■ 東京新英研例会〜春の特別研究会 報告
2002年3月
'00年'01年'02年'03年'04年'05年'06年'07年'08年'09年'10年 >>
2月3月4月
 3月29日、花冷えの中、満開の桜を借景に、今年も東大附属中等教育学校で54名の参加で集会を行った。
 テーマは
「出口はどこ?中学3年間でつけたい力とは?
〜すべての子どもに保障したい英語の力とは〜」
「学力をどうとらえるか。英語の授業でどんな力をつけるのか」というホットなテーマに斬りこんだ。

 会場は中央に正方形の舞台、そしてフリーマーケットスペースもある「新英研村の春祭り」スタイル。

 午前は総会。笑顔、元気、多摩の各サークルからの報告、「会員目標数150名!(現在124名)」の修正案が通り盛り上がる。

 次にテーマについての「車座トーク」。舞台上のインド布にみんなで座り、村びと集会の雰囲気で語り合い、その後小グループに分かれ、「どんな力をつけたいか」を模造紙にまとめた。

 ランチタイムは8つのブースで、教材、教具の紹介や実演、販売を行う 「東京フリーマーケット」が大盛況。業界初?!「福袋」も完売。

 午後の部は小塩潤子さん(葛飾・常盤中)の「子どもたちにつけたい力、ついた力は?〜1年間の実践をふりかえって〜」
 自分の良さ、仲間の良さを認める集団づくりをさまざまな英語の取り組みを通して実現した報告。圧巻は年間の授業を到達目標と実践が一目でわかる一覧表!日々の実践をどんどん公開し、批評を仰ぐ小塩さん「文科省の4観点の枠から授業を考えるのではなく、まず自分のやりたいことや願いを到達目標としてあげてみよう。結果的には、すべての観点を網羅することになる。恐れずに!」というメッセージは潔く、勇気づけられた。

 高校からは池田真澄さん(拝島高校)の「中学から高校へ〜学力問題を考える」
 困難を抱える子どもたちに安心して生活し、学べる環境、風土を学年教師集団の総合的な取り組みで創り出し、同時に英語の授業ではニューヨークテロや地雷、韓国の友人を教室に招く、など本物、実物を教材にした授業を行った報告。中学を卒業する時点で最低限つけてほしい力の中に、言語的な力と同時に「外国語を学ぶ意味」や「仲よしではない生徒とも関係を持ち協力できる力」があり、いかに大きな課題であるかがわかった。

 講演はヴィゴツキーの「思考と言語」訳者としても著名な柴田義松さん(東京大学名誉教授)の「言語教育としての英語科の教育課程づくり」
 母語、外国語を学ぶ意味についてじっくりと語り、学力の構造についても「学んだ力」「学ぶ力」「学ぼうとする力」の3つをあわせて「学力」とする考え方、また授業で何よりも大切なのは「問い心」を起こさせる題材、問いかけ、授業パターン、というお話が静かに刺激的であった。

 朝10時から5時までびっしりと学びあった「春の村祭り」。ここちよい疲れと次へのパワーを宿し、地中海料理とアフリカンドラムの新宿の夜は更けるのだった。

(報告・柏村)

(2002年3月31日)