■ 熊本新英研10月例会

2000年10月
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3月9月10月11月12月
 10月例会は15,16日とその前後、熊本市を中心に日本エスペラント大会が開かれたのを受けて、20日(金)午後7時から9時まで水前寺共済会館で世界エスペラント協会会長のエンダービー氏を招いて10名の参加で行いました。
 熊本県内ではこの前後、実行委員会の方々のご努力で実に多彩な催しが行われ、県下の幾つかの学校もその恩恵に浴しました。
 私の勤務する学校でも1年のクラスではポーランドの国立ワルシャワ劇場所属のJerzy Fornal氏によるコルチャック原作の一人芝居「道化師」を見せて頂いたし、2年生のクラスではドイツの経済学者であるDaniel Konig氏の「ハイデルベルグにおける環境問題」という演題でハイデルベルグでは街の綺麗な景観を損なわないように水力発電所を川の底に建設したという内容をOHPを使って話しをして頂きました。一人芝居も講演もエスペラント語でしたが幸い、ボランテイアの方が通訳をして下さりお陰で、生徒も私もその素晴らしい内容を十分理解することが出来ました。

 今月の会報にはその一人芝居の脚本を熊本大学名誉教授の吉田正憲先生に訳して頂いたものを載せています。とても深い内容ですので是非、味わって頂けたらと思います。 

 会長のエンダービー氏の講演は、くまもと新英研のメンバーでもある、野村忠綱氏が通訳をされる予定でしたが結局英語の教師の集まりなので英語でということになり、70歳を越えておられるとは思えない精力的な講演でした。
 「言語権」が問題になっている最近、このエンダービー氏の話は大変分かり易く、我々日本人には大変考えさせられる話しでした。その概要です。
  • 自分自身はオーストラリア人であり、英語を話す国民なのだが、これだけ英語が広まった中で何故エスペラント語か?
  • ポーランドの医者ザメンホフがエスペラント語を作ってから113年になる。彼は少年時代から言語が人種の問題、差別の問題など、いろんな問題を引き起こすと考えていた。
  • ザメンホフが危惧したように英語は歴史的な付帯物をいっぱい身に着けているので、中立性に欠け、国際語にするには無理がある。
  • 今、英語を話す多くの有識者が英語を母国語としていない人に英語を押しつけることに問題を感じている。
  • 英語と言ってもたくさんの種類がある。人間は進歩して来たが言語はそれに伴い進歩してきただろうか?
  • 言語にはそれぞれの特性があるのでどれが一番とか順序付けは出来ないはずだ。およそ5000程の言語が有る中で少数言語はだんだん消滅していっている。
  • 英語があまりにも強大な力を持つことで他の言語を消滅させていっているのは文化の面からも大きな問題である。
  • 学者の中には英語が広まれば当然他の言語は消滅せざるを得ないとクールに言う人もいるが、少数民族にとってはとても大きな問題だと思う。
  • 現在は国際的にみれば英語が大勢を占めているが、決して良い状態ではない。
  • NPOなどいろんな非営利組織が頑張っているが、そのような場でも言語の問題が生じている。
  • すべての国の人が平等な立場でものが言えるために、もっとエスペラント語そのものやそのような考え方を広めるべきだと思う。

 まったく同感で、いろんな教育研究会でもあえて「外国語教育分科会」と銘打っていることもその基本にはこのような発想があるはず。英語を教えている我々は21世紀に向かってこのような思想をしっかり持っていなければならないのではないかと思いました。

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