■ 西三河サークル2月例会
2002年2月
 村瀬敏浩@愛知西三河英語サークルです。2月22日にサークル例会を開きました。参加は3人。

1 加藤先生(高)

(1)キング牧師
 OCBの教科書に、Martin Luther King牧師のことが出てきたので、手持ちの教材を利用して、内容を深めました。
 進め方は、本の中にある写真を拡大コピーして、紙芝居的に説明をする方法です。例えば、Rosa Parksさんやガラガラのバスの中の写真を見せながら、バスボイコット事件を説明したり、人種差別反対の意思表示をするポスターを首に掛けて歩く人の写真や、差別賛成のポスターで対抗する人の写真も使いました。
そのポスターに書かれた英文、
人種差別反対:"The presence of segregation is the absence of democracy."
差別賛成派 :"Support the merchants who support segregation."
なども読みました。
(2)segregationを体験するTT
 キング牧師の授業のあと、AETのWadeさん(アメリカ・アーカンソー州出身)に相談すると、segregationを体験するアクティビティを考えてくれました。クラスサイズは20人。
 まず、Age, Job, Residence, Race, Sexの情報の書かれた20種類のカードを準備します。例えば、

Name :Angelina DeMarco
Age: 19
Residence: Brooklyn, New York
Job: Waitress (married to a rich banker)
Race: White [Immigrant Italy]
Sex: Female
Name :Red Bull
Age: 45
Residence: Choctaw Indian Reservation, Oklahoma
Job: Chief
Race: Native American
Sex: Male
といったカードです。Raceの欄には、他にWhite, Black, Latino, Asianなどもあります。このカードを生徒に1枚ずつ渡し、AETの指示に従います。

 まず、AETが、教室においては先生の話が良く聞ける前の席、ストーブに近くて日当たりの良い暖かい南側の席が一番良い席だ、と説明します。そして、カードにあるRaceの欄の、Whiteの人を前列南側の席に、Immigrant/Asian/Latinoを前列北側の席に、Black/Native Americanを後ろの席に移動させます。第1番目のsegregationです。
 次に、Whiteの中でもJobの収入の高い者が前に、Immigrantの中でもヨーロッパ系を前に、Black/Native Americanの中でも、residenceがReservationとなっているNative American2人を最後列北側に離れて座らせます。第2番目のsegregationです。
 このようにして、カードの情報をもとに、細かくsegregateしていきますが、BlackとNative Americanはかなり早い段階から、何の指示も与えられなくなり、ただぽつんと座っているだけになります。つまり、「相手にされない」という最もつらいsegregateを感じるというわけです。

2 杉浦俊先生(高)

(1)「独裁者」を使って
 工業高校2年生の授業です。チャップリンの映画「独裁者」の1場面を使って、レシテーションを行いました。利用した場面は最後のスピーチの部分のうちの10行ほどの英文です。
 授業では、まず映画の背景説明から入りました。次に、2時間かけて映画を見ました。その後、最後のスピーチの部分の英文を訳読しました。
 最後に、レシテーションです。発表の順番は、ボランティアで決めました。採点は定期考査の2割分に相当する20点満点で、発表のあとすぐに点数を出しました。
(2)ここが変だよ高校生
 インド人女性の方がボランティア講師で来校した際に、日本の女子生徒のミニスカートと男子生徒のづり下げズボンが気になった、という話しをされました。彼女の意見をビデオに撮り、聞き取りと和訳を行い、最後になぜ自分たちはそうなのかを考えさせました。
 仲間内では常識であったりすることも、外国人から見ると異様に写ることも多いことに気づき、教師や親から指摘されると反発するような内容でも、外国人の目を通すことで、自分たちを冷静に見つめられるのではないかと考えました。
(3)怒りの寸劇
 「キレル」「むかつく」と言う言葉が日常語化している今、怒りをストレートに表現する代わりに他の解決法や対応を考えさせたいと思い、実施したアクティビティです。
 各グループ(5人)で、お互いの「キレた」経験を出しあい、それを寸劇にまとめます。この際、演じる人2人と台詞を言う人2人とに分けました。残りの1人は効果音やナレーション担当としました。英訳作業とリハーサルの後、グループごとに別室でビデオに撮影します。
 全員終わったところで、ビデオを鑑賞します。生徒が考えた内容は、頼みを聞いてくれない母親にキレる生徒、いたずらが高じてケンカになりそうな生徒同士、などです。最後に、別の解決法がないか考えました。
(4)五感を使って
 市内で英会話塾を経営している元外国人講師の方を、社会人講師として招き、TTをしました。今回は触覚を使ったアクティビティに挑戦しました。
 まず、形(square, triangle, box, round, ...) ・色・触覚(rough, smooth, soft, hard, ...) ・重さ、素材を表す表現を学ぶため、講師をJTでいろんなもの(文鎮・ティッシュペーパー・カセットケース・ボール・スポンジ・本など)を見せながら実演しました。その後、10人のグループで輪を作り、物を持って隣の生徒に渡しながらその性質などを言います。徐々に回す物を増やしていきました。
 最後に、ペアになり、机に向かい合わせに座ります。机の中には、ある品物を入れておきます。生徒Bはそれがどんなものか質問し、生徒Aはその品物を机の中で手で触りながら答えます。生徒Bはそれが何であるか考えながら画用紙に描きます。そのあと、立場を入れ替えて、もう1回行います。何か分からない物を触りながら何とか相手に伝えようとし、相手もその言葉を頼りに絵を描く、という活動が生徒たちの好奇心を刺激したようでした。

3 村瀬(高)

 話題になった絵本"If the world were a village of 100 people"を使って授業を行いました。ユーゴ内戦時の「ズラータの日記」が教科書で取り上げられていたので、平和を考える教材として取り上げました。基本的には訳読形式で行いましたが、途中にクイズ形式の部分を作りました。
 例えば、
 If 100 people lived in this village, 33 would be ( ) , 19 believe in ( ) ,
 13 would be ( ), and 6 would follow ( ) teaching.
の空所に入る宗教を答える、とか、  17 would speak ( ), 9 ( ), 8 Hindi and Urdu, 6 ( ), 6 Russians, and 4 would speak ( ).
の空所に入る言語を答える、といった具合です。生徒たちの頭の中にある世界のイメージと、実際との違いに驚きます。(生徒たちは「アメリカに住んでいる人は、みんな英語を中心に話している」と思いこんでいます)

連絡先:MURASE Toshihiro/村瀬敏浩