公民権運動の前提としての非暴力トレーニングのありかたを貴重なVTR映像により示された。公民権運動、とりわけsit-inなどの実際の映像が示され、臨場感とともに非暴力運動の実際を垣間見さてていただいた。
 まとめにかえてアメリカの右傾化する現状や日本の現在の運動のあり方にも議論が及んだ。非暴力トレーニングについては、今度はトレーニングそのものを体験させてもらいたいという意見も出た。

(文責:飯野)

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(連絡先:浅川和也)
(2003年7月13日)